Don't be afraid

コウ

8

7月30日


明日はみんなで旅行だけど、辰央だけ今日からトミさんの家に泊まり


荷物が多いし親に挨拶も必要だからって事で辰央の家に行ったんだけど


「アナタ、D高校だったんですって？

辰央さんに聞きました

ウチも辰央さん以外の兄弟はみんな、D高校かＰ学園だったのに……辰央さんはねぇ……」

はぁって聞こえるくらい盛大なため息をついた辰央母


隣で辰央は完全に無になってるし


辰央は兄が二人、弟が一人の四人兄弟


辰央が言うには勉強も運動も、何をとっても自分は下で

三人には何一つ勝てるものがないらしい



「まぁいいわ

とにかくしっかりお勉強をして、これ以上ガッカリさせないで頂戴


風間さん？辰央さんを頼みますね？」


「今回は僕たちがわがままを言ってすみません

帰りは必ず送り届けますので」



辰央母は俺たちを満面の作り笑顔で見送ってくれた






「コウ、本当にごめん、迷惑かけた」


車を発進させてすぐに謝られた



「迷惑はないけど……なんていうか、凄かった


そんな高校って大事かな？

俺、大学は三流だよ？」


「コウの大学選びは謎だって

なんでD高に行った人が選ぶかなぁ？って感じだよ」


辰央は学歴を重視するからね

そう思って当然だよね


「俺の高校選びは“トミさんの家からチャリで通える公立”だったから

大学も同じ感じ」


「えっ？…コウって………」


辰央は何かを言いかけてやめた

俺の雰囲気からなのか、辰央は察してくれたみたい


しばらく無言の車内だったけど、辰央とだから苦じゃなかった