義弟に弱み握られてます

早苗

文字の大きさ
上 下
2 / 9

しおりを挟む
荷物は少なかった。

元々あまり趣味があるとかコレクションがあるわけじゃ無いから少ない上に、家具などは全て今父の家にあるものを使うから必要が無いから。

服と本と…

本当にそれぐらいしか必要な物がなくて、3つにまとめた段ボールを見て少し悲しくなった。



父から電話がきて10分。


そろそろ着く頃だと思うけど…


最後に布団を玄関に畳んで待っていると、車のライトが家の前で止まった。




_ピンポン…

控えめに小さくなるチャイムに、飛びつくようにドアを開く。



「おぉ、準備万全か。待たせてごめんな」


笑った父が、荷物に一瞬目をやってから頭を撫でてくれる。


こんなさりげない親子の行動が心にしみて照れくさくなった。

きっと爽くんにいつもやってるから、慣れてるんだろう…。なんて思いながら。

「この家は家具ごと不動産の売り出して片ずけて貰うから…、本当にもう必要なもんはないのか?」


もう一度そう聞いて来る彼に頷いて段ボールを車のトランクにつめる。


布団一式を丸めて後部席に突っ込み、家に鍵をかけた。






車の中では、「今日の夕飯は特別に豪華な肉を買ったんだぞ。」とか「少し家が遠くなったけど、高校は変えなくて大丈夫だよな」とか。

軽く話しかけてくる父に、安心しながら家に向かった。




「着いたよ」

気づいたら寝て居たようで、父がそう肩を叩いて教えてくれる。


「疲れが溜まってたんだろう。今日からはゆっくり寝ろよ」

そう言いながら車をおりる。

駐車場は車庫ではなく玄関の前にあるスペースで、オレンジのランタンが淡く光っていて綺麗だった。


「飯の後に爽に手伝わせて荷物はおろすから、まずは飯にしようか」


そう言う父に頷いて着いて行く。


小さな段差を登った先にある玄関は、母と住んでいた古い家にくらべて綺麗で広かった。



_ガチャッ…


容赦無く玄関を開けた父の背中に隠れ、小さく息を飲んだ。




「おかえりなさい。」



…ドアを開けたそこに立っていたのは、私より大きい薄い茶髪の男の人だった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は天然

西楓
恋愛
死んだと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢に転生⁉︎転生したがゲームの存在を知らず天然に振る舞う悪役令嬢に対し、ゲームだと知っているヒロインは…

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした

珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。 そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。 ※全4話。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

【完結】お世話になりました

こな
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

処理中です...