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第6章 回復薬(2)
#31 報告する
しおりを挟むアプレルの町に戻ってきたハヤトたちは、剣作りの為に訪れた聖都市で結局は何も得ることが出来なかったこと、そして聖騎士団との取引が決まったことを急ぎアダムスに報告した。
一緒についてきたアトゥムスはエルラーの案内で試作した魔剣を見に行っている。
■■■
報告を聞いたアダムスは慌てて指示を出す。
「そんなことが……こうしてはいれませんね。ハヤトは急いでソーラスを呼んできて現在の回復薬の在庫量も確認してきてください。ヒソネはギルドから素材をありったけ買い集めてきてください!」
「わかりました。ちなみに回復薬の増産体制はどうなっているんですか?」
「いやまだだよ。場所と道具は確保したが、人が雇えていない。やはりネックは高ランクの錬金スキル持ちというところだな」
スキルレベルが高いほど濃度を高めることができるのだが、丸薬型の回復薬には最低でもランクC、出来ればランクBは欲しく、一次抽出作業の為の人員を幾ら確保してもそのあとの作業を進められなければ完成させることは出来ない。
商会にはAランクのソーラス、Bランクのハヤトに加えてCランクが1人、Dランクは3人いるが作製できるのはソーラスとハヤトの2人しかいないので作製量が増えないのだ。
■■■
ヒソネが駆け回ってくれたお陰で回復薬の素材はギルドから確保することが出来たのだが、ソーラスを交えて現状を確認したところ、在庫量は約30個で一日に作製出来る数量は頑張って約100個だそうだ。
聖騎士団の団長からの要求は今週中であと4日しかない。移動に1日掛かることを考慮するとハヤトが手伝って作製数量が倍になったとしても到底間に合わない。
考えている時間も勿体無いので、とりあえずはアダムスが指示を出す。
「分かった、どうするかはこちらで考えておくからソーラスはとにかく回復薬を作り続けてくれ」
「僕も一緒に……」
「いや何か別の手段を考えなければ間に合わないんだ。ハヤトにはその手段を考えて貰う」
「それは責任重大ですね……」
ハヤトが作製出来る量を犠牲にしてでも、新しい方法を考え出すことに掛けるということだ。
「それが出来なければ到底達成できないだろうからね。無理でもなんでも何とかするしかないんだ。今回はお金には厭目をつけないから絶対に何か良い方法を見つけてくれ!」
「……分かりました。ですが人員を確保できるのであればそれが一番なので、ギルドに緊急の人員募集の要望を出しておきましょう」
「そうだな、出来れば作製方法が他に漏れないように一時的に雇うということは取りたくないが……背に腹は代えられんな」
それでも高ランクの錬金スキル持ちは少ないので集まるかどうかの保証は無い。都合良くフリーの錬金スキル持ちがいるとは限らないのだ。
それでも何とかして必要数量を作り上げなければ、商会の未来は暗礁に乗り上げかねない。
ということで回復薬を量産化するための方法を新たに探し始めることになったのであった。
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