13 / 61
第2章 回復薬(1)
#12 回復薬を作る
しおりを挟む薬を実際に作る前にしっかりと知識を学ぶ必要があるということで、数日を掛けて薬草について学んでいった。
まだまだ学ばなければいけないことは多いのだが、回復薬を作るのには支障が無くなったということで作製作業に取りかかることになった。
■■■
「ではまずは何をすればいいんですか?」
「体力を回復し傷を癒してくれる回復薬をつくるのだけど、どの薬草をつかえばいいと思う?」
「この辺りの[ジオウ]とかですかね」
「そうねその辺りを使えば間違いないわ。あとは聖水を使って成分を抽出し調合していくと出来るわ」
「やってみます」
手本は見せてもらっているので、見よう見まねで取り組むもやはり一度目は上手く出来ない。スキル[錬金]があるとは行っても初めから上手くいくことはないらしい。そして何度か挑戦していく内にソーラスから合格点を貰えるようになった。
「やはりあなたのそのユニークスキルはズルいわね。私が長年努力して身につけたランクをあっという間にかけ上がるなんて」
「でもソーラスさんのランクはAなんですよね? 僕のスキルが幾ら優れているといってもBランクまでしか効果が無いみたいなのでまだまだですよ」
「あら? でもBランクも相当レベルが高いのよ。一瞬で身につけたなんて聞いたら他の薬師が聞いた卒倒するでしょうね」
聞けばBランクというのは、普通10年ぐらいの経験を積まないと達しない領域なのだそうだ。
■■■
初めての回復薬作りを行ってからは、ひたすらソーラスの指示に従って回復薬の作製を続けていった。
基本の作製方法だけでなく、一手間を加えて作製することでより効果が得られるということで、その一手間を手伝わされた。
『スリスリスリ』とすり鉢で擦る音がひたすら部屋に響いている。
「あのこれはいつまで続ければ?」
「あら、もう音をあげるのかしら? そんなことでは何時までたっても終わらないわよ?」
そういって薬草の山を指差すソーラス。
「まさかあれを全部一人で!?」
「そうね、コスタを助手としてつけるから頑張りなさい」
他の場所で手伝わされることを聞いたコスタは逃げ出そうとするが、あっさりと捕まってハヤトの横に座らされる。
「ならあとはよろしくね!」
「えっ!? どこかに行ってしまうんですか?」
「男あ……いや社交の場に行かなくては行けないのよ。それとも何か文句があるのかしら? それなら私より良いものを作れるようになってからにするのね」
そう言い残してソーラスは部屋を出ていってしまった。
残された二人はただひたすらにスリスリスリスリと続ける。
ソーラスはアダムスが苦手そうだったがその理由が分かった気がする。
それにしても色々な職場を見せて貰ったが、この商会にはスキルのランクが高い人が普通にいる。なのに稼げていないのは変人が多いからなんだろうなと思うハヤトであった。
1
お気に入りに追加
711
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。
魔物が跋扈する異世界で転生する。
頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。
《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。
※以前完結した作品を修正、加筆しております。
完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる