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しおりを挟む人知れずに密会する二人の男女。
「サクラ──貴女に私の全てを捧げよう。共に未来を歩んではくれまいか?」
「……もちろんですわ、ストゥルタス様。私の未来はストゥルタス様と共にありますわ」
学園生活を満喫しまくったサクラは、いよいよストゥルタスに求婚されるまでに至ったのだ。
ストゥルタスにとって最初、サクラは庇護しなければならない対象という認識であった。
レイナとの婚約破棄までに至ったとはいえ、それは情愛ではなく父性と言った方が正しい。この時はまだサクラに対する好感度が最大までに至っていた訳ではないのだ。
サクラはハーレム展開を存分に楽しみつつも徐々に外堀を埋めていき、ストゥルタスの心を愛情へと傾けさせていった。
「サクラ、これを──」
ストゥルタスは慎ましい宝飾が一つ付いた指輪を取り出す。
それはストゥルタスにとって母上の形見であり、何よりも変えがたいものである。
「綺麗ね……ありがとう」
ストゥルタスにとっては価値あるものであるが、他人にとっては古めかしい指輪でしかない。
サクラは期待していたものよりも遥かにみすぼらしい贈り物に内心ガッカリするも、決して表に出すことはせずに涙すらみせる。
「──っ、サクラ」
ストゥルタスはサクラを引き寄せる。そして月の光が射し込む中、サクラとストゥルタスは見つめあい唇を重ね、二人は一つに溶け合うのであった。
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