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第3章 武器(剣1)
#18量産する……
しおりを挟むエルラーの作った剣との差に驚きはしたものの、自分でも質の高い剣を早く作りたいということで、ただひたすらに鎚をふるう。
火入れの時間、金属の配合など様々な方法を教えてもらいながら、自分なりに色々と試してみている。
■■■
ハヤトの周りには失敗作の剣が積み上がっている。
「うーん、また失敗だ! 納得行くものってなかなか出来ないな」
「そりゃたった数日で納得いくものが作れるなら苦労しないぜ。まぁ色々と確かめてみればいいさ」
「そうだよな。次は刀みたいに折り返して作ってみるかな」
「カタナ? ああ、たまに勇者が欲しがる武器だな」
「知ってるのか?」
「どうもタマハガネとかいう原料を作り出すのが難しくてな、形には出来るが満足いくカタナを作ったという話は聞かないな」
「そうか……素材は鍛錬技術だけではどうすることも出来ないもんな」
「まぁそういうことだ。ドワーフなら既に作り上げてるかも知れないけどな」
「お疲れ様です」
「うわっ! ヒソネさんいつからそこに!?」
「ハヤトさんが『失敗だ!』と言った辺りからです」
「いやそれならその時に話しかけてくださいよ! それでどうかしたんですか?」
「アダムスさんが話があるそうですので早く着いてきてください」
「話? 分かりました直ぐに行きます」
■■■
話があるということで、アダムスが仕事をしている部屋にやって来た。
「アダムスさん、どうかしたのですか?」
「いや……分かってないのか?」
「何がですか?」
「はぁー。ここ数日で何本の剣を作った?」
「えっと100本ぐらいですかね?」
「そのうち売れる商品は?」
「あっ!」
エルラーに売れる商品を作って貰うために鍛冶場に向かったのにいつの間にか、剣作りに熱中しミイラ取りがミイラになってしまっていた。
流石に失敗作を大量に生産していたから、それを小耳に挟んだアダムスが怒るのも無理はない。
「……わかってくれたか。ならやることは分かるな?」
「はい! 直ぐに売れる剣を作ってきます!」
口許は穏やかなのにアダムスの目が笑っていないので、一目散に鍛冶場に戻る。
■■■
「おー、アダムスは何だって?」
「こええよ、アダムスが真顔で怒ると迫力が凄いな……。エルラーは良く耐えれるな」
「無視すればいいんだよそんなもの」
「いや、それではクビになるって。いいから早く売れる剣を作るぞ!」
「でも代わり映えしない、ただの鉄とか銅の剣を作り続けるのは面白くないんだよな」
「それなら量産する方法を考えよう。質はほどほどで良いんだから何か大量に作る方法はないかな?」
「そんな作り方したことが無いからな」
「うーん機械があれば自動で鍛造させれそうなんだけどな。効率化出来るところを探す為にも、まずは行程をもう一度初めから見させてもらってもいいか?」
「いいけど、でも剣の作り方はもう分かってるだろ?」
「そうだけど、鉱石を製錬するところから見たいんだ」
「そうか……それなら俺がインゴットを仕入れている製錬所に行くか」
「あれ? エルラーは製錬をやってないのか?」
「まぁ製錬作業は時間が掛かるし、技能の差が出ないからな。安い金属なら大量に作ってるところに任せた方が楽なんだよ」
「まぁそういうものか」
「でも値段の高いミスリルの鉱石が手に入ったら自分で製錬するから、今度方法は教えてやるよ」
「それはありがたい。けどまずはいかに安く作るかだから、その製錬所に行こう!」
ということでエルラーとふたりで他の街にある製錬所を視察しに行こうとしたのだが、アダムスが不安だということでヒソネも着いてくることになった。
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