ヴァミリオン・ブレイドワールド・オンライン【VbO】

ヴァミリオン・ブレイドワールド 転移編

２話 ゴーゴーヘブン

　俺は験担げんかつぎでいつも食す、地元で発売されている
人気のカップ麺、激辛ネギラーメンに湯をカップ内側の線より、やや下まで入れる。
蓋をして3分待って麺の硬さがいい塩梅になると、俺は無心で口にかき込む。
そして、一滴残らずスープまで飲み尽くした。

「 ふう。食った食った。さてと… 」

　空になったカップをシンクに投げ捨てると、届いたパッケージの透明フィルムを無造作に剥がした。
そして、箱の中を覗くとシンプルにルーン文字で書かれたディスクがぽつんとあった。

「 ＤＶＤデータディスク？これだけ？　…ま、いっか 」

　今日の昼食後は、回復系アイテムの在庫作りの続きをする予定だったんだ。

　なぜなら、俺が生産する回復系アイテムは特別で物凄く効くからだ。俺のキャラネームが入ったこの名匠回復系アイテムを使っているプレイヤーがこのサーバーではほとんどを占めていた。

　実は、この生産キャラ自身では、都合が悪くほとんど売る事が出来ないが、別キャラでは高くしかも大量に売り捌くことができた。
俺はその回復系アイテムを売り捌いた金で、このワールドの一等地を何件か買いしめ、薬草畑で野菜・果物など特級農産物を作っている。
その農産物を使って、カンストしている料理スキルで人気レストランを運営していた。
　おっと、そんな事を話している場合ではなかった。

　まだ、誰も持っていない、激レアキャラである白銀の獣人 ヴァラヴォルフだ。

「 自慢をしに大勢が集まる大広場にでも行ってやる。他の奴ら羨ましがるだろうな 」

　俺は新品のディスクをスロットローディング式ＰＣのスリットへ挿入した。

「 うひひひっ！　始めますか！ 」

　電源ボタンを押すと液晶ディスプレイの画面が眩しい光を放ち出した。

「 ん？　めっちゃ光って… 」

　次はパソコンの画面に勢いよく吸い寄せられ始める。

「 うおおぉ！　なんだこれ？　おぉいいい！ 」

　必死で机にしがみ付いて抵抗する俺が、最後に見たのはパッケージのメーカー名だった。

「 ゴーゴーヘブン天国へごーごー♪かよ！　　縁起悪いな、ぉおおおい！ 」

　俺はその神々しく輝く液晶ディスプレイの中に吸い込まれて行った。