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3章
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しおりを挟む「ここに座ってください!!」
かごバッグから出したシートを広げ2人に座るように促すグレンツェに2人は困惑したような表情だ。
「あの、、グレンツェ様。私共は護衛する身ですので、」
「ダメですか?」
グレンツェは無意識だが2人にはグレンツェの周りにキラキラしたものが見えた気がした。この誘いを断ればグレンツェは泣いてしまうのではないか、そんな考えが2人の頭をよぎる。
2人は顔を見合せ決心したようにシートの上に正座する。
「もっと楽にしてください!!」
「これが楽なので、、お気遣い感謝します」
グレンツェの前であぐらをかくわけにもいかず2人は困惑した様子で周りをキョロキョロしている。
「おふたりにはお礼を言いたくて、、建国祭の日、私を助けてくれたとお聞きしました。本当にありがとうございます」
「いえ、私共はお礼を言われる立場ではありません。エティーナ様の元へ1人で行かせたのは私共ですので」
「そんな!それは私が言ったのです!とにかく、私はおふたりが早く見つけてくださったおかげで助かったと聞きました。なのでお礼をさせて欲しいのです。」
「そんな、、ありがとうございます、」
エニック卿とカイン卿は深くお辞儀する。グレンツェは2人にお茶を出し、料理長が入れてくれたパンやお菓子などを広げる。
「こんなことしかできなくてすみません。本当はハンカチなどに刺繍でも出来たら良かったのですが」
(小さい頃に読んだ本にお礼としてハンカチに刺繍をして渡すシーンがあったわ、私も早く習いたい)
お茶を飲んでいたカイン卿とエニック卿は急に咳き込みだし驚いたように言う。
「ハ、ハンカチ?!そんなものは簡単に渡すものではありません!!」
「えっ?」
急に慌てだした2人は前のめりになってグレンツェに迫る。
「ヴァイザー様以外の男の人には絶対渡してはいけませんよ!」
「は、はい」
グレンツェはなぜダメなのかよく分からずとりあえず返事をしたが、落ち着いた2人はまたお茶を飲み始めた。グレンツェはこれもどうぞ、と次々お茶菓子を2人に差し出す。2人のがっちりとした体格と華奢なグレンツェを傍から見たら年の離れた妹のおままごとに付き合わされているお兄ちゃんのように見える。
「ではまたなにか別の方法で改めてお礼しますね!」
「その気持ちだけで十分です」
カイン卿は胸に手を当てなんだかしんみりしている。
「先程も言ったように私共はお礼を言われる立場ではないのです。むしろ解雇されてもおかしくない」
「そんな!解雇なんて!私は、、今まで何をするのも1人でした。でも、おふたりは私の相手係ではありませんが常に私の傍にいてくださいます。最初は慣れなくて緊張していましたがおふたりがいてくれるだけでとても安心するのです、、」
「グレンツェ様、、」
エニック卿とカイン卿はグレンツェを見つめると急に姿勢を直しグレンツェの前に片膝で跪く。
「えっ、!急にどうされたのですか?!」
「私共はグレンツェ様に忠誠を誓っております。今後もこの命、グレンツェ様のために捧げます」
「えっ!ちょっと!命は大切にしてくださいっ!!」
無意識に人の心を奪うグレンツェはなんとも罪深い。
今まで少し距離のあったグレンツェと専属護衛達だが、この日を境にヴァイザーに劣らないほど溺愛されることをまだグレンツェは知らない。
何やら不敵な笑みをこぼす男は青年に話しているようだ。
?「エルフォルク家の当主は魔王だ、魔王の嫁なんて今頃何をされているのやら。早く助けに行かないと死んじまうんじゃないか?なぁアラン?」
「っ、!絶対に迎えに行く。待ってて、グレンツェ」
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