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短編
理解と納得 2
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「エースの子ですか?」
「今回は違う子。知ってるかな。
指名くれたの最近だけどそこそこ使ってくれてる、よくツインテールしてるピンクの髪の子。
こないだ50万のやついれてくれたからそのお礼。」
俺たちは付き合っているけれど、ホストでもある。
だからお客さんの女の子とデートはするし、必要があれば身体を交わすことだってある。
枕というと響きは悪いが、割と当たり前だったりもするのだ。
俺もアイくんも、そこは承知の上で付き合っている。
「あー、なんかわかった気がする。初回ついた記憶あるや。髪の毛派手だったから覚えてる。
絶対どっかにリボンつけてる子でしょ。」
「あー、そう。多分その子。
珍しく写指くれた子なんだよね。
俺アイ君みたいにイケメンじゃないから写指珍しいの。」
写指とは写真指名の略だ。
ホストクラブの初回では、宣材写真などを見て気になった人を1人か2人くらい選べるというシステムが、大体の店舗で存在する。
俺の店は1人だけ指名が可能で、俺の顔はザ・普通。
あまり写真指名はされない。
「僕はさきさんの顔好きですけどね。」
イケメンが覗き込んで顔ぺたぺた触ってくる。
うるせえイケメン。
ちなみにアイ君は写真指名の常連だ。
イケメンっていいねえ。もう普通に羨ましい。
「それはどうも。」
「信じてないなあ。」
少し呆れた顔でもイケメンなのがずるい。
このレベルがゴロゴロいるんだからそりゃ顔じゃ勝てない。
俺だって俺を写真指名はしない。
「アイくんはイケメンでいいなあ。写指めちゃくちゃはいってるもんね。」
「さきさんは喋ってみてから魅力爆発タイプでしょ?
喋らなくても魅力だらけだけど。」
「顔には勝てねえよ。結局みんな顔だもん。」
「いいんですよ。さきさんの良さは僕だけが知ってればいいんだから。」
「それじゃだめでしょ。仕事なんだから。」
イケメンは言うこともイケメンだけど、世の中はそういうわけにもいかない。
「んー…。さきさんやっぱり仕事辞めないですか…僕だけが知ってたい。僕さきさん養えます。」
アイ君は最近すぐこうなる。
お互いに理解はしている。デートも枕も。
ただ、理解と納得は別。
アイくんは納得していない。
今すぐにでもやめてほしい。でも自分もおなじだから強くは言えない。というところだと思う。
「ホストがホストを水揚げしようとしないの。」
ぺちぺちとほっぺを叩きながら軽く制してみるが、最近はそれじゃ効かなくなってきた。
「ねえ、さきさん。僕養うんで、ね?
さきさんが女とイチャイチャするの嫌だ。」
「ブーメランすぎる。アイ君が女の子とイチャイチャした金で養われるんだよ俺。」
「むぅ、それは仕事。」
「俺も仕事。」
「今回は違う子。知ってるかな。
指名くれたの最近だけどそこそこ使ってくれてる、よくツインテールしてるピンクの髪の子。
こないだ50万のやついれてくれたからそのお礼。」
俺たちは付き合っているけれど、ホストでもある。
だからお客さんの女の子とデートはするし、必要があれば身体を交わすことだってある。
枕というと響きは悪いが、割と当たり前だったりもするのだ。
俺もアイくんも、そこは承知の上で付き合っている。
「あー、なんかわかった気がする。初回ついた記憶あるや。髪の毛派手だったから覚えてる。
絶対どっかにリボンつけてる子でしょ。」
「あー、そう。多分その子。
珍しく写指くれた子なんだよね。
俺アイ君みたいにイケメンじゃないから写指珍しいの。」
写指とは写真指名の略だ。
ホストクラブの初回では、宣材写真などを見て気になった人を1人か2人くらい選べるというシステムが、大体の店舗で存在する。
俺の店は1人だけ指名が可能で、俺の顔はザ・普通。
あまり写真指名はされない。
「僕はさきさんの顔好きですけどね。」
イケメンが覗き込んで顔ぺたぺた触ってくる。
うるせえイケメン。
ちなみにアイ君は写真指名の常連だ。
イケメンっていいねえ。もう普通に羨ましい。
「それはどうも。」
「信じてないなあ。」
少し呆れた顔でもイケメンなのがずるい。
このレベルがゴロゴロいるんだからそりゃ顔じゃ勝てない。
俺だって俺を写真指名はしない。
「アイくんはイケメンでいいなあ。写指めちゃくちゃはいってるもんね。」
「さきさんは喋ってみてから魅力爆発タイプでしょ?
喋らなくても魅力だらけだけど。」
「顔には勝てねえよ。結局みんな顔だもん。」
「いいんですよ。さきさんの良さは僕だけが知ってればいいんだから。」
「それじゃだめでしょ。仕事なんだから。」
イケメンは言うこともイケメンだけど、世の中はそういうわけにもいかない。
「んー…。さきさんやっぱり仕事辞めないですか…僕だけが知ってたい。僕さきさん養えます。」
アイ君は最近すぐこうなる。
お互いに理解はしている。デートも枕も。
ただ、理解と納得は別。
アイくんは納得していない。
今すぐにでもやめてほしい。でも自分もおなじだから強くは言えない。というところだと思う。
「ホストがホストを水揚げしようとしないの。」
ぺちぺちとほっぺを叩きながら軽く制してみるが、最近はそれじゃ効かなくなってきた。
「ねえ、さきさん。僕養うんで、ね?
さきさんが女とイチャイチャするの嫌だ。」
「ブーメランすぎる。アイ君が女の子とイチャイチャした金で養われるんだよ俺。」
「むぅ、それは仕事。」
「俺も仕事。」
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