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弟
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荷物は少なかった。
元々あまり趣味があるとかコレクションがあるわけじゃ無いから少ない上に、家具などは全て今父の家にあるものを使うから必要が無いから。
服と本と…
本当にそれぐらいしか必要な物がなくて、3つにまとめた段ボールを見て少し悲しくなった。
父から電話がきて10分。
そろそろ着く頃だと思うけど…
最後に布団を玄関に畳んで待っていると、車のライトが家の前で止まった。
_ピンポン…
控えめに小さくなるチャイムに、飛びつくようにドアを開く。
「おぉ、準備万全か。待たせてごめんな」
笑った父が、荷物に一瞬目をやってから頭を撫でてくれる。
こんなさりげない親子の行動が心にしみて照れくさくなった。
きっと爽くんにいつもやってるから、慣れてるんだろう…。なんて思いながら。
「この家は家具ごと不動産の売り出して片ずけて貰うから…、本当にもう必要なもんはないのか?」
もう一度そう聞いて来る彼に頷いて段ボールを車のトランクにつめる。
布団一式を丸めて後部席に突っ込み、家に鍵をかけた。
車の中では、「今日の夕飯は特別に豪華な肉を買ったんだぞ。」とか「少し家が遠くなったけど、高校は変えなくて大丈夫だよな」とか。
軽く話しかけてくる父に、安心しながら家に向かった。
「着いたよ」
気づいたら寝て居たようで、父がそう肩を叩いて教えてくれる。
「疲れが溜まってたんだろう。今日からはゆっくり寝ろよ」
そう言いながら車をおりる。
駐車場は車庫ではなく玄関の前にあるスペースで、オレンジのランタンが淡く光っていて綺麗だった。
「飯の後に爽に手伝わせて荷物はおろすから、まずは飯にしようか」
そう言う父に頷いて着いて行く。
小さな段差を登った先にある玄関は、母と住んでいた古い家にくらべて綺麗で広かった。
_ガチャッ…
容赦無く玄関を開けた父の背中に隠れ、小さく息を飲んだ。
「おかえりなさい。」
…ドアを開けたそこに立っていたのは、私より大きい薄い茶髪の男の人だった
元々あまり趣味があるとかコレクションがあるわけじゃ無いから少ない上に、家具などは全て今父の家にあるものを使うから必要が無いから。
服と本と…
本当にそれぐらいしか必要な物がなくて、3つにまとめた段ボールを見て少し悲しくなった。
父から電話がきて10分。
そろそろ着く頃だと思うけど…
最後に布団を玄関に畳んで待っていると、車のライトが家の前で止まった。
_ピンポン…
控えめに小さくなるチャイムに、飛びつくようにドアを開く。
「おぉ、準備万全か。待たせてごめんな」
笑った父が、荷物に一瞬目をやってから頭を撫でてくれる。
こんなさりげない親子の行動が心にしみて照れくさくなった。
きっと爽くんにいつもやってるから、慣れてるんだろう…。なんて思いながら。
「この家は家具ごと不動産の売り出して片ずけて貰うから…、本当にもう必要なもんはないのか?」
もう一度そう聞いて来る彼に頷いて段ボールを車のトランクにつめる。
布団一式を丸めて後部席に突っ込み、家に鍵をかけた。
車の中では、「今日の夕飯は特別に豪華な肉を買ったんだぞ。」とか「少し家が遠くなったけど、高校は変えなくて大丈夫だよな」とか。
軽く話しかけてくる父に、安心しながら家に向かった。
「着いたよ」
気づいたら寝て居たようで、父がそう肩を叩いて教えてくれる。
「疲れが溜まってたんだろう。今日からはゆっくり寝ろよ」
そう言いながら車をおりる。
駐車場は車庫ではなく玄関の前にあるスペースで、オレンジのランタンが淡く光っていて綺麗だった。
「飯の後に爽に手伝わせて荷物はおろすから、まずは飯にしようか」
そう言う父に頷いて着いて行く。
小さな段差を登った先にある玄関は、母と住んでいた古い家にくらべて綺麗で広かった。
_ガチャッ…
容赦無く玄関を開けた父の背中に隠れ、小さく息を飲んだ。
「おかえりなさい。」
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