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26.嵌められた……
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ここが養鶏場か。
なんかイメージと違うな。
広々とした草原みたいなところを想像していたが、それは牧場のイメージだったらしい。
実際は大きめの小屋がいくつも建っている。
あの小屋の中でニワトリが飼育されているみたいだな。
おっ、第1養鶏場人発見!
さっそく話を聞いてみよう。
「すみません。ちょっとお話よろしいでしょうか」
「はい、なんでしょう?」
「最近、卵の流通が滞ってるみたいで、聞いたところによると突然ニワトリが卵を産まなくなったとか?」
「そうなんですよ。困ったもんです。卵を産んでくれないと、こっちは商売あがったりですよ。そういえば、あなたは?」
「申し遅れました。俺は冒険者をしているイヒトと申します。ここにロンビ……」
「ぼ、冒険者の方ですか!? 依頼を受けてくださったんですね! ありがとうございます!」
レッドパパの紹介状を見せようとしたら、話を遮られてしまった。
依頼ってなんだ? 確かにレッドパパから依頼されたといえばされたが……?
「ささ、こんなところではなんですので、養鶏場の主様のところに行きましょう!」
「は、はぁ……」
まぁ、紹介状は養鶏場の主とかいう人に見せればいいよな。
俺は従業員の勢いにちょっと圧されながら、後についていく。
―◇◇◇―
「コダイ様、冒険者のイヒトさんをお連れしました」
従業員についていくと、1つの小屋の中に主であろうコダイと呼ばれる人物がいた。
ニワトリの世話をしていたようだ。
この人は現場に出るタイプの経営者のようだ。
「こんなところまでお越し下さりありがとうございます。この養鶏場を管理しているコダイと申します」
「ご丁寧にどうも。冒険者のイヒトと申します。これロンビ……」
「いやホントにもうダメかと思っていたので、来てくださって本当に助かりました!」
「は、はぁ……?」
また紹介状を出そうとしたのを遮られてしまった。
ここの人はせっかちなのだろうか?
「ここではなんですので母屋の方に行きましょう」
ちょっと話を聞きたかっただけなのに、どんどん話が大きくなっているような気がするんだが……?
―◇◇◇―
「依頼にありましたようにニワトリが卵を産まなかった件について、助けていただきたいのです」
確かにレッドパパから調査するように依頼されているが……
「はい、詳しいお話を聞かせていただければと」
「ありがとうございます。先日からニワトリが卵を産まなくなってしまったので、こちらでも調査をしてみたのです。エサや水、飼育環境など調べてみたのですが、特に毒などはありませんでした。そのため外部から何かされているのではと思い、1日中見張りを立ててみたところ夜中に物音を聞いたという報告が上がってきまして。魔物や盗賊だったら怖いので、イヒトさんには夜中に何が起こっているのか詳しく調査してもらいたいんです!」
「えっ?」
「えっ?」
いやそんな話聞いてないぞ。
話を聞いてみて俺に解決できそうだったら手を貸そうと思っていたが、夜中に1人で見張りだと?
そんなの俺も怖いわ!
「さすがにそれは俺の手に余るといいますか……」
「えっ?」
「えっ?」
「いや、イヒトさんは冒険者なんですよね?」
「冒険者といえば冒険者なんですけど……」
遂に紹介状を出す時が来たようだ。
「ロンビ商店の店主からの紹介状です。こちらを見ていただければ話が早いかと」
「拝見いたします」
ふぅ……これで誤解も解けて……
「やっぱり依頼を受けてくださった冒険者さんじゃないですか! ジョークがお好きな方なんですね」
ん? 何か雲行きが怪しいぞ……?
「ちょっと紹介状を見せていただいても?」
「はい、どうぞ」
……
…………
………………
あんの悪徳商人めーーーー!!!!
初めから養鶏場がこういう状況で、依頼も出してたこと知ってやがったな!!
紹介状には俺が夜間調査の依頼を受けた冒険者だと書かれている。
完全に嵌められた……
「いや、あの、これは……」
「それじゃあ今夜よろしくお願いしますね!!」
「……はい」
そんな笑顔で見られたら断れない……
「夕食は自慢の鶏肉料理をご用意させていただきます」
……よし、がんばろう。
決してうまそうな鶏肉料理につられたわけではない。
冒険者は困っている人を助けるものだからだ。だから、決して……
―◇◇◇―
なんかイメージと違うな。
広々とした草原みたいなところを想像していたが、それは牧場のイメージだったらしい。
実際は大きめの小屋がいくつも建っている。
あの小屋の中でニワトリが飼育されているみたいだな。
おっ、第1養鶏場人発見!
さっそく話を聞いてみよう。
「すみません。ちょっとお話よろしいでしょうか」
「はい、なんでしょう?」
「最近、卵の流通が滞ってるみたいで、聞いたところによると突然ニワトリが卵を産まなくなったとか?」
「そうなんですよ。困ったもんです。卵を産んでくれないと、こっちは商売あがったりですよ。そういえば、あなたは?」
「申し遅れました。俺は冒険者をしているイヒトと申します。ここにロンビ……」
「ぼ、冒険者の方ですか!? 依頼を受けてくださったんですね! ありがとうございます!」
レッドパパの紹介状を見せようとしたら、話を遮られてしまった。
依頼ってなんだ? 確かにレッドパパから依頼されたといえばされたが……?
「ささ、こんなところではなんですので、養鶏場の主様のところに行きましょう!」
「は、はぁ……」
まぁ、紹介状は養鶏場の主とかいう人に見せればいいよな。
俺は従業員の勢いにちょっと圧されながら、後についていく。
―◇◇◇―
「コダイ様、冒険者のイヒトさんをお連れしました」
従業員についていくと、1つの小屋の中に主であろうコダイと呼ばれる人物がいた。
ニワトリの世話をしていたようだ。
この人は現場に出るタイプの経営者のようだ。
「こんなところまでお越し下さりありがとうございます。この養鶏場を管理しているコダイと申します」
「ご丁寧にどうも。冒険者のイヒトと申します。これロンビ……」
「いやホントにもうダメかと思っていたので、来てくださって本当に助かりました!」
「は、はぁ……?」
また紹介状を出そうとしたのを遮られてしまった。
ここの人はせっかちなのだろうか?
「ここではなんですので母屋の方に行きましょう」
ちょっと話を聞きたかっただけなのに、どんどん話が大きくなっているような気がするんだが……?
―◇◇◇―
「依頼にありましたようにニワトリが卵を産まなかった件について、助けていただきたいのです」
確かにレッドパパから調査するように依頼されているが……
「はい、詳しいお話を聞かせていただければと」
「ありがとうございます。先日からニワトリが卵を産まなくなってしまったので、こちらでも調査をしてみたのです。エサや水、飼育環境など調べてみたのですが、特に毒などはありませんでした。そのため外部から何かされているのではと思い、1日中見張りを立ててみたところ夜中に物音を聞いたという報告が上がってきまして。魔物や盗賊だったら怖いので、イヒトさんには夜中に何が起こっているのか詳しく調査してもらいたいんです!」
「えっ?」
「えっ?」
いやそんな話聞いてないぞ。
話を聞いてみて俺に解決できそうだったら手を貸そうと思っていたが、夜中に1人で見張りだと?
そんなの俺も怖いわ!
「さすがにそれは俺の手に余るといいますか……」
「えっ?」
「えっ?」
「いや、イヒトさんは冒険者なんですよね?」
「冒険者といえば冒険者なんですけど……」
遂に紹介状を出す時が来たようだ。
「ロンビ商店の店主からの紹介状です。こちらを見ていただければ話が早いかと」
「拝見いたします」
ふぅ……これで誤解も解けて……
「やっぱり依頼を受けてくださった冒険者さんじゃないですか! ジョークがお好きな方なんですね」
ん? 何か雲行きが怪しいぞ……?
「ちょっと紹介状を見せていただいても?」
「はい、どうぞ」
……
…………
………………
あんの悪徳商人めーーーー!!!!
初めから養鶏場がこういう状況で、依頼も出してたこと知ってやがったな!!
紹介状には俺が夜間調査の依頼を受けた冒険者だと書かれている。
完全に嵌められた……
「いや、あの、これは……」
「それじゃあ今夜よろしくお願いしますね!!」
「……はい」
そんな笑顔で見られたら断れない……
「夕食は自慢の鶏肉料理をご用意させていただきます」
……よし、がんばろう。
決してうまそうな鶏肉料理につられたわけではない。
冒険者は困っている人を助けるものだからだ。だから、決して……
―◇◇◇―
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