Don't be afraid

コウ

6

ありさが仕事だからって事で俺が送ることになって

一緒に道を歩いている時に突然バッグから茶色い封筒を取り出した


「旅行の費用に使って」


そう言って渡されたんだけど、妙に厚い


まさかと思って中を確認したら一万円札が10枚くらい入ってて


「………ありささん？」


「え？な、なに？」


「金銭感覚を学ぼっか？」


そう言ってそのまま突き返したけどありさはキョトンとしてて


そういえばボイスレコーダーもありさが突然買ってきたっけ

ボイスレコーダーは役に立ったけど、あれも相当高いよね？


「ありさの行く末が大いに心配」


「えっ……いや、まぁ私自身も心配だけど……

あ、でも旅費は！？お金かかるよね？

移動にも食費にも！

私は働いているんだし出すよ！」


「ありさが“働いている”を理由に10万出すなら、“働いている”蓮も同額出さないとってならない？

それはおかしいし、たぶん学生さんたちも気にするからさ、みんなでにしよ？

俺もバイトしてるんだし、俺と蓮とありさは多目に出すで良くない？」


「学生さんに払わせる……」


「そこはみんな平等にね

別にありさは俺らの財布じゃないでしょ？」



俺がそう言えば一応は納得してくれた


ありさが俺たちとは金で関係を繋げてる……だなんて思ってなきゃいいけどって思いながらありさの仕事先まで送り届けた