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2章
11建国祭
しおりを挟む3ヶ月後の建国祭に出ることが決まった次の日から花嫁修業は礼儀作法やダンスが主になった。
カナリエはかなり意気込んだ様子だ。建国祭という新たな目標ができてからグレンツェの課題が浮き彫りになり毎日それなりに忙しくしていた。
それはヴァイザーも一緒のようで夕食の時間にも会わないことが多くなった。
(そろそろ気分転換に外の空気を吸いたい、、)
建国祭まであと2ヶ月。
そろそろ少しだけでも外に出たいという欲がグレンツェにもふつふつと湧き上がってきていた。
忙しそうにしているヴァイザーを見るとどうしても自分から話しかけることはできず、未だに外へ出ては行けない理由も聞けていない。
(でもエルフォルク様もお花が好きと仰っていたし花を見たいと言えば案外その気持ちを分かってくれるかもしれない、、今日の夕食のときに会えたら言ってみよう)
そんなグレンツェの考えは簡単に受け入れられた。
「いいだろう」
「えっ!いいんですか?!」
「何をそんなに驚いている」
「外はダメだと聞いていたので、」
「ん?外はダメだが?」
「え?」
「温室がある。そこにも花は咲いている」
グレンツェはがたんと肩を落とした。
(確かに花も見たいけど!!!)
「あの、、なぜ外はダメなのですか?」
「っ、危険だからだ」
「そんな勝手にどっかに行ったりしません」
「そういう問題ではない」
「では、部屋のベランダはダメですか?高さもありますし逃げたりしません!」
「ダメだ。ベランダは、、。そんなに外に行きたいのか」
「はい、少しだけ外の空気を吸いたいのです。」
「そのうち建国祭がある。その時には外に出れる。それまでは我慢しろ」
「はい、、分かりました、」
(そもそも私のわがままなんて聞いてもらえるわけないのに、、会った時も外に出られないとエルフォルク様は教えてくださっていたわ。このお城はエルフォルク様含めみんなが優しすぎて自分が無魔力のことを忘れてしまう)
明らかにテンションが下がってしまったグレンツェにヴァイザーは困ったようにため息をこぼす。
「はぁ、分かった。ただし約束してもらうことがある。外に出るときは必ず私と一緒であること」
「えっ?」
「嫌か?」
「っ!嫌じゃないです!」
「そうか、明日は久しぶりに花嫁修業も休みだろう?明日外に連れて行ってやる」
「ほんとですか?!」
「ただし城内だ。街に出たりはしない」
「はい!」
(嬉しい!!久しぶりの外!!)
嬉しそうな表情のグレンツェとは裏腹に険しい表情を見せるヴァイザーがいたことをグレンツェは知る由もない。
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