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24.あめの祭り?

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 さて、やると言ったはいいが、どうするか。
 祭りといえば屋台がたくさん出ていて、神輿を担いだりするイメージだよな。
 でも、ただの飲み会やスポーツの試合でお祭り騒ぎとか言うこともあるし、ネットの炎上とかも祭りって言ったりするけどどうなのだろうか。

 皆にあめちゃんのことを広めなくちゃいけないというミッションもあるんだよなぁ……

 祭り……あめちゃん……飴ちゃん……大阪のおばちゃん……飴を配る……

 ……

 …………

 ………………

 ……それだ!

 飴ちゃんを配る祭りといえば!



 そう、"ハロウィン"だ!!

 これなら屋台を出す必要がないから準備が少なくて済むし、こういうことをやりますって宣伝するだけで出来るから普通の祭りよりかなり楽が出来るぞ!

 仮装は大変だから紙に絵を書いてお面にする感じかな。
 お菓子をみんなに配るのも大変だから、それぞれ持ち寄ったお菓子を交換するスタイルもアリだな。
 バレンタインデーやホワイトデーのような感じだ。

 問題は誰とどうやって交換するか。知らない人からもらったものを食べたいとは思わないもんな。

 やっぱり知り合い同士ってことになるのかなぁ。
 まずはキンジくんとかセイラさんとか知り合いを集めてホームパーティみたいな感じにして、どんどん周りに広めていく感じだろうか。
 名前も"あめの祭り"とかにして、あめちゃんの名前も一緒に広まるように。

 メンバーは、キンジくん、セイラさん、オリーブさん、ミカナさん、ライチさん……俺の知り合い少なくね?

 レッドさんは遠いから無理だろうし、ギルドマスター呼ぶのもなぁ……
 トトシさんは来てくれるかも?
 そうすると俺含めて7人か。

 まぁ試験的に少人数でやってみるのもいいだろう。
 サトナカ亭を借りて実施すれば、周りのお客さんに宣伝もできるしちょうどいいな。
 隣のテーブルでお面を被った集団がお菓子交換していたら目立つし、何やってるのか探ろうとするはずだ。
 宣伝効果抜群だ。そうしてどんどん近くの人に広がっていけば、自然とあめちゃんの信仰ポイントが貯まっていくという寸法だ。

 大体の方針は決まったな。あとは詳細をつめて、皆を招待すれば準備完了だ。

 日時は今度の週末、みんな仕事が終わった夕飯時でいいだろう。
 みんなで楽しく夕飯を食べて、デザートにみんなのお菓子を食べあう感じで。

 俺は何のお菓子を用意しようかな。
 この村のお菓子屋さんなんて知らないし。
 食べ物を扱っているところもサトナカ亭とアズーマ小屋しか知らないから、招待客のいるところばかりだ。

 ……いっそのこと自分で作ってみるか?
 実は日本にいた頃はたまにお菓子を作ることもあった。
 インドア派で時間があるから、料理やお菓子作りに手を出す。
 これはショボ男あるあるだと思う。

 ただ、電気オーブンやら冷凍庫やらは存在しなさそうだから、かなり種類が限られてくる。

 簡単なやつなら蒸すお菓子だろうか。
 プリンが代表的だろう。
 異世界モノといえばプリン。
 鉄板だ。
 寒天やゼラチンで固めるプルプルのプリンではなく、昔ながらの少し固めのずっしりとしたプリン。
 スプーンで掬って一口食べれば、もったりなめらかなプリンが舌に絡みついてくる。
 もう一口掬うと、今度はカラメルのちょっとした苦味がアクセントになり飽きることがない。

 フライパンで焼けるホットケーキも定番だな。
 ベーキングパウダーが存在するかわからないから、メレンゲでふわしゅわにするタイプもいいな。
 バターとはちみつをかけて、とろとろふわふわしゅわしゅわの絶妙な食感のマリアージュ。

 はぁ……考えただけで幸せになる。

 あとはあめちゃんを広めるために、べっこうあめという手もあるか。

 お菓子のことは後にして、とりあえずサトナカ亭の場所を確保しに行こう。


 ―◇◇◇―


「セイラさん、今度あめの祭りというものをしたいので場所を貸していただきたいのですが」

「なんであんたのよくわからない祭りに、うちの宿を貸さなきゃいけないのよ」

「そうですよね。キンジくんとか誘ってパーティがしたかったんですけど、仕方ないですよね」

「キ、キンジ!?」

「もちろんセイラさんもご一緒できたら嬉しいのですが」

「ま、まぁ、お金さえちゃんと払って貰えれば、うちの儲けになるわけだし? あんたがどうしてもって情けない顔で懇願するもんだから、仕方なく、本当に仕方なく貸してあげるんだからね!」

「ありがとうございます!」

 よし、場所は確保できた。
 皆を招待しにいこう。


 ―◇◇◇―


 ワカワの湯やアズーマ小屋などを回って、冒険者ギルドの前まで来ている。

 さて、他の人達は誘い終わったし、最後はライチさんだけだ。

 カラーン

「ライチさん、今度あめの祭りというお面被って、お菓子を交換して、おいしいものを食べる祭りをやるので是非来てください」

「おいしいものが食べられるなら行くにゃ~」

 よし、これで全員誘い終わったな。

「おう、兄ちゃん」

 俺は恐る恐る振り返る。

 ……ギルドマスター!?

「面白そうな話してるじゃないか。そうかー、うまいもんかー」

 チラッ、チラッ

 ギルドマスターがめっちゃチラチラこっちを見てくる。

 うわっ、これ絶対催促してきてるよなぁ。
 まぁ、見た目が厳ついだけで悪い人じゃないしなぁ。
 参加者が増えれば、その分あめちゃんの信仰ポイントも増えるだろうし、誘ってみるか。

「あー、ギルドマスターも来ます? 今度サトナカ亭であめの祭りというものを催そうと思ってるんですが」

 ニカッ

 ギルドマスターが満面の笑みを見せる。
 怖い怖い怖い!
 こんなの見たら子供が泣くぞ。

「なんか催促したみたいで悪いな! 楽しみにしているぞ!」

 こうして参加者が1人追加された。


 ―◇◇◇―
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