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■雪が解けて、春
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それから母さんは女児を産んだ。
俺の第一子
母さんの親友の、ヒメという女性の家で産み、産後はその家で過ごしていた。
母さんは子を抱きながら、どこか遠くにいる雪乃を見ていてるみたいな日々だった……ヒメはそう語っていた。
そして、しばらくして母さんは生まれてすぐの子と共に自宅で心中した。
俺に何も言わずに、母さんは自宅に火を放って………残ったのは母さんの骨だけだった。
母さんの遺骨を埋葬した後
ヒメから母さんが心中をした理由を聞かされた。
元老は、産後の母さんに向かって言ったんだ・・・
『村長の子を産み続けろ』
『親子だろうが関係ない』
『春樹と雪乃だって、お前の実の父親との子ではないか』
『だから、お前にはできるはずだ』
俺は、知らなかった。
自分の父親が、母さんの父親でもある事を。
ただ、母さんは俺たちを愛していた。
俺たちの父親が誰であれ、愛していた。
だからこそ、また俺と関係を持つなんて
ただ子を産み続けるだけの人生なんて耐えられず、自死を選んだ。
この話を聞いて、この村は腐っていて
このまま未来永劫こんな事が続くくらいなら
悲劇の連鎖は俺が断ち切るべき
そう思って、結界石の力を開放しようとした。
この石がなければ村はなくなる。
こんな村はなくなるべきだから……だから、結界石に触れた。
瞬間、結界石に眠る誰かの意識に自分の意識が引きずり込まれる感覚がした。
俺の第一子
母さんの親友の、ヒメという女性の家で産み、産後はその家で過ごしていた。
母さんは子を抱きながら、どこか遠くにいる雪乃を見ていてるみたいな日々だった……ヒメはそう語っていた。
そして、しばらくして母さんは生まれてすぐの子と共に自宅で心中した。
俺に何も言わずに、母さんは自宅に火を放って………残ったのは母さんの骨だけだった。
母さんの遺骨を埋葬した後
ヒメから母さんが心中をした理由を聞かされた。
元老は、産後の母さんに向かって言ったんだ・・・
『村長の子を産み続けろ』
『親子だろうが関係ない』
『春樹と雪乃だって、お前の実の父親との子ではないか』
『だから、お前にはできるはずだ』
俺は、知らなかった。
自分の父親が、母さんの父親でもある事を。
ただ、母さんは俺たちを愛していた。
俺たちの父親が誰であれ、愛していた。
だからこそ、また俺と関係を持つなんて
ただ子を産み続けるだけの人生なんて耐えられず、自死を選んだ。
この話を聞いて、この村は腐っていて
このまま未来永劫こんな事が続くくらいなら
悲劇の連鎖は俺が断ち切るべき
そう思って、結界石の力を開放しようとした。
この石がなければ村はなくなる。
こんな村はなくなるべきだから……だから、結界石に触れた。
瞬間、結界石に眠る誰かの意識に自分の意識が引きずり込まれる感覚がした。
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