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第8章 武器(剣2)
#44 リサイクル?
しおりを挟む鉄の剣が良いかと思えば、結局は良い剣かつ加護を施した剣が良いという。剣の質を高めることは出来ないことはないが、加護は商会に出来る人がいないばかりか他の人にも頼れない状況で八方塞がりになってしまった。
とりあえずは剣の質の部分を工夫しながらエルラーと共に解決策を探っていく。
■■■
「だからそこはもう少し分量を増やしてだな」
「でもそれだと硬さが足りなくないか?」
「でも魔結晶との相性を考えるとな……」
エルラーと二人でひたすら検討をしつつ剣の質を高めていくのだが、やはりアトゥムスの違和感を無くすことは出来ない。
「まぁ無理して私に合わせなくても、君が納得できる最高の剣を作ってくれるのであればそれでもいいから」
「そう言われましても……」
使い手が納得できない剣を作り、たとえそれが業物だったとしても納得は出来ない。
まだ答えが分からないならまだしも、違和感の原因が分かった上でどうしようもない現状が歯痒い。
「この剣がなければこんな思いをせずに済んだかもしれないのに……いやそれは無いか」
「一人で何をぶつぶつと言ってるんだよ? そんなに見るのが嫌ならインゴットに戻してしまえばいいだろ?」
「へぇーそんなこと出来るんだ……って、もしかしてそのインゴットから剣を作り直したら良いのが出来るのでは?」
「うーん、どうだろうか?」
「アトゥムスさんは何か知っていますか?」
「そうだね……確かインゴットに戻したら加護は無くなってしまうと言ってたかな」
アイテムとしての名前が変わり定義が変わってしまうと、加護がかき消されてしまうらしい。
「そうですか……でもまぁこのまま加護以外はなまくらな刀を残していても仕方ないですし、インゴットに戻してしまいますか」
ということで神にもらった鉄の聖剣をインゴットに戻してしまうことにした。
■■■
聖剣を持っていても良い思い出は無く、むしろ戦闘がトラウマになりかけたので躊躇なく溶かしインゴットに形を変える。
「出来たけど、どうなんだろうか?」
見た目はただの鉄のインゴットだ。ハヤトは鑑定ができないのでエルラーに聞く。
「これは……」
―――――――――――――――――――――――――――
[鉄インゴット(+):ランクD]
状態:良 効果:加護小+
鉄で出来たインゴット。
加護が付与されている。
―――――――――――――――――――――――――――
「どうやら加護が付与されたままみたいだぞ!」
「アトゥムスさん、どういうことなんですか?」
形を変えると加護は消失してしまうはずだったのではないのだろうか?
「うーん、自分も神官から聞いていただけだから詳しく分からないな。でも何かは変化しているのではないかな?」
「確かに元の加護は大だったのに小になってるな」
「つまり加護の効力は弱まったけど、無くならなかったということですか……」
神官の加護と違って神による加護だから起こった現象なのかもしれない。
「そんなこともあるもんなんだね」
「そうですね……ってこれで剣を作り直したら問題解決じゃないですか!」
悩み続けてきたのに身近なところから解決策が舞い込んできた。そしてついに完成させる道筋が見えてきた。
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