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#2 それは当然の反応で
しおりを挟む魔王ディアボロは魔王城に戻り、肩に担いでいた王女を降ろす。
「私は君を拘束するつもりはない。ここでは自由に行動するが良い」
「それならば、私を元の場所に帰して下さいませ」
王女はディアボロから目を逸らさずに毅然とお願いをする。
しかしドレスで隠れた足は小刻みに震えていることを、ディアボロは知らない。
「それだけは叶えられぬ願いだ。これからここが、君の家となるのだからな」
「……なぜ、貴方様はこのようなことを為されるのですか?」
王女は臆していることに気付かれぬように、ディアボロへ質問を行う。
「そうだな……人族の蛮行を抑止するため……とでも言っておこう」
ディアボロの中には他の目的があるのだが、それを口に出したならば魔王城は混乱の渦に包まれることになるだろう。
自分の立場を忘れて行動したディアボロであったが、魔王城に戻り玉座に座り直して我を取り戻したのだ。
「……蛮行を行っているのは、魔族の方なのではありませんか? これまでに数多くの同胞が魔族によって殺されたと聞いていますが?」
魔族と人族の争いの歴史は長きに渡る。
魔法を使えるか使えないかの差しか存在しないのだが、その差ゆえに魔族の中には人を見下す者がいるとされ、人族にとって魔族は得たいの知れない力を使う脅威として捉えられるのだ。
「それは違う!」
ディアボロは否定の発言と共に、王座から立ち上がる。
するとそれを見て、王女の体は端から見ても一目瞭然にビクッとした。
「……すまん。声を張り上げるようなことではなかった……今日はここまでにしよう。君の部屋を用意してあるから、今日はもう休むが良い」
ディアボロの合図で侍従たちが王女の後ろに現れて頭を下げて案内をしようとする。
その扱いは人族にとっては貴賓に対するそれであり、人質である王女はそのような扱いを受けるとは思っていなかったので驚く。
「あ、あの……」
そして王女はディアボロがなぜ、そこまで自分のことを気遣うのか質問をしようとするも、その声はディアボロに届かなかった。
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