5 / 6
5.欲しいものを手に入れる
しおりを挟む「……全部ぜんぶ、もらうね」
「あっ…、」
少し笑って更に近付いた顔。目を見開いたまま、初めてキスされた。触れるだけを数回、唇の先がちょんちょん突くような軽いものだ。
それから角度をつけてギードが唇で僕の唇をつまんで、舌先がチロチロ舐めてきた。合わせ目から舌先が入って来て、僕が少し隙間を開けたら遠慮なくにゅるりと更に深くまで入ってきた。
「ふっ、んんっ」
くちゅくちゃん舐められ続け、息が苦しいからギードの服を掴もうとしてるのに、ガシャリと音がしてやはり右手は動かすことができなかった。それでも外すことはしてくれなくて、左手で縋るようにシャツを掴んだ。
止めてほしいのか触れる行為をしてもらえて嬉しいのか、見たことないギードの様子に驚いてどうしたらいいのかわからない。ただちっとも嫌悪はなく、嫌だなんてことは思っていなかった。
「ふっ、は……ん、んっ」
隙間から急いで息を吸ったら、またすぐ塞がれてしまった。酸欠と舌先の愛撫で頭の中がクラクラする。
意識がぼんやりしていると、一度達した陰茎を再び握られた。半分勃ち上がりかけているソレに吐き出した精液を塗りたくられ、ぬちゃぬちゃ淫猥な音が響く。
先端からまた少しずつ液が溢れ始め、指先がヌメリを辿って移動していった。下へ下へ、その先は触れたことのない場所だというのに、躊躇いなくギードの指は奥孔へ沈めていった。
「んっんっー!」
痛くはなくても違和感がある。沈められた指先へ意識を向けていたら、ぼやっと一瞬その後孔が温かくなって何かされたことがわかった。
妙にすっきりというかさっぱりというか、きれいになったような感じだ。たけど孔の近くはドロドロしたものが溢れ、新たに中へ違う何かが含まされていた。
「浄化と保湿の応用。壊したいわけじゃないから安心して?」
唇が離され説明されても、その内容がやはりそうかと思うのとちょっと物騒なこと言ってる気がして半分聞き流してしまった。僕は足りない酸素を取り込む方が優先だった。
それからそのドロドロしたヌメリを使って何度も指が抜き差しされ、一本から二本、三本へと増やされた。ぐちゃぐちゃに解された後孔は、初めてだというのに痛みがほとんどない。
「あっ、あ、あっ」
孔がそれなりに拡がったことが見てとれ目的が変わったのか、入っていた奥深くで指の先を曲げ始めた。何かを探して蠢く指たちが、肉壁のある場所を撫ぜたとき躰が跳ねた。
「ここかな?」
コリコリそこばかりを突かれる。時々トントン叩かれ、グリッと強く押しながらやはりコリコリ何度もそこを刺激する。
「ぁ、そこっ、あっ…んん、あ、やぁ」
「いや?嫌じゃないね、いいよね?」
じゃあ違うので可愛がってあげるね。って、後ろから指が抜かれた。満たされていたものがなくなった喪失感でみっともなく内壁が追いかける。
「あ、ぁ……」
「待てない? すぐあげるよ」
獰猛な声音で宣言すると、奥孔へ猛ったギードが押し当てられた。ふちゅふちゅ切っ先でまるでキスするみたいにその存在を知らしめ、ぴっとりくっつけたらジリジリ押し入ってきた。
「はっ、は、はぁ、あっ」
「……力、抜いて」
抜いてと言われても抜くことなんかできない。それところかギュッと自分の手を握る。覚悟するみたいにかえって力が込もった。たぶん逃げることはできない、そんな諦めに似た覚悟。
好きな人を相手に逃げるとか思う必要はないけど、でもちょっといつもと違うギードが恐い。
すると、両手の平にするりと力を逃させようとするみたいに、ギードの手が入り込んだ。ジャラッて音がした後は手首がすかすかして、拘束がなくなった。でも代わりに両手がベッドへ縫い留められる。上から見下されて、熱量が僕にも伝染してきた。
「大人しく待ってたら逃げちゃいそうだし、もういいかなって。リンが熔けちゃうくらい抱いて、掴まえておこうって思ったから」
「ギード……何言って、」
「だから、抱き潰すね」
右手を持ち上げられ、擦り傷で血が滲んでいる人差し指を口へ含まれた。れろれろ舐めて舌を這わせ、だけどニヤッて笑ったらガブッと噛まれた。
「い゛ぎっ、っ!!!」
瞳はとてつもなく熱い欲望を浮かばせているのに、纏う気配は震えるほど冷たく感じた。宣告は誇張なんかではなく、そのままの言葉として実行された。
118
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
追放系治癒術師は今日も無能
リラックス@ピロー
BL
「エディ、お前もうパーティ抜けろ」ある夜、幼馴染でパーティを組むイーノックは唐突にそう言った。剣術に優れているわけでも、秀でた魔術が使える訳でもない。治癒術師を名乗っているが、それも実力が伴わない半人前。完全にパーティのお荷物。そんな俺では共に旅が出来るわけも無く。
追放されたその日から、俺の生活は一変した。しかし一人街に降りた先で出会ったのは、かつて俺とイーノックがパーティを組むきっかけとなった冒険者、グレアムだった。
かくして王子様は彼の手を取った
亜桜黄身
BL
麗しい顔が近づく。それが挨拶の距離感ではないと気づいたのは唇同士が触れたあとだった。
「男を簡単に捨ててしまえるだなどと、ゆめゆめ思わないように」
──
目が覚めたら異世界転生してた外見美少女中身男前の受けが、計算高い腹黒婚約者の攻めに婚約破棄を申し出てすったもんだする話。
腹黒で策士で計算高い攻めなのに受けが鈍感越えて予想外の方面に突っ走るから受けの行動だけが読み切れず頭掻きむしるやつです。
受けが同性に性的な意味で襲われる描写があります。
異世界転移しました。元天才魔術師との優雅なお茶会が仕事です。
渡辺 佐倉
BL
榊 俊哉はつまらないサラリーマンだった。
それがある日異世界に召喚されてしまった。
勇者を召喚するためのものだったらしいが榊はハズレだったらしい。
元の世界には帰れないと言われた榊が与えられた仕事が、事故で使い物にならなくなった元天才魔法使いの家庭教師という仕事だった。
家庭教師と言っても教えられることはなさそうだけれど、どうやら元天才に異世界の話をしてイマジネーションを復活させてほしいという事らしい。
知らない世界で、独りぼっち。他に仕事もなさそうな榊はその仕事をうけることにした。
(元)天才魔術師×転生者のお話です。
使用人の俺を坊ちゃんが構う理由
真魚
BL
【貴族令息×力を失った魔術師】
かつて類い稀な魔術の才能を持っていたセシルは、魔物との戦いに負け、魔力と片足の自由を失ってしまった。伯爵家の下働きとして置いてもらいながら雑用すらまともにできず、日々飢え、昔の面影も無いほど惨めな姿となっていたセシルの唯一の癒しは、むかし弟のように可愛がっていた伯爵家次男のジェフリーの成長していく姿を時折目にすることだった。
こんなみすぼらしい自分のことなど、完全に忘れてしまっているだろうと思っていたのに、ある夜、ジェフリーからその世話係に仕事を変えさせられ……
※ムーンライトノベルズにも掲載しています
もうすぐ死ぬから、ビッチと思われても兄の恋人に抱いてもらいたい
カミヤルイ
BL
花影(かえい)病──肺の内部に花の形の腫瘍ができる病気で、原因は他者への強い思慕だと言われている。
主人公は花影症を患い、死の宣告を受けた。そして思った。
「ビッチと思われてもいいから、ずっと好きだった双子の兄の恋人で幼馴染に抱かれたい」と。
*受けは死にません。ハッピーエンドでごく軽いざまぁ要素があります。
*設定はゆるいです。さらりとお読みください。
*花影病は独自設定です。
*表紙は天宮叶さん@amamiyakyo0217 からプレゼントしていただきました✨
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる