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短編

うさぎさん 2【R-18】

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なんか、こんなに大きい愛を惜しみなく伝えてくれてるのに、俺は一つの望みもきいてやらないのかと自己嫌悪に陥ってきた…。

そうか。女の子ってこんな気持ちなのか。
だからシャンパン入れてくれるんだ。
初めてこっち側になったわ。

え、こいつわざとやってないよな?

「全部受け取って?ね?」

顔がいい。もうわざとでもいいわ。

「わ、かった。ありがと。」

「はい!」

まるで音符がつきそうなくらいの声。
本当に好きでいてくれてるんだったら俺も返したい。

…これはしょうがない。決して俺がやりたいわけじゃない。

「それ…着けてもいいから。」

「え?」

「うさみみ。いいよ、着ける。」

「え。嫌でしょ?いいよ無理しなくて。気にさせてごめんね。」

あんなに言ってきたわりには意外とあっさりと辞める方向に向かっていて、本当に大事にしてくれているのが伝わる。
でもそんなの俺だって大事だし。

「チケット代、それでいい?」

「え、いや、俺そんなつもりじゃなくて。無理はしてほしくないから。」

「いや、返さなきゃでしょ。愛。俺も尽くしてあげる。」

「まじすか…。破壊力…。付けてないのにもう破壊力…。」

急に真顔になってぶつぶつ言い始めた。
なに?なんて?怖いからやめてそれ。

「何ぶつぶつ言ってんの。はい、貸して。」

「え、本当にいいの?」

まだ確認とるか。焦ったいな。俺だってお前が好きなんだよ。さっきは悪かったよ。

「いいよ。ほら。」

「じゃあ…はい。」

う、バイブもだよなぁ…。しょうがない。

「あとなんだっけ。セーターね。全部つけてくるから待ってて。」

「え!待って、もう一個わがまま言っていい?」

「なに。」

「ノーパンがいい。」

「黙れ。調子の乗り方下手か。」

今更ながらすごい後悔し始めた。
なに、やっぱわざとか?急に元気取り戻してない?ホストの交渉力に乗せられたか?

「ごめん…。でも、めちゃくちゃ嬉しい!ありがとう!」

うん。もういいよ。アイ君が笑ってくれるならもういいよ…。

「待ってて…。」

「はーい!」

あー…。頑張れ俺。
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