姫様ごめん！うちのNo.1は俺の事大好きです！

短編

キスがしたい 1

アイ君と付き合って半年。
半年前と変わらず、アイ君は俺のことをめちゃくちゃ大事にしてくれている。

不満はあまりない。
そう、あまり。
ないと言えないのはアイ君が俺を大事にしすぎな事。これが不満。

いや、そろそろ手出してくれても良くない…？
流石に大事にしすぎじゃないですか。

実はまだキスさえしてない。
何事？成人男性2人が付き合ってキスしてないとかあるの？なに？漫画なの？なにこれ。
現実に起こり得るんだこんなこと。

え、これ大事にされてる？本当に。
実は嫌とかじゃない？大丈夫？
不安になってきた。

何が不安って俺たちは普通のカップルと違うところ。
俺とはしてない半年の間にもアイ君は女の子とキスもそういうこともしているのだ。
そして俺もしている。

俺たちはホストという仕事上、お客さんの女の子とデートはするし、必要があれば身体を交わすことだってある。
枕というと響きは悪いが、この業界では割と当たり前だったりもする。
別に鬼枕と言うわけでもないし必要があったらするだけの話なので、俺もアイくんもそこは承知の上で付き合っている。
まあめんどくさいししたくもないから本当に必要な時だけ。多分アイ君もそう。

だからそこに関しては不満はないのだが、やはり不安ではある。
女の子とそういう機会があると言う事は、わざわざ男の俺に手を出してこなくてもそっちで解消できてしまうということ。

いくら俺のことが好きだといってももしかしたら男の俺とはキスとかそういうのはしたくないのではないか。この不安が襲ってきてしまう。

俺はアイ君とキスもそういうこともしたいと思っているから、もしそうだったらだいぶ落ち込む。

だっておかしくない！？あんなに溺愛！って感じで片時も離れなくていっつも抱きしめてくるのにキスだけはしないなんて…もしかして嫌なの！？

大事にされてるとかお花畑してたけどもしかしてそういうの嫌な感じ！？
不安になってきた…。

よし、もう決めた。今日絶対問い詰める。
今日絶対アイ君とキスする！