物の怪なんでも相談所

○春に降る雪

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さつきさんはさすがに留守番になって、私たちは私の故郷に向かった。


健治さんが運転する車で向かったんだけど、やっぱり途中で吹雪が凄くて車は無理。


「こっから雪国の村までどんくらいかかる？」


「んー……私なら歩いて普通に2時間」



私の返事で健治さんは明らかに嫌そうな顔に変わった。


“普通に”歩いて2時間だから……まぁ、物の怪である私達ならそんな時間はかからないし、何より私がいれば雪はそんなに障害じゃない。



「人に見られる心配ないんだし、みんな足は速いから大丈夫でしょ♡」


未唯さんは思いっきり伸びをして身体を解して

トビは寒さが嫌そうだったけど、亮介は淡々と支度をしていた。


みんな、着いてきてくれるんだね。



「じゃあ、行くよ？」


私が先頭になって歩いて、雪をどかした。

雪女は雪や水を操れるから、猛吹雪だろうが大雨だろうが問題はない。


私が走っても獣の姿のみんなは余裕で着いてきてくれて

一時間くらいしたら、村の入口にたどり着いた。




「ここが……雪国の村？」


猛吹雪すぎて前なんて1メートル先も見えないけど

結界があるから間違いなく、ここは私の故郷。雪国の村。



「そう……結界もあるから、間違いはない」


普通の一人や物の怪ならこの先には行けないけど

私なら、通れる・・・ーーーーー



私が一歩前に出て、みんなに向かって頷いた。



私と一緒だから、みんなも村に足を踏み入れる事ができる。


村に入ったら誰ひとり外にいられないくらいの、、外よりもひどい吹雪と寒さだった。