僕の全てだった君

みたろ

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高校1年春

2,再会

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 彼女が出会ったあの日の後3日間は家でゴロゴロとしていた。1周目は翌日にまたあの親水公園に行っていたが彼女には合わなかったのを知っているからだ。
 彼女に出会っていないのではあればその部分は異なる事をしたって何も変わらないだろうと考えたからだ。
 そんな訳で3日間家でゲームしていたりしていたが、今日は入学式である。
 高校に着いて、1年生のクラス表を見る。隆晴は1年B組の特進クラスだった。女子の欄には彼女の名前も書いてあった。1周目と同じであり、3日間前回と違うことをしても変わっていない事にホッとする。
 校舎に入り、教室へと向かった。
 教室に入った俺は自分の席に荷物を置き、椅子に座った。周りにはもう人間関係を築けたのであろうクラスメイト達数人が仲良く会話をしている。
 そのうち1人がこっちに向かってきて、その他数名もその後に続きこっちにきた。
「はじめまして、俺、山原颯太。よろしく!」
「よろしく、俺は池田隆晴」
 他数名とも挨拶を交わした。
「池田は趣味とかある?」
「そうだな、スノーボードとかゲームかな」
「スノーボード滑れるんだ。すげぇ、俺は無理や」
「練習すれば滑れるって」
「そうか、んじゃ冬やってみるか。皆やってみるか?」
 颯太は人をまとめたりするのが上手そうだ。人間関係の作り方をよく知っているなぁと関心してしまう。
 他の奴らも「少しなら」「俺も無理だわ」などと滑れない奴が多いみたいだ。
「まあ、冬、暇なら皆で滑り行くのもいいね。」
 実際は滑りに行く事は出来なくなる。颯太が原因で。それを知っているが、今は未来を変えない方がいい。そのためにも今は彼に合わせた方がいいだろう。
 他の奴らも「そうだな、行こうぜ」と行く気満々である。
 そこはかとなくいい関係を序盤に築けただろう。
 なんだかんだでHRの時間になり、男の先生が入ってきた。
「今日は、いい天気だな。」
 先生の第一声に対して全員反応せず沈黙した。
「ほ、ほんといい天気ですね!」
 颯太が静まった空気の中発言した。全員が「あいつすげーな」と思っただろう。
「ありがとうな山原、お前には1ptあげる」
「や、やったぁ」
「と、言うわけで今年度1年B組の担任の菅緖だ。よろしく頼む。この高校には今年で15年目だ。だからなんでも聞きたいことがあれば答える。例えば校長先生の頭は10年前もツルピカだったんですか?とかな。」
 菅緖先生は熱血系と頑固系が合わさったような感じで皆警戒してる。実際に先生は熱血指導してくるので大変だった。
「さて、もうそろ入学式だが、その前に自己紹介してもらおう、まずは相澤からだ」
 前の席の相澤が自己紹介をして次は隆晴の番だ。席から立ち上がり左を向いた。
 手前2列が男で後ろ3列が女の席となっている。女子の方を見ると確かにあの時出会った彼女が座ってこちらを見ていた。
 彼女は驚いたような顔をすれば、ニコッと僅かな笑みをもらす。
「おい、池田~」
 先生の声に反応し、自己紹介を慌ててする。
「お、俺の名前は池田隆晴です!趣味はスノボで、得意科目は歴史です。よろしくお願いします!」
 なんとか噛まずに言うことができた。周りからは拍手が起こるが、すぐに止み後ろの奴の自己紹介に入る。
 続々と自己紹介が進み、彼女の番になり、彼女が席を立つ。
「私の名前は南波莉愛なんば りあです。趣味はお出かけをすることです。友達100人作りたいのでよろしくお願いします。」
 莉愛は自己紹介を終わった後、こちらを見て可愛げのある笑顔を見せた。
 「今の俺じゃね」「いや俺だよ」などと周りの奴らが反応した。
(そんなわけないだろ、どう考えても初めてなのに好意持たれてるわけないだろ)
 莉愛がこの時、彼氏がいたわけでも中学時代の知り合いがいないと事も隆晴はしっている。必然的に今のは自分に向けてのものだという事が分かる。

 自己紹介も終わり、入学式の為に体育館へ向かった。
 規定の席に座り入学式が始まった。一人一人名前が呼ばれ自分もちゃんと声を出せた。
 式は1時間ほどで終わり、教室へ戻った。
 校長先生や来賓の祝辞が短かった事が功を奏したのか前の人たちが式中に眠る事もなく、終わって教室へ戻る最中もみんな元気があった。
「校長の祝辞が短くて嬉しかっただろ。今後も校長先生の話があるだろうがあれぐらいの短さだ。」
 菅緖先生がにこやかな笑顔と言っても顔が顔なので脅されてるような怖さがある。
「明日の予定なんだが…」
 明日の予定を簡潔に先生が全員に伝えてお開きになった。
 山原は友達作りの為に朝に話がけれなかった人達に声をかけてる。
 隆晴は特に残る用はないので、教室を出た。
 少し歩いていくと教室の反対側の扉から1人出てきてこちらを見た。
「池田くん、私の事覚えてる?」
「ああ、この前会った方だよね、南波さん」
「覚えてるじゃん。そうだよ、久しぶりだね」
「そうだね、まさか同い年で同じクラスだとは思わなかったよ」
「それは私も同じこと思った。これは運命とか言うやつなのかな?」
「そんなわけないよ、俺に運命なんて起こりえない事案だからね。ここら辺に住んでたらここの高校になるし」
「それでも、同学年で同クラスになることは池田くんにも分からなかったんだからこれは運命と言うやつだよ」
「そ、そうだね。」
 莉愛から攻められ言葉が詰まってしまう。 
 莉愛はこちらに歩いてきて靴1つ分の隙間を残し目の前に立った。
「私ね、もっと池田くんと仲良くなりたい!いいかな?」
「い、いいですけど」
「やった、それじゃあ早速連絡先交換しよ!」
「あ、うん」
 莉愛の押しの勢いに流され、連絡先を交換した。
 ポコンと音を鳴らせば莉愛からメーセージが送られてきた。
『よろしくね隆晴くん』
 思わず彼女を振り向いたら、莉愛は小悪魔のような笑みをを浮かべていた。
 再びスマホから音がなり視線をスマホに移す。
『莉愛ってよんでほしい』
 つい「へっ」と声がでてしまった。
 まだそんな関係を築いた訳でもないのに莉愛は名前で呼び合いたいなんて僕にどうゆう感情を抱いているのか分からない。
「隆晴くん、ここの中だけでいいから、ダメかな?」
「わ、わかった」
 彼女の問いに対して違った答え方をしてしまったかもと思いつつスマホの仮想キーボードを叩く。
『莉愛さん』
 名前だけを書くのも恥ずかしくなり、さん付けで送った。
 羞恥から目線をあやふやと莉愛合わせずにいたがメーセージがまたきたのでスマホを見る。
『嬉しい、ありがとう隆晴くん』
「嬉しい」という文字をみて安堵とその後の文でむずかゆい気持ちになりながら莉愛を見ると、少し頬に赤みがついて嬉しい気持ちが抑えられないのかとろけるような笑顔でスマホを胸に当てていた。
(悪魔だ…)
 心臓がとても痛くなり自分を抑えるのでいっぱいいっぱいになった。
「隆晴くん、私帰るね。また明日」
 心臓が収まりかけてきた時に莉愛がそう言って振り返って歩いていく。
 この短い時間の中でいつの間にか名前で呼ばれるようになったがそれ以上の発展はなかった。
 普通に考えて逆だと思ったが、まぁ莉愛は1周目もそうだが、考えと行動が変わっている人なので慣れるしかないだろう。
 1周目の莉愛と最後に会ってから1ヶ月しか経っていないのに慣れているはずの彼女の行動や考えに驚いたりしてしまうのはなぜなんだろ。
 恐らく3年の間で彼女の行動などが変わっていたからだろう。
 とりあえず帰ることにしよう。
 莉愛によって止められていた足を動かした。
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