永艦の戦い

みたろ

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第1話

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 1936年3月6日

 海軍、大本営ではある閣議をしていた。

18インチ砲搭載超大型戦艦及び20インチ砲搭載超大型戦艦計画

ロンドン海軍軍縮条約の失効を2年後に造船し対英米が造るであろう新型戦艦に対抗しようという目論見であった。
未だに海軍の半数以上は大艦主砲主義であったが中国での戦闘機の活躍を見て山本五十六など約3割以上が空母を造るべきと進言していた。
そこで大角大臣が一言言った。

 「私としては戦艦を作りたい。やっぱり海軍の象徴だからね。」
 「しかし、今後は空母が必ず必要となる。今作らないと各国に遅れてしまう」
「しかしな、山本君、こっちもね陸軍にも反対されるのよ。こっちの身にもなってくれ。」
「お願いだよ。そこをどうにか」

1時間以上の会議で何も決まることはなかった。



夜、山本と島本、岸で居酒屋にいた。

「大角さんが戦艦派だからな~、どうするか。」
「そうですよね。空母は今後重要な艦隊の中心となるものですから。」
「いっそのこと戦艦と混ぜれば。」
「それだ! 岸くん君はなんて素晴らしいアイデアが出たんだ。」
「あ、ありがとうございます。」
「航空機が飛ばせる甲板が戦艦に乗っければ。島本くん、君のところで作ってくれないか?」
「本気ですか?次の会議まであと1ヶ月しか無いのですよ。こんな短い時間では作れません!」
「君には作れない。ということか?」
「いいえ、排水量 鉄の量 設備 区画 装備など全て含めると誰でも出来ることは出来ません!」
「そうか…。」

 トントン

「?いいぞ。」
「失礼します。すいませんがちょっと手を貸して貰いたいのですが。」
「君!何を言っている!」
「す、すいません」
「まった。いいぞ手伝ってやる」
「山本中将…」
「で、何に手伝えばいいのか?」
「こちらに来てもらえますか」

大学生ぐらいの若者が案内をした。

「これは…」

そこにあったのは、

「はい、戦艦長門でございます。」
「これ、自作か?」
「はい、自ら撮った写真を元に大体の艤装を作り、鉄などを使って作りました。」
「これはすごい!対空砲など細かく作っておる。」

この若者すごい、何かに使えるような、あっ、

「君、うちに来ないかね?」
「え?うちとは」
「海兵にならんかね、しかも設計の、」
「え?」
「君なら国の為に活躍出来る艦を作ることが出来そうだ。だから来ないか?」
「な、何を言っているのですか、別にこれはただの趣味ですし」
「けど作ったものを現実に出さないか?」
「してみたいですけど、そんなのが戦争に使われて搭乗員が死ぬなんてことをさせたくない」
「わかる。その気持ちは充分にわかる。だけど戦争は必ず起こる、だからこそ強い艦が欲しいのだ」

山本は、この後も約1時間話し、なんとか、説得させる事ができた。


次の日、

「失礼します。」
「お、来たか。」
「はい」
「山本くん、こいつは?」
「昨日見つけた逸材です。この若者なら例のものを作ってくれると思って」
「なるほど、名前は?」
「轟 栄作と申します。すいませんが例のものとは何ですか?」
「あ、君には話していなかったね。実は今、次期建造計画の会議をしているのだけど話が反対でね。」
「君にこれを作ってほしくて」

島本少将が設計案を渡した。

「これ、おかしくないですか?甲板があるのに主砲もある…」
「そうだ、私たちが考えたのは戦艦と空母を混ぜたものだ!」
もの凄く驚いたが面白そうで作りがいがありそうであった。
「わかりました、作ってみます。」
「そうだそうだ、言い忘れていたけどこの案をだすのは1ヶ月後だ」

は?何を言っているんだ?


「内心驚いてるだろう、しかし、本当だ」
「待ってください。前に一度一から作った事がありますが2ヶ月もかかりました。1ヶ月って」
「無理なのか、それなら仕方ない。他をあたるか」
「いや、待ってください。私にやらせてください。」
「言ったな。頑張れよ」
 「はい」
「部屋は北館にある。お前の後ろにいるのを付き人にやるから、あと君は少将だ。」
「分かりました。」

部屋を出て北館の部屋へ向かった。その部屋は薄暗く机には紙が沢山置いてあった。紙を退け早速とりかかろうとした。

「よし、今から資料を取りに行く」

ドアを開けようとした時、

ドンッ

「ダメです。国家機密なので見れません

「は?何言っているんだ?何もなしで書けと?」
「いえ、そういう訳でもありません。この資料を元に作ってください。」

渡された資料をみた。そこには、排水量の制限、居住空間のことしか書かれていなかった。

「こんなので書けと?ふざけてんのか?たったってかこれで作れるはずがないでしょ。資料を取りに行く。」

しかしまた、通させてくれなかった。

「ダメです。機密ですし、金庫の中にあります。開けれるのは会議が行われる時だけです。」

「じゃあ、どおやってつくればいいんだよ!」 
「それは……、実際に見るとかですか?」
「それはいい案だ。今すぐ行こう」
「事前にお願いしないと無理ですよ。」
「それでも行く。」

車に乗り横須賀へと向かった。そこにあったのは……

「あれは…加賀ですね。全長231.65 m、排水量39,979トン、出力
91,000馬力、速力28.3ノット、主砲は41cm連装砲5基で長門の上位互換です。」
「なるほどあれが加賀なのか。カッコイイな、乗ろう。」
「は?無理ですよ……いや待ってください、山本中将に頼めば…」

加藤は近くの家に行き、電話をした。


「轟少将。山本中将から許可を得ました。もうそろこちらに内火艇が来るはずです。」

10分後に内火艇がこっちに来て乗り込んだ。そして加賀へと向かった。

「こんな近くで見たことが無かったがこんなにでかいのか。自分が作ったものがどれだけ小さいものか分かった。」

「戦艦大和はさらに30m長く幅も広いです。」

「そうか。」

加賀に乗り込んだ。

「どうもどうも君が轟少将ですかね?」

「はい、轟です。今回はありがとうございます。」

「いいんだよ。僕は山本の計画を推しているからね。ちなみに私の名は小林省三郎だ。いまから艦長室にお連れしてあげよう。」

「おい、この艦の全体が細かく書かれているものは何処にあるかしってるか?」

「何言っているのですか?艦長室にありますけど、」

「分かった。」

「何話しているんだ? ここが艦長室だ。どうぞ入りたまえ。」

「失礼致します。」

艦長室に入った。特にごちゃごちゃしてなく質素な感じであった。

「すいませんが1つ話してもいいでしょうか?」

「いいぞ。なんでもいいさ」

  ゴクッ

「この艦の一般偽装図を見せてくれませんか?」

「君、本気か?」

「はい、実は山本中将の命令である艦を設計するのですがそのために本物の艦の偽装図を知りたいのです」

「山本が?ほんとか?」

「はい、私は山本中将の同行人でしたがこの計画のために轟少将の秘書となりました。」

「もし、問われた時には隠しますのでお願い出来ないでしょうか?」

「それでもね……」

「お願いします。必ず世界で最強で美しい艦を作りますので」

「やれるのか?」

「必ずしも」

「分かった。特別にな。ただし私といる時だけだぞ。」

「ありがとうございます。」

その後、一般偽装図をみて紙に写しを描いた。
 翌日の朝、轟はまだ描いていた。


「轟少将、寝ましたか?」

「いや、寝てない。そんな暇なんかない。早くしないといけない。あと少しで終わる。」

正午に写しを終わらせた。

「艦長、本当にありがとうございます。おかげで設計も早く終わらせます。」

「いいよ。必ず戦争に勝てる艦を作ってくれ。」

「はい。」

こうして加賀から内火艇と車で海軍省の大本営に戻った。部屋に戻り早速制作に取り掛かった。まずは加賀を作り、その次に加賀より約30mながい全長277.65m、全幅は2m長い34.50mで船体を作り始めた。



  


                                                                     つづく
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