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6.君は魔法使い
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最初はゆっくり挿入され、確かに壊れないよう丁寧に中をギードの猛りに愛撫された。何度も何度も擦られ、全部を味わうみたいにどこもかしこもその肉棒が形を辿った。
素直に快感を拾って、僕の身体は弱く熔けていった。一度知ってしまえばもっともっとほしくなるのは本能だ。与えられることが当たり前になって、逃さないよう内壁がしがみつく。
「はっ、ぁあっ、……っあ、んんっ」
「上手……気持ちいいよ。初めてなのにすごい…ちゃんと俺の形おぼえてね?」
だけどそんな時間はすぐに終った。
勢いと強さの加わった責苦が訪れた。どちゅっと一番奥まで挿入されると、もう行き止まりだというのにギードは更に奥を突いた。
長くて太い男根はありえないところまで届く。腹の中が自分じゃない誰かのもので埋められるなんて、想像もしていなかった。
「………っ……ぁ、!」
痛いのかな。たぶん痛みなのだと思うけど感覚が麻痺して、もしかしたらこれは快感なんじゃないかと錯覚してしまった。
どこまで挿れられるのか終わりがなく、怖いような気持ちの裏で犯されながら内壁のざわつきにどこか歓喜していた。
喘ぎ声は止むことがなくずっと僕の口から繰り返される。息なのか声なのか、意味のない音ばかりが絶え間なく発せられた。
「ギ、ド、……ぁ、いぁっ、あっ」
「奥も好きだね、よかった」
同じように下方からぬちゃぬちゃ水音が途切れることはない。何度絶頂を迎えたのか回数はわからないが、ギードが放ったものを受け止めている僕の腹は膨れていた。
たまに意識が遠くなる。ぼやっとして視界がよくわからなくなって、寝てるのかなと思っていると、ゆさゆさ振動で現実へ戻ってきた。
「おかえり」
そうするとギードが笑って楽しそうに僕へキスをする。そのまま口を塞がれ、口腔を吸われて口蓋を舐められ、また意識がぼんやりして。ずっとその繰り返しだった。
入口近くまで引き抜くと先端で性感帯を突いて快楽を呼び起こす。そして奥深くまで抉り、背筋が震える様子を眺められた。
ぐるんとうつ伏せにされ、力の入らない身体は腰だけ高く持ち上げられる。ぱつんぱつんギードが打ち付け、孔から精液が泡立って太腿を伝い垂れた。
「かっ、……っ、ぁー、っ」
「声出なくなっちゃったね。でもまだセックスはできそうだよ?」
いやもうできない。無理。
かなり前から僕の陰茎からは何も出なくなっていた。イってるようなぎゅっとしたものはあるのに、物足りないような絶頂ばかりだ。
ゆさゆさ身体が揺れるたび、半勃ちの陰茎からポタリと雫が滴る。
「さすがに俺も少し休まないと無理かなぁ」
どれだけ出したのか知らないが、世の中で言われる絶倫よりすごい気がする。勿論相手をしたことなどないから比べる相手もいないし、想像でしかないとしてもだ。
何で全然萎えないんだろう。わかっている限りだけでもずっと漲って、硬さを保っている気がする。
じゃあと一回ね。と、言ったのは冗談じゃなかった。深く穿たれた後、僕は遠慮なく意識を手放したし、ギードはその後もう起こすことはしなかった。
あんなに酷使した身体は軋んでいるけど、驚くほどパッチリ目が覚めた。ギシギシの腕も体も筋肉痛でどうにもならないから、目線だけで何となく部屋の様子を覗う。
室内は朝日の明るさではない。もう昼時になるんだろう。部屋の主であるギードは、どこにいるのか姿が見えない。
と、思って横を見たらそこにいた。
「…っ、ぎっ………っ」
声が出なくてカラカラで、けほっと名前を呼ぼうとした音は途切れた。
「大丈夫?…はい」
そっと背中へ腕を入れて起こしてくれて、コップに入れた水を渡してくれた。コクコク飲んで全身へ染み渡る。水がこんなにおいしいなんて思ったのは初めてだ。
「……何で、こんな、こと…?」
「ん? 好きだからだけど?」
「好、き?」
言っていることがよくわからない。いや今までキスすらしていなかったのに、急にこんな……襲うみたいに身体を繋いできた理由がわからない。
「うん。リンのこと好きって言ったよね? 少しずつ俺の好みに染めていくより、何もかもいっぺんに奪おうと思ってたから。それなのにオスカーが余計なこと言ったみたいで街裏にいたんでしょ? 汚される前にやっぱり抱いちゃおうかなって」
「………」
言われたことが想像していなかったことばかりで、僕は絶句した。何だそれ……どういうこと?僕のことが本当に好きで合ってる?
「わざと、…見せつけてたってこと?」
「見せつけてはいないよ。勝手に告白とかしてきただけだし」
「あの、僕には何もしなくて、他の人に『好き』って返したり、デートしてたのはっ……?」
「うーん、リンと同じ瞳の色をした子かな?あとは髪色が同じ子とか、リンみたいだなとは思ったけど誰だか知らない。リンじゃないならどうでもいいかな」
「な、えっ!?」
まさかの理由に驚愕しかない。それって僕以外に興味がないということだろうか。ちょっとおかしな執着みたいなものを感じなくもないが、とてつもなく好かれているといえなくもない。
え、いや、ホントに?あれ、いいのかなこれで。どうしたってギードのことは嫌いにれない僕は、やっぱり一緒にいたいと思ってしまう。それならこのおかしな愛情表現を受け止める…べきなのだろう。
「ギードはモテるでしょう? 魔法も、本当はすごい魔法使いなんじゃないの? こんな何もできない見習いの僕なんかで、いいのかな……」
少し年上の同じ魔法使い見習いだと思っていた。かっこよくて、優しくて、面倒見のいい彼に釣り合うのは、別の誰かなんじゃないかといつも不安だった。
そしたら、僕の額にちゅっって唇が触れた。昨夜の執拗で苦しいくらいの愛撫や粘着質なものとは全然違う、同じ人から与えられたとは思えないくらい愛しさを渡すみたいな優しいものだった。
そして―――
「魔法、使えるでしょ。だって俺のこと幸せにできるよ? すごいじゃん」
リーンハルトは俺だけの魔法使いだよ。
そう言ってギードは、嘘も偽りもない眩い笑顔を浮かべていた。
終
素直に快感を拾って、僕の身体は弱く熔けていった。一度知ってしまえばもっともっとほしくなるのは本能だ。与えられることが当たり前になって、逃さないよう内壁がしがみつく。
「はっ、ぁあっ、……っあ、んんっ」
「上手……気持ちいいよ。初めてなのにすごい…ちゃんと俺の形おぼえてね?」
だけどそんな時間はすぐに終った。
勢いと強さの加わった責苦が訪れた。どちゅっと一番奥まで挿入されると、もう行き止まりだというのにギードは更に奥を突いた。
長くて太い男根はありえないところまで届く。腹の中が自分じゃない誰かのもので埋められるなんて、想像もしていなかった。
「………っ……ぁ、!」
痛いのかな。たぶん痛みなのだと思うけど感覚が麻痺して、もしかしたらこれは快感なんじゃないかと錯覚してしまった。
どこまで挿れられるのか終わりがなく、怖いような気持ちの裏で犯されながら内壁のざわつきにどこか歓喜していた。
喘ぎ声は止むことがなくずっと僕の口から繰り返される。息なのか声なのか、意味のない音ばかりが絶え間なく発せられた。
「ギ、ド、……ぁ、いぁっ、あっ」
「奥も好きだね、よかった」
同じように下方からぬちゃぬちゃ水音が途切れることはない。何度絶頂を迎えたのか回数はわからないが、ギードが放ったものを受け止めている僕の腹は膨れていた。
たまに意識が遠くなる。ぼやっとして視界がよくわからなくなって、寝てるのかなと思っていると、ゆさゆさ振動で現実へ戻ってきた。
「おかえり」
そうするとギードが笑って楽しそうに僕へキスをする。そのまま口を塞がれ、口腔を吸われて口蓋を舐められ、また意識がぼんやりして。ずっとその繰り返しだった。
入口近くまで引き抜くと先端で性感帯を突いて快楽を呼び起こす。そして奥深くまで抉り、背筋が震える様子を眺められた。
ぐるんとうつ伏せにされ、力の入らない身体は腰だけ高く持ち上げられる。ぱつんぱつんギードが打ち付け、孔から精液が泡立って太腿を伝い垂れた。
「かっ、……っ、ぁー、っ」
「声出なくなっちゃったね。でもまだセックスはできそうだよ?」
いやもうできない。無理。
かなり前から僕の陰茎からは何も出なくなっていた。イってるようなぎゅっとしたものはあるのに、物足りないような絶頂ばかりだ。
ゆさゆさ身体が揺れるたび、半勃ちの陰茎からポタリと雫が滴る。
「さすがに俺も少し休まないと無理かなぁ」
どれだけ出したのか知らないが、世の中で言われる絶倫よりすごい気がする。勿論相手をしたことなどないから比べる相手もいないし、想像でしかないとしてもだ。
何で全然萎えないんだろう。わかっている限りだけでもずっと漲って、硬さを保っている気がする。
じゃあと一回ね。と、言ったのは冗談じゃなかった。深く穿たれた後、僕は遠慮なく意識を手放したし、ギードはその後もう起こすことはしなかった。
あんなに酷使した身体は軋んでいるけど、驚くほどパッチリ目が覚めた。ギシギシの腕も体も筋肉痛でどうにもならないから、目線だけで何となく部屋の様子を覗う。
室内は朝日の明るさではない。もう昼時になるんだろう。部屋の主であるギードは、どこにいるのか姿が見えない。
と、思って横を見たらそこにいた。
「…っ、ぎっ………っ」
声が出なくてカラカラで、けほっと名前を呼ぼうとした音は途切れた。
「大丈夫?…はい」
そっと背中へ腕を入れて起こしてくれて、コップに入れた水を渡してくれた。コクコク飲んで全身へ染み渡る。水がこんなにおいしいなんて思ったのは初めてだ。
「……何で、こんな、こと…?」
「ん? 好きだからだけど?」
「好、き?」
言っていることがよくわからない。いや今までキスすらしていなかったのに、急にこんな……襲うみたいに身体を繋いできた理由がわからない。
「うん。リンのこと好きって言ったよね? 少しずつ俺の好みに染めていくより、何もかもいっぺんに奪おうと思ってたから。それなのにオスカーが余計なこと言ったみたいで街裏にいたんでしょ? 汚される前にやっぱり抱いちゃおうかなって」
「………」
言われたことが想像していなかったことばかりで、僕は絶句した。何だそれ……どういうこと?僕のことが本当に好きで合ってる?
「わざと、…見せつけてたってこと?」
「見せつけてはいないよ。勝手に告白とかしてきただけだし」
「あの、僕には何もしなくて、他の人に『好き』って返したり、デートしてたのはっ……?」
「うーん、リンと同じ瞳の色をした子かな?あとは髪色が同じ子とか、リンみたいだなとは思ったけど誰だか知らない。リンじゃないならどうでもいいかな」
「な、えっ!?」
まさかの理由に驚愕しかない。それって僕以外に興味がないということだろうか。ちょっとおかしな執着みたいなものを感じなくもないが、とてつもなく好かれているといえなくもない。
え、いや、ホントに?あれ、いいのかなこれで。どうしたってギードのことは嫌いにれない僕は、やっぱり一緒にいたいと思ってしまう。それならこのおかしな愛情表現を受け止める…べきなのだろう。
「ギードはモテるでしょう? 魔法も、本当はすごい魔法使いなんじゃないの? こんな何もできない見習いの僕なんかで、いいのかな……」
少し年上の同じ魔法使い見習いだと思っていた。かっこよくて、優しくて、面倒見のいい彼に釣り合うのは、別の誰かなんじゃないかといつも不安だった。
そしたら、僕の額にちゅっって唇が触れた。昨夜の執拗で苦しいくらいの愛撫や粘着質なものとは全然違う、同じ人から与えられたとは思えないくらい愛しさを渡すみたいな優しいものだった。
そして―――
「魔法、使えるでしょ。だって俺のこと幸せにできるよ? すごいじゃん」
リーンハルトは俺だけの魔法使いだよ。
そう言ってギードは、嘘も偽りもない眩い笑顔を浮かべていた。
終
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