上 下
3 / 28
短編

初めてのデート 1

しおりを挟む
付き合って1週間になる今日、初めてのデートだ。

男性と付き合った経験のない俺には、男同士のデートってどうするのか疑問はある。
それに、あの日以来業務以外で直接話していない。そう考えると大分こっぱずかしいんだけど。

謎に朝から緊張していたからか、いつも少し遅れてしまう待ち合わせも時間ぴったりについてしまった。
いや、本来いい事なんだけど。

さっき連絡があった場所の詳細を頼りにしながらアイ君を探す。
えーと…噴水の近く。あ、いた。

「アイ君。」

「さきさん!」

「ごめん待たせた。」

「いえ、今着いたところだったんで。」

なんとべたな。

着いたら連絡くださいってきてたのが20分前だったからその時間の前にはいたんだよな絶対。
30分前に来てた説は全然ある。
アイ君そういうところ真面目だし気遣いすごいし。

まあからかうけど。

「嘘だ?30分前にはきてたな。」

ちょっと自意識過剰かなとか思ったけど聞いてみた。
別に違ったらそれでいいし。

「なんでわかったんですか…。かっこつけさせてくださいよ。」

やっぱりそうだったらしい。
少し困ったように笑うアイ君がかっこよくてどきっとしてしまった。

「しょうがないじゃないですか。
今日めちゃくちゃ楽しみだったんですよ。そりゃあ気も早くなっちゃうでしょ。」

うわ。なに。心臓に悪いからやめてほしい。
かっこよすぎる。
それが本当だとしたらギリギリできた自分がなんか申し訳なくなってきた。

「ごめんねギリで。」

「全然大丈夫ですよ。僕が勝手に早く来ただけですし、そもそも僕はさきさんが来てくれただけで嬉しいので。」

こいつはなんでこんなに歯がうくようなセリフを平然といえるんだよ。

ああ、ホストだからだ。何なら俺も姫に言ってるわ。

ただ顔のせいなのか、俺とは絶対に何かが違う。
なんかめちゃくちゃかっこいい。さっきからそこそこ撃ち抜かれている。

「というか絶対遅刻してくると思ってました。」

ごめん前言撤回。全然かっこよくない。

「失礼な。」

…まあめちゃくちゃわかるけど。俺も正直間に合うとは思ってなかったけど。

「仕事は絶対遅刻しないのにプライベートは遅刻魔で有名ですから。」

「自覚あります…」

「でも、今日ちょっきり来てくれたってことはそれだけ僕に会いたかったってことですよね。嬉しいです。」

「自意識過剰め。」

意味の分からない自信であきれるが、別に楽しみじゃなかったわけじゃない。
普段はしない前日の準備をしっかりとしてしまった自分もいるので、否定できないのが悔しい。
まあ緊張してた、が一番正しいけど。

「ふふ。なんとでも言ってください。それで、どこ行きます?」

嬉しそうな顔をしているからもうこれ以上は何も言わないでおいてやることにする。

「アイ君が行きたいところなかったらでいいんだけど、こないだすぐそこに新しいビル建ったでしょ。いってみたい。」

「ああ、あそこですね。僕も行ってみたかったんです!いきましょう。」

優男か。
いちいち言うことがかっこいいんだよ。

「一回見ておきたかったんだよね。なかなか機会なくてさー…」

「わかります。僕も気になってたので、さきさんと一緒に行けて嬉しいです!」

本当に嬉しそうにいってくれるからこっちまで嬉しくなる。
こういうところに惚れるんだろうな…勉強しよ。今日。

「じゃあこの信号渡ったほうがいいですね。行きましょう。」

リードしてくれるし、今も渡り切った後さりげなく車道側に行ってくれるし。
ずっとイケメンなんだけど。

正直ちょっと戸惑ってたけど、今日思ったより楽しみかも。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【BL】男なのにNo.1ホストにほだされて付き合うことになりました

猫足
BL
「浮気したら殺すから!」 「できるわけがないだろ……」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その結果、恋人に昇格。 「僕、そのへんの女には負ける気がしないから。こんな可愛い子、ほかにいるわけないしな!」 「スバル、お前なにいってんの…?」 美形病みホスと平凡サラリーマンの、付き合いたてカップルの日常。 ※【男なのになぜかNo. 1ホストに懐かれて困ってます】の続編です。

小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる

海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

浮気をしたら、わんこ系彼氏に腹の中を散々洗われた話。

丹砂 (あかさ)
BL
ストーリーなしです! エロ特化の短編としてお読み下さい…。 大切な事なのでもう一度。 エロ特化です! **************************************** 『腸内洗浄』『玩具責め』『お仕置き』 性欲に忠実でモラルが低い恋人に、浮気のお仕置きをするお話しです。 キャプションで危ないな、と思った方はそっと見なかった事にして下さい…。

奴の執着から逃れられない件について

B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。 しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。 なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され..., 途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。

処理中です...