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コウ
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来た道を戻る時も隣は辰央
「聞いてもいい?」
ちょっと前の四人と距離が空いた時に、辰央に真面目な声のトーンで言われた
「何が?」
「先週の日曜日、ありさと一緒に本屋に行ったんだけど、駅でコウを見た
一人でベンチでボーッとしてて……それから2時間くらい経っても同じ場所でボーッとしてた
何かあったの?」
辰央がじっと俺を見ていて
俺は、その目を見ることができなかった
2時間くらい一人でボーッとしてるとか、どう考えても不審者じゃん、俺
「疲れてて……休んでた」
「トミさんの家から駅までそんなに離れてないのに?」
「うん、そうだね……確かに」
「最近のコウ、ずっと変だよ
………俺が聞いた話が関係してる?
言いたくないのに言わせた、、とか」
辰央って、いい子だと思う
こうやって気にしてくれる子だからね
「言わせた、って訳じゃなくて、自発的に話しただけだよ」
「じゃあ、最近変な理由は?」
「それは、全員がそう思ってるの?
俺が変だって、
別に、何もないけどなぁ、、、」
困ったフリして答えたけど、辰央が立ち止まった
振り向くと、真面目な顔をして俺を見ていた
「全員、コウが変だって思ってる
ありさが『コウに出会った頃の自分を見てるみたいで心配』って言ってた
コウに出会った頃のありさがどんなありさかは知らないけど、コウならこの言葉の意味、分かるんじゃない?」
俺がありさに出会った頃
ありさは飛び降り自殺しようとしていた
俺が死にそうに見えてる?
「俺の時はコウやみんなに助けられた
一番辛いときにみんなが変わらずにいてくれたから、今がある
今度は俺が、コウを支えられないのかな?」
真剣に訴えてくる辰央
気持ちは、、有り難い
だけど、、、
「話して“みんなが変わったら”嫌だから言えないよ」
そう言って、辰央に背を向けた
「聞いてもいい?」
ちょっと前の四人と距離が空いた時に、辰央に真面目な声のトーンで言われた
「何が?」
「先週の日曜日、ありさと一緒に本屋に行ったんだけど、駅でコウを見た
一人でベンチでボーッとしてて……それから2時間くらい経っても同じ場所でボーッとしてた
何かあったの?」
辰央がじっと俺を見ていて
俺は、その目を見ることができなかった
2時間くらい一人でボーッとしてるとか、どう考えても不審者じゃん、俺
「疲れてて……休んでた」
「トミさんの家から駅までそんなに離れてないのに?」
「うん、そうだね……確かに」
「最近のコウ、ずっと変だよ
………俺が聞いた話が関係してる?
言いたくないのに言わせた、、とか」
辰央って、いい子だと思う
こうやって気にしてくれる子だからね
「言わせた、って訳じゃなくて、自発的に話しただけだよ」
「じゃあ、最近変な理由は?」
「それは、全員がそう思ってるの?
俺が変だって、
別に、何もないけどなぁ、、、」
困ったフリして答えたけど、辰央が立ち止まった
振り向くと、真面目な顔をして俺を見ていた
「全員、コウが変だって思ってる
ありさが『コウに出会った頃の自分を見てるみたいで心配』って言ってた
コウに出会った頃のありさがどんなありさかは知らないけど、コウならこの言葉の意味、分かるんじゃない?」
俺がありさに出会った頃
ありさは飛び降り自殺しようとしていた
俺が死にそうに見えてる?
「俺の時はコウやみんなに助けられた
一番辛いときにみんなが変わらずにいてくれたから、今がある
今度は俺が、コウを支えられないのかな?」
真剣に訴えてくる辰央
気持ちは、、有り難い
だけど、、、
「話して“みんなが変わったら”嫌だから言えないよ」
そう言って、辰央に背を向けた
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