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第5章 出逢い

#28 聖騎士団に潜入しよう

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 高ランクの武器を取り扱っている場所は町の武器屋や商店ではなく商会であるが、ライバルになる商会に見せてもらえないか頼んで見せてもらえるほど世間は優しくない。なので売っている人が無理なら持っている人に聞こうということで、強い人が集まる聖騎士団に行って聞いてみることになった。

 聖騎士団の本部があるのは、王城の隣だ。

 隣といっても王城自体は大きな湖の真ん中にあり、その離れ島が聖騎士団の本部そして国教であるヴァン信教の教会となっているのだ。教会の総本山は北にある霊峰ジーフにあるのだが、ここは王城支部といった所である。

 ということでハヤト、エルラー、ヒソネの3人はまず城へ至る橋の前の門にやって来た。

■■■

「いきなり訪ねても大丈夫なのかな?」

「普通は駄目ですよ、ですが今日はこれがあるのです!」

 ヒソネが見せてくれたのは聖都市で実店舗を開く為の許可申請書だった。

 ハヤトは販売網の拡大をしないといけないなとこの町に来て来て思ったが、アダムスは既にその考えに至っていたみたいだ。

「つまり城で許可申請したついでに、聖騎士団の所を訪ねるということですか?」

「ええ聖騎士団の本部にも何度か商品を納めたことがあるので、その時の知り合いに合えれば誰かを紹介してくれるかもしれません」

「まぁ駄目で元々ですし、それでいきますか」

「そこの門をくぐることはその許可申請の為という理由で通れるけど、聖騎士団の本部に入るのは難しいからな。挙動不審な動きをしたら駄目だぞ?」

「そんなことしないって、エルラーは心配性だな」

「そうか、それならいいんだが」

■■■

 城の敷地内へは二人の言う通りすんなりと入ることが出来た。

 武器は持ち込みを禁止されたが有事でなければ理由も明確なので入れるのは当然なのだろうが、それでも門番にチェックされるときはドキドキする。

 城の内部ではなく手前にある棟で事務手続きを行い、申請はすんなりと終わった。

 許可されるかどうかは審査を行い後日に連絡が届くとのことだ。

 普通であればこれで終了なのだがハヤト達にとっての本番はこれからで、城の敷地から出る門に向かうのではなく、聖騎士団のある島へ通じる橋に向かう。

 さも聖騎士団に納品する用事がある商人として、自然に移動するのだが……。

■■■

「どうしてこうなった!」

 ハヤト、エルラー、ヒソネの三人は拘置部屋に入れられている。

「あれだけ、不審な動きをするなと言ったのにお前が盛大に転けるからだろ」

「はぁー、本当にどうするつもりなんですか」

 エルラーとヒソネがやれやれといった風にこちらを見てくる。

 何があったかと言うと、聖騎士団のある島へ向かう橋の途中で盛大に転けてしまったのだ。そこに心配した衛兵がやって来て色々と聞かれ誤魔化しきれなかったので、事前に申請もなく聖騎士団に近付く不審者扱いをされ拘束された。

 わざわざ聖騎士団に乗り込んでくる馬鹿は普通いないので、衛兵にとっても前代未聞の侵入者ということで処遇をどうすれば良いか分からず、今は団長の判断を仰いでいる間はとりあえず拘束されているのだ。

 武器を持っていないので危険性はないと思ってもらえたのは良かったが、商会の信用に関わるので大事になるのは困る。

「以前取引したという人に話をすれば何とかならないですかね?」

「こんな面倒事に首を突っ込んでくれるひとはいませんよ」

「そうですよね。ま、まぁ正直に話せば何とか……」

 どうなるか不安しかないが自分達にはどうすることも出来ないので、とりあえずは聖騎士団の判断を待つことになった。
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