勇者に付き合いきれなくなったので、パーティーを抜けて魔王を倒したい。

シグマ

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第1章 冒険者生活を始める。

冒険者アヴラム

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 デミスが聖騎士団との関係性を知ってもギルドに受け入れること決断してくれたので、アヴラムはギルドへ正式登録の作業をすることになった。

「それではうちのギルドが冒険者ギルドとして活動することになって、初めての登録をアヴラムさんで行っても宜しいですか?」

「もちろんです。こちらこそ宜しくお願いします!」

 聖騎士団を抜けてから冒険者に登録してもらうまでに想定外の寄り道がいくつもあったが、ようやく冒険者としてギルドに登録することが出来る。

 慎重になっていたともいうのもあるが、新素材、ビートやリコンとの出会い、勿論デミスとルインともだが、これまでに聖騎士団では経験してこなかった新しい出会いがいくつもあった。

 その中でもアヴラムにとって一番の驚きはイヴがお嬢様だったことかもしれない……

 長年一緒にいたからこそある意味衝撃的で、アヴラムは今でも信じられない思いだ。

 そういう噂が無かったわけではないが、その度に『まさかー、違う違う』とアヴラムは否定してたのに事実だったとは……

(今度、仲の良かった奴らにあったら謝らなきゃいけないな)

 そんなことを振り返りながら部屋を移動した。

■■■

「それではアヴラムさん、こちらに来て下さい」

 ルインに案内された部屋の中央部分の床には魔方陣が刻まれており、腰の高さぐらいのサイズの大きな石がおいてあった。

「そこのコンソールに手を当てるとあとは自動でアヴラムさんの体を読み取って、プレートに冒険者登録されるので、しばらくそのままでいて下さい」
「あと多少の魔力を消費するから、必要ならポーションをもってくるのですが……アヴラムさんは要らないですよね?」

「そうですね。要らないです」

「わかりました。それでは私は外で待っていますので、終わったら呼んでください」

 そうして、ルインは部屋の外に出て、アヴラムは一人部屋に残された。

■■■

 じっとしていても仕方がないので、さっそく登録の為にコンソールに手を当ててみる。

 コンソールの中心にプレートがはめ込まれており、これが個人の情報が記録される前のギルドカードである。

 アヴラムがコンソールに手を当てると、直ぐに魔法陣に魔力が注がれたのか淡い光に包まれた。

 しばらくすると、アヴラムの体の周りから光の珠が出てきて、そして次第に一ヶ所に集まっていき、一つの大きな光になるとプレートに吸収されていく。

 最初のコンソールからの光で体をスキャンして、その後に体から出てきた光の珠の一つ一つがステータス情報だろう。

 光が収まった後にプレートを見てみると、そこには既に今の自分の情報が刻まれていた。

■■■

 無事に登録が終ったのでルインを呼んだ。

「アヴラムさん、終わったのですか?」

「はい。これでようやく俺も冒険者になれました。本当に色々あったのですが、ルインさんとデミスさんには感謝してますよ」

「いえこちらこそですよ! アヴラムさんがうちのギルドに来てくれたお陰で冒険者ギルドになることが出来ましたし、これからも一緒に頑張っていきましょう!」

「俺に出来ることなら何でも協力しますよ」

「はい、宜しくお願いします!」

 するとルインの笑みが溢れる。

「ふふっ!」

「どうかしたんですか?」

「いやこれからのことを考えると、楽しくなりそうだなーと思ってたら、自然と笑みが溢れました」

「そうですね。でも、あんまり無茶はしてほしくないというか、隠し事は無しにしてくださいね」

「イヤダナー。ソンナコトスルワケナイジャナイデスカ」

 ルインが急に片言になった。

「まさか……」

「いやアヴラムさんに迷惑を掛けないはずですから大丈夫ですよ……」

「まぁ、ほどほどにしてくださいよ……」

 顔を背けながら気になる言い方をするのでどうも引っ掛かるが、流石に約束を違えることはしないはずだ。

 今後が不安になりながらも、これで冒険者のスタートラインにようやく立てたアヴラムであった。
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