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第0章 異世界召喚
#5 決意する
しおりを挟むハヤトはユニークスキル[職人の心得EX]を持っていることが分かったのだが、それが何なのかは分からないので、ラーカス商会で色々と確かめてみることにした。
■■■
「ああ、全然わからん!」
どういう形で効果を発揮するのかが分からないので、戦闘から日常生活に至るまで様々なことを試してみたのだがなににも効果が発揮されなかった。
色々と煮詰まって考えていても分からないものは分からないので、商会の中をさ迷いながらヒントは無いかと探していると、魔物の素材をアイテムに加工している部屋にたどり着く。そして作業をしている一人の従業員に話しかけた。
「これは凄いですね!」
「おやおや勇者様、こんな所に良く足を運んで下さいましたな」
色々なものが溢れすぎて何がどこにあるのかが分からないぐらいモノが散らかっている。
それでもそのひとつひとつが見たことの無いようなファンタジーの代物なので宝の山のように見える。
「少し作業を見させてもらって良いですか?」
「ええどうぞどうぞ」
目の前で魔物の素材が次々にアイテムに変わっていく様子を見て、自分でもやってみたくなる。
「自分でもやってみていいですか?」
「ええどうぞどうぞ。でもなかなか難しいですよ?」
初めて加工をおこなっていくが、全く上手くいかない。それでも何回か挑戦していると……。
「難しいな……。こうやってこう! うーん駄目だな。もう一回!」
「それはそうですよ。私も努力して錬金スキルを覚えるまでは……ってええ!」
「おお出来た!」
「何で! まさか勇者様は錬金スキルをお持ちで?」
「いやそんなスキルはなかったはずだけど……」
もしかしてあのユニークスキルの効果って。
「すみませんけど、もう少し確かめさせて貰っていいですか!?」
予想が本当に当たっているかどうか確かめる為に、様々な作業を試させて貰った。
■■■
「こんなことって……」
様々なアイテムを作製している人達が感嘆の声を漏らす。そしてアダムスがやって来たので報告をする。
「これがスキルなんですね。初めは出来ないのに2回目からこんな簡単に作製出来るようになるなんて」
「これをハヤトさんが一人で……。普通はこんな簡単に出来るようにはなりませんよ。まさかあのユニークスキルにこんな効果があるなんて」
「そうですよまさかの生産職限定の能力みたいですけど、これはチート染みてますよね……」
「ですがこれだけの能力を活かしてもらえれば、我々の商会の再建に希望が出てきましたよ!」
「そうですね……。よし決めた!」
「何をですか?」
「僕はもう戦わない!」
「ええっ! それは困りますよ!」
「いや、もう分かったんです。自分に戦闘の才能は皆無だって。それにこのスキルを活かしたほうが皆の役に立てるんだって」
「それはそうかもしれませんが……でもそれでは魔王を倒す未来は来ないのでは?」
魔王を倒して元の世界に帰るということを話したので、心配をしてくれているみたいだ。だがそんな必要は無い。
「逆ですよ。自分で戦うより他の人の役に立つほうが魔王討伐の近道になるはずです」
ということで、今後のビジョンを説明する。
■■■
生産職系のスキルの全てを簡単に取得出来るのだから、他の人には出来ないスキルの組み合わせもあるかもしれないしアイデアが生まれるかもしれない。
だからこそ今までにないアイテムを作り出し、魔王を倒すであろう勇者あるいはそれに付随する冒険者を徹底的にバックアップするという話だ。
もちろんお金は貰う予定だし、トップランカーが使ってくれれば宣伝効果が半端無いはずだ。
「それが出来れば我々の未来も明るいですし、ハヤトさんの未来も明るいということですね」
「分かってくれましたか!」
「ええ、ここまできたら成るようにしかならないでしょうし、我々は貴方に掛けるしか無いですからね。我々が全力でバックアップさせてもらいますよ」
「ありがとうございます。僕は戦わずして魔王を倒してみせますよ!」
こうして佐藤隼人の異世界生活が改めてスタートしたのであった。
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