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1章
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しおりを挟む「ヴァイザー様は幼い頃それはそれは可愛くて、、!でもやはりとても賢いお子様でした。ヴァイザー様が5歳の時にご両親が無くなってから親代わりとなっていたのは現皇帝です。なので少し厳格な印象もありますが実はとてもお優しい方なのです!」
(エルフォルク様も親がいないのね、、確かにまだエルフォルク様は当主と言うには若いようにみえる。)
「では5歳からエルフォルク家の当主ということですか?」
(5歳の子が当主と聞いたらすぐにでも倒されてしまいそうなのに、、)
「えぇ、その時代はさすがに現皇帝が政治的な権力を握っていたと言えますがヴァイザー様はその時からとても強い魔力が出現していたため年齢とともにまた協力関係に戻っています。現在は対等と言えるでしょう。現皇帝も自分の息子のように可愛がっていましたから」
カナリエはグレンツェの疑問に答えるように話した。
「あ!それと、ヴァイザー様は花がお好きなんです」
「花ですか?」
「えぇ、場内には花がたくさん植えられていますがそれは全てヴァイザー様が指示されているのですよ、さすがに水やりなどは庭師が行っていますが植える草花はヴァイザー様が自ら決めています。」
(昨日窓から見えた花も全て、、とっても素敵だわ)
グレンツェはヴァイザーの意外な一面を知ったことで嬉しくなった。
「グレンツェ様、お昼からはいよいよ本格的に花嫁修業を始めようと思っているのですがよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします」
「また、なにか知りたいことがあれば気軽に聞いてくださいね」
カナリエは優しく微笑みながら言った。グレンツェはお礼を言う。
その後、昼食と一緒に一通りの食事マナーを教えてもらった。まだ慣れずゆっくりではあるがお肉もしっかりフォークとナイフで切れるようになった。
(利き手がナイフなのね、、昨日はだから力が入らなかったんだわ)
今日一日でたくさんのことを知り、グレンツェは少しだけ成長できた気がした。
「カナリエさん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」
「いえいえ。あと、私のことはカナリエ先生と呼んでくれたら嬉しいのだけど、、」
「カナリエ先生、、」
「ありがとうございます、グレンツェ様」
カナリエは嬉しそうに笑った。
部屋を出ればカイン卿が待っていた。
「あっ、お待たせしました」
「いえ!」
どこか緊張した面持ちで答えたカイン卿はグレンツェの後ろについて歩く。
(そういえばカイン卿と二人きりは初めてね。)
基本的にはエニック卿とカイン卿の二人がおり、どちらかしかいなくてもそのときにはレイがいた。
(なにか話すべきかしら、、けど騎士の立場からしたら魔力がないなんて特にありえない存在のはず。エニック卿もあまり話したくない様子だったし、、)
そんなことを考えていればいつの間にか部屋の前に着いていた。
「カイン卿、ありがとうございました。」
「いえ!当然のことをしたまでです!」
カイン卿はエニック卿よりも一回りほど若い印象だが、1人だったからか妙に緊張した面持ちだった。
部屋に戻り今日のことを振り返る。
(カナリエ先生はすごく優しい方だったわ、、何かを学ぶことなんて初めてだったけどこんなにワクワクするのね)
この国のこともエルフォルク家のことも興味深い話だった。食事のマナーなんてグレンツェがあのまま孤児院にいれば触れることの無い知識だろう。
(今日お肉出ないかなー。今日の復習がしたい、、)
孤児院のときには想像もできないほどのわがままがするりと頭の中に出ててグレンツェも驚く。
(こんなにわがままになったらヴァイザー様も呆れるわ。昨日優しくしてくださったのはきっと何も出来ない私を不憫におもったのよ。)
このお城の人はみんな優しい。まるで孤児院での扱いがおかしかったみたいに。最初は期待することも怖かったのに今グレンツェはすんなりこの環境に溶け込んでいる。
(ずっとこんな生活ならいいのに)
そんなことを考えたら大きなあくびが出る。今日は慣れない事をしたからどうやら疲れているらしい。
(夜ご飯まで時間はあるしお昼寝しよっと)
ふかふかのベットに身を投げればすぐに眠りについた。
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