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「休息は十分に取れたか?」
「う、うん」

 首を縦に振るシズクだったが、実際はあまり眠れていないだろう。2層はずっと太陽が出てるせいで時間の感覚は狂うし、転生したばかりで覚めぬ興奮もある。そこら辺を今日は考慮して探索を進めないとな。

「取り敢えず朝ごはんに」
「あ、あの!」
「ん?」

 もじもじ足をくねらせるシズクに俺は察する。

「あー、じゃあ俺、外に出てるから」

 『セーフゾーン』は言っても半径10メートル程度で、しかも草原地帯のせいで殆ど目隠しになるような場所もない。ここは俺が遠くまで出ていくべきだろう。

 そう思って、最低限の武器になるようなもの、魔兎の牙だけ持って出ようとすると、シズクに手を掴まれた。

「い、いや、私が出ていきますから!」
「え、でも」
「だ、大丈夫です! 私、強いですから!」

 シズクは『セーフゾーン』を出てそのまま走り出してしまった。

 うーん、気を遣わせてしまったかもしれないな。まぁ、でも俺より強いのは事実だし、時間的にも豪風は発生しない。

「ま、大丈夫か」

 俺がそう呟いたその瞬間だった。

「キャーーーーーーー!!!!!!」

 つんざくようなシズクの悲鳴が聞こえたのは。
 
「シズク!?」

 声が聞こえた方へ全力で走る。

 魔物に遭遇したか? シズクには回復スキルがある、急げば間に合うはずだ。

「<疾走スプリント>っ!」

 さらに加速する。

 加速して、加速して、それで見付けたシズクは─── 

───死んでいた。

 遠くからでも何故かはっきり分かった。でも、駆け寄られずにはいられなかった。固まったようになってる全身の筋肉を無理やり動かして、うつ伏せに倒れているシズクの元に行く。

「あ……頭が」



 シズクの頭が無い。血が出ている。シズクの頭が無い。真っ赤だ。死んでいる。シズクが死んだ、死んだ? 死んだ死んだ死んだ死んだ。誰のせいだ? 俺のせいだ。迂闊だった。殺してしまった。俺が殺した。俺が、俺が雫を殺した。殺した殺した殺した。



 震える瞳孔でもはっきりとシズクの死が分かる。彼女の冷たい手を握れば、もう俺は立てなかった。こんな時でも輝く太陽がひたすらに苛立たしかった。






ステータス 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男
レベル 30
体力 B
魔力 A
膂力 B
俊敏性 B
スキル<逃亡エスケープ>< 疾走スプリント ><軽量化ウェイトリダクション><隠密ハイド><治癒ヒール><反転リバース><対象変更ターゲットチェンジ>

称号
[転生者の篝火] ··· 転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。


転生者特典
[超回復]


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