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●いい香りのする依頼人
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齊藤サンの話をざっくり纏めると
夜に一人でバーに飲みに行ったら出会ったのがこの男。
たくさんの女に囲まれたイケメンって印象しかなかった。
帰りにたまたま裏口にいた男を見かけたら、その男には灰色の耳と尾が生えていた。
驚いたけど『綺麗なお姉さん。これは二人だけの秘密にして』って言われて従った。
その瞬間、一気に恋に落ちた・・・―――――。
「イヤイヤ……齊藤サン?
どこに恋に落ちる要素ありました?」
チャラ男にホイホイ引っ掛かったにしか見えねぇよ。
よりによってオオカミ……俺みたいな犬よりタチ悪いぞ?
様子を伺っていると齊藤サンはモジモジしはじめて
ポツポツと、語り始めた。
「私……東京に来てから友達ができなくて……仕事場でも表面上しか付き合えなくて……。
それで、すごく寂しくて………話し掛けてくれた彼が“二人だけの秘密”まで作ってくれたんですよ?
好きになるに決まってるじゃないですか」
…………決まってない。
間違いなく、齊藤サンの思考回路は変だ。
友達も話し相手もいなくて寂しかった女の前に現れたイケメンの男
その男の秘密を知った上に、“二人だけの秘密”って言われたら急に友達以上ができた感覚ってか錯覚に陥った……ってところか?
齊藤サンは真剣に俺を見てくるし……さて、どうしたものか……。
「確認しますが、彼が“人間ではない”という理解はできていますね?」
「えぇ。彼は化け犬か化けオオカミでしょう?」
齊藤サンは人間なのに物分りいいな。
恋は盲目というヤツなのか……人間って分からん。
「そうですね。彼は……――――」
言いかけた時、ドアが開いてひとり入ってきた。
青みがかった黒髪が特徴的な、色白の女子高生。
「ただいまー……って、お客さん?
こんな時間に珍しいね」
物の怪なんでも相談所の所員のひとり、雪乃が帰ってきたところだった。
夜に一人でバーに飲みに行ったら出会ったのがこの男。
たくさんの女に囲まれたイケメンって印象しかなかった。
帰りにたまたま裏口にいた男を見かけたら、その男には灰色の耳と尾が生えていた。
驚いたけど『綺麗なお姉さん。これは二人だけの秘密にして』って言われて従った。
その瞬間、一気に恋に落ちた・・・―――――。
「イヤイヤ……齊藤サン?
どこに恋に落ちる要素ありました?」
チャラ男にホイホイ引っ掛かったにしか見えねぇよ。
よりによってオオカミ……俺みたいな犬よりタチ悪いぞ?
様子を伺っていると齊藤サンはモジモジしはじめて
ポツポツと、語り始めた。
「私……東京に来てから友達ができなくて……仕事場でも表面上しか付き合えなくて……。
それで、すごく寂しくて………話し掛けてくれた彼が“二人だけの秘密”まで作ってくれたんですよ?
好きになるに決まってるじゃないですか」
…………決まってない。
間違いなく、齊藤サンの思考回路は変だ。
友達も話し相手もいなくて寂しかった女の前に現れたイケメンの男
その男の秘密を知った上に、“二人だけの秘密”って言われたら急に友達以上ができた感覚ってか錯覚に陥った……ってところか?
齊藤サンは真剣に俺を見てくるし……さて、どうしたものか……。
「確認しますが、彼が“人間ではない”という理解はできていますね?」
「えぇ。彼は化け犬か化けオオカミでしょう?」
齊藤サンは人間なのに物分りいいな。
恋は盲目というヤツなのか……人間って分からん。
「そうですね。彼は……――――」
言いかけた時、ドアが開いてひとり入ってきた。
青みがかった黒髪が特徴的な、色白の女子高生。
「ただいまー……って、お客さん?
こんな時間に珍しいね」
物の怪なんでも相談所の所員のひとり、雪乃が帰ってきたところだった。
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