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短編
なれそめ
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ホストを初めてちょうど2年の時、アイ君にあった。
そこそこの年数、そこそこの売上の俺は新人教育をすることがある。
アイくんもその一人だった。
ただその時はなつかれた感じもなく、研修は終わった。
研修なんて時間もかけないし固定の人間がやるわけでもない。
ほんの少しだけ話して、そこから2か月は挨拶を交わすくらい。
チームも違ったし正直全然かかわりがなかった。
そんな関係は突然変わった。
ある日は取締役のバースデーだった。
肝臓要因として死ぬほど飲んだアイくんはそれはそれは酔っぱらっていて、
「さきさん!好きです!」と、まあドストレートな告白をかましてきた。
とはいっても酔っ払いの事は信じるべきじゃないし、本人は覚えていないのは定石。
98%はノリと勢い。あの時誰もいなかったバックヤードだったのが気になるけれど、
俺も酔ってたし適当に流して終わった。
しっかり冗談だと思っていたし。
しかしこいつは完ぺきに覚えていたらしく、
翌日謝るとともに、「本気で好きなんです。」と再度告白をされた。
「ほんとにごめんなさい。ほんとに好きなんです。」
と、頭を下げて必死に伝えてくる姿がなんとなく気の毒に思えて、
バースデー月1,000万いったら付き合ってあげてもいいよ。と言ってしまったわけで。
それを聞いたアイくんは目をキラキラさせて「絶対ですからね!約束ですよ!」と去っていった。
その時は軽い気持ちで考えてた。
そのころから期待の新人だったとはいえど、アイ君のバースデーまでは残り3か月ちょっと。
そもそも未経験の新人がこの速さでバースデーイベントができる事自体異常で、1,000万なんて無謀だと。
通常、バースデーなんてめちゃくちゃ準備するし、ひと月で1,000万以上あげようと思ったら一人の女の子じゃ厳しい。
今から貯めたとしても1人じゃ300万が限界だろう。現にアイくんが予定してるタワーはそのくらいだと聞いた。
新人だから姫の人数もそんなにいないだろうし、めちゃくちゃ頑張ってあと200か300。
そう思っていた。
そう思っていたのに、
期待の新人アイくんはやってのけてしまった。
入店6か月未経験1,200万達成。
意味不明だ。
入って数か月でイベントを打てることがもはやすごいのに。
まさにホストドリーム。顔がいいってずるい。いやそれだけじゃないんだろうけど。
これは完全にやってしまった。
なんて言って断ろうか。なんなら忘れてくれていないか。声を掛けられる前に帰ろう。そんなことを考えていた時、
「さきさん」
背後からアイ君の声が聞こえた。
どうしよう。なんて言って断ろう。さすがに冗談だよな。ね、そうだよね。
そんな軽い気持ちで振り向いた。
でも、
そこにいたアイ君はめちゃくちゃ不安そうな、緊張しているような表情を浮かべていて、
そのうえバースデーで散々飲んだ限界のうるんだ瞳で
「さきさん。僕やりましたよ…?あれ嘘じゃないですよね…?」
なんて言われてしまえば嘘なんて言えなかった。
考えてみればバースデーが決まってからのこいつの動きようはすごかったし、
あれ言われた後じゃ、俺と付き合うために頑張ってんのかなあとか、そりゃ意識もしていたわけで。
もちろんホストとしての売上のためなのもわかっているけれど。
まあ、イケメンだし、ここまで思ってくれてるし、何より約束だし、「うん。いいよ。」と返してしまった。
それが最後、そこから順調にアイ君の底なしの愛を受ける事になる。
そこそこの年数、そこそこの売上の俺は新人教育をすることがある。
アイくんもその一人だった。
ただその時はなつかれた感じもなく、研修は終わった。
研修なんて時間もかけないし固定の人間がやるわけでもない。
ほんの少しだけ話して、そこから2か月は挨拶を交わすくらい。
チームも違ったし正直全然かかわりがなかった。
そんな関係は突然変わった。
ある日は取締役のバースデーだった。
肝臓要因として死ぬほど飲んだアイくんはそれはそれは酔っぱらっていて、
「さきさん!好きです!」と、まあドストレートな告白をかましてきた。
とはいっても酔っ払いの事は信じるべきじゃないし、本人は覚えていないのは定石。
98%はノリと勢い。あの時誰もいなかったバックヤードだったのが気になるけれど、
俺も酔ってたし適当に流して終わった。
しっかり冗談だと思っていたし。
しかしこいつは完ぺきに覚えていたらしく、
翌日謝るとともに、「本気で好きなんです。」と再度告白をされた。
「ほんとにごめんなさい。ほんとに好きなんです。」
と、頭を下げて必死に伝えてくる姿がなんとなく気の毒に思えて、
バースデー月1,000万いったら付き合ってあげてもいいよ。と言ってしまったわけで。
それを聞いたアイくんは目をキラキラさせて「絶対ですからね!約束ですよ!」と去っていった。
その時は軽い気持ちで考えてた。
そのころから期待の新人だったとはいえど、アイ君のバースデーまでは残り3か月ちょっと。
そもそも未経験の新人がこの速さでバースデーイベントができる事自体異常で、1,000万なんて無謀だと。
通常、バースデーなんてめちゃくちゃ準備するし、ひと月で1,000万以上あげようと思ったら一人の女の子じゃ厳しい。
今から貯めたとしても1人じゃ300万が限界だろう。現にアイくんが予定してるタワーはそのくらいだと聞いた。
新人だから姫の人数もそんなにいないだろうし、めちゃくちゃ頑張ってあと200か300。
そう思っていた。
そう思っていたのに、
期待の新人アイくんはやってのけてしまった。
入店6か月未経験1,200万達成。
意味不明だ。
入って数か月でイベントを打てることがもはやすごいのに。
まさにホストドリーム。顔がいいってずるい。いやそれだけじゃないんだろうけど。
これは完全にやってしまった。
なんて言って断ろうか。なんなら忘れてくれていないか。声を掛けられる前に帰ろう。そんなことを考えていた時、
「さきさん」
背後からアイ君の声が聞こえた。
どうしよう。なんて言って断ろう。さすがに冗談だよな。ね、そうだよね。
そんな軽い気持ちで振り向いた。
でも、
そこにいたアイ君はめちゃくちゃ不安そうな、緊張しているような表情を浮かべていて、
そのうえバースデーで散々飲んだ限界のうるんだ瞳で
「さきさん。僕やりましたよ…?あれ嘘じゃないですよね…?」
なんて言われてしまえば嘘なんて言えなかった。
考えてみればバースデーが決まってからのこいつの動きようはすごかったし、
あれ言われた後じゃ、俺と付き合うために頑張ってんのかなあとか、そりゃ意識もしていたわけで。
もちろんホストとしての売上のためなのもわかっているけれど。
まあ、イケメンだし、ここまで思ってくれてるし、何より約束だし、「うん。いいよ。」と返してしまった。
それが最後、そこから順調にアイ君の底なしの愛を受ける事になる。
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