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第8章 武器(剣2)
#42 検討
しおりを挟む魔結晶を作製しつつ色々な話をし、ハヤトは召喚された身であること、アトゥムスは龍人であることなどを話した。
その間にも結晶化の作業は順調に進むがメガロドンの魔石は大きいので、一つの魔結晶にするのではなくピンポン球位の魔結晶を二つ作製する。
これまでの検証の中で魔石の質が高ければ高いほど大きな魔結晶をつくれることが分かったのだが、Aランクの魔石であまり大きな魔結晶をつくるとヒビが入り壊れる可能性があるからだ。
■■■
完成した魔結晶を手に取り、出来映えを確認する。
「出来ましたね」
「ああ、本当に魔石からこんなに綺麗な結晶が出来るものなんだね」
魔力の制御がエルラーより上手いからか澱みの無い綺麗な結晶が出来上がったが、魔結晶の作製はまだまだ奥が深いらしい。
やはり勇者を召喚する為にある技術をもっと知る為に、国のお抱え魔術師や錬金術師を訪ねる必要があるだろう。
「後は魔結晶に文字や紋を刻むのですが、どうしますか?」
「そうだね……それは剣を作ってからにしないかい?」
「なぜです?」
「それはやっぱり剣との相性というか、どれぐらいのことに耐えられる剣なのか分かった上で決めるべきだと思うよ」
確かにあまりに火力の強い魔法を発動出来るようにしても、剣が持たないのであれば意味がない。そして出来上がった剣の方向性に合わせた魔法である方が相性が良いだろう。
「それもそうですね。焦って決めてしまう必要もないですし、とりあえずはエルラーの作った剣を見ていってどういう方向性の剣を作るか決めましょうか」
ということでエルラーが過去に作製した剣を一通り見せてもらうことにした。
■■■
「どうですか?」
アトゥムスが一本一本剣を手に取り確かめていく。
「うーん見た目が華美なのは置いといても、いまいちしっくり来ないね。でも気になる剣を試しに使ってみてもいいかい?」
「ああいいぞ。剣も使われてなんぼだしな」
エルラーの許可を貰ったところで場所を外に移してアトゥムスが剣を振るう。何本も持ってきて、色々と試すのだがどれも納得がいかないらしい。
「うーん、どうしましょうか?」
「どうしようかね?」
試し斬りによって草の束と装飾が取れた剣が山積みになっていくのだが、それを見ているエルラーが悲しげに話しかけてくる。
「まぁ俺も使っていいとは言ったけど、俺のせっかくの努力が壊されて否定されるとか酷いな」
「まぁ使う人のいなかった剣が剣として役目を果たしたんだから許してあげて」
「ごめんね、剣が完成したら費用はきちんと払うからさ」
「なんと! それは逆にありがたい! これでアダムスの小言が無くなるぞ」
「そうだな、よし残りの剣も使ってくれ!」
「それは遠慮しておくよ……そういえば君が使っていた剣はどんな剣なんだい?」
「どんなですか……見た目はただの鉄の剣なんですけど神様に貰ったので加護はピカイチですよ」
「へぇー、ちょっと貸してもらってもいいかな?」
「ええいいですけど、エルラーの剣より質は低いですよ」
剣を自室から持ってきて、アトゥムスに手渡す。
アトゥムスは先程と同じように試し斬りを行うが草の束の切り口はギザギザで、やはり剣としての質が低いのだろう。
「やっぱり駄目ですよね……他の可能性を探さなきゃ」
「いや……悪くないかな」
「えっ! でもこんな切り口なのに!?」
「まぁ確かに質は良くないね。でも手に馴染む感じはこれが一番なんだ」
「そうですか……ならこの剣を元にして色々作製してみましょう」
まさか鉄の剣が一番しっくりくるとは思ってもみていなかったが、エルラーの剣を潰してまで手にしたヒントだ。何とかアトゥムスが納得いくように、この鉄の聖剣を元に色々と剣を作ってみることにした。
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