義弟に弱み握られてます

早苗

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爽の性格

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目がさめると、そこは初めて見る景色だった。
ちょうど冬休み中で目覚ましを設定していなかったせいか、ケータイを見るとすでに10時を回っていた。

「…?!」


慌てて起き上がりドアの方へ駆け寄ると、お父さんが用意してくれたのか全身が映るサイズの水色をした可愛い鏡が置いてあった。



小さい頃から水色が好きなのは変わらない。

それを覚えてくれていたのかな…?
なんてすこし自惚れながら鏡を見る。


するといつの間にかパジャマになっている事に気がついた。


…え、そういえば私。昨日布団とか車から持ってきたっけ?

部屋に置かれた段ボールと布団一式をみて疑問に思う。

と言うか、この部屋がどこなのかすら検討がつかない。


…私、どこで寝落ちしたんだっけ…?


引っ越し初日。歓迎パーティーの最中に寝てしまったのだと思い出して一気に青ざめる。

ましてや、父が今日から出張だと言っていたのに…



再び慌てを取り戻してドアを開けると、少し先に階段を見つけて駆け下りる。




昨日見た風景に安心して、急いでリビングのドアを開ける。



すると、ドアを開けたところには飾りが綺麗に片付けられたリビングと。

ソファーに座り女の子を膝の上に乗せている爽くんの姿があった。



「え?」



私とその女の子の目があい、ほぼ同時に疑問符を発する。


すると私に背を向けていた爽くんが振り返り、「おはようございます。ゆっくり眠れた?」と爽やかな笑顔で聞いてくる。



「おはよう…。うん…」


女の子を視界に入れないようにしながら頷いて立ち尽くしていると、爽くんの上の女の子が「爽(そう)~、誰?」と甘えたような声で爽くんに擦り寄る。



「彼女さんですか…?」

控えめにそう聞くと、爽くんは一瞬笑顔を作り「ただのセフレだよ」と答える。


え??

思考がついていかないまま、とりあえず何か飲もうと冷蔵庫へ向かって歩く。


ダイニングに差し掛かった頃、バレないようにチラッと彼らに目をやると女の子はYシャツをはだけさせ、ブラジャーとパンツが見えたまま爽くんの上にまたがっていた。


…セフレ…

セフレ?!


爽くんの言葉を心で繰り返すと、意味がやっと理解できて何もないのにむせる。


「大丈夫?」

リビングからそう聞いてくる爽くんに「う、うん」と苦しげに返事をする。




その辺に置いてあったコップを手に取り冷蔵庫を開けると真っ先にCCレモンが見えてそれを注ぐ。


_ドタンッ…


突然リビングの方から大きな音がしてのぞいて見ると、さっきまで爽くんの上にいた女の子が床に落とされ、爽くんはその目の前で立ち上がりながら女の子を見下していた。


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