Don't be afraid

コウ

12

ある程度わいわい食べ終わると



しほんぬは日焼けを気にして日陰から一切動かなくなった


ありさもしほんぬ同様日焼けが嫌って言ってしほんぬと共に日陰で女子トークに花を咲かせてて


蓮はダラダラ食べながらもガンガン増える空缶の通り、酔ってきててどーでもいい事に爆笑してて


辰央はそんな蓮の写真を撮りまくっていた


麗香は川に魚がいないか探してるみたいで




とにかく、本当に自由









「あっ！やばっ！！」




麗香が叫ぶから全員がそっちを向いたら


麗香が被っていた麦わら帽子が風に飛ばされたのが目に入った



「あーん！お気に入りだったのにーっ！！」



麦わら帽子はそのまま川に落ちて緩やかな流れに乗って流されていった


麗香の悲しそうな声を聞いて蓮が立ち上がって麗香の方に行って



「しょうがねぇなぁ







俺が取りに行ってやるよ」





川の流れは緩やかだし、浅いから問題ないって思ったんだろうけど



川は、危険………なんだから……………











『ぼくの帽子！流れちゃう！！』


『仕方ないなぁ、取りに行ってやるよ』


『ほんと？』


『コウのお気に入りだからね』















あの時、俺は……



川に流された帽子を諦められなくて、お兄ちゃんに言ったんだった………



お兄ちゃんは、俺のお願いは何でも聞いてくれたから……











「だめだっ！！川は危ないから！！」




蓮と麗香に向かってそう叫んだ









なんで忘れてた？



なんで今、思い出した？




あの時、俺は、帽子を川に落とした事を



忘れてはいけなかった事なのに………