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20.初遭遇
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俺は今、アズーマ山の麓から少し山に入ったところにいる。
やっぱりさ、装備を揃えて魔物の知識を得たからには見てみたいよね。本物のゴブリン。
それが危険だっていうのはわかっている。わかってはいるが、本物を見てみたいという欲求を抑えられない。
だってゴブリンだよ!? ザ・異世界だよ!!
これを見ずに異世界転移したとは言えないぞ。
ゴブリンの討伐ランクも最低クラスだって書いてあったし、身体能力も低いみたいだからいざとなれば走って逃げれば大丈夫だろう。
普段、薬草採取は麓で行うからだろうか、麓よりも薬草が生えているような気がする。
よくわからない植物も生えている。
毒とかあったら怖いから触らないが……
植物図鑑とかも欲しいところだな。
本屋とか図書館とかあるのだろうか?
オーソイ町ならありそうだったよなぁ。
オーソイ町に行ったときに聞けてればなぁ。
ガサッ
!!
少し遠くで葉が擦れる音が聞こえた。
先に見つけることが出来ればかなりのアドバンテージだ。
俺は静かに音がした方へと歩を進める。
抜き足、差し足、忍び足。
枝を踏んで気付かれるようなヘマはしないよう注意して近付く。
木の陰からそーっと覗いて確認する。
いた!
しかも、はぐれゴブリンだ!
もちろんはぐれゴブリンと言っても銀色で素早いゴブリンということではなく、群れから離れて1体で行動しているゴブリンのことである。
普通、ゴブリンは複数体で行動しているみたいだから、この発見はラッキーだ。
だが、あまりにもラッキー過ぎるという考え方もできる。
運が良すぎる時こそ危ないのだ。
例えば、ゴブリンの方があえて1体で行動することで、俺を誘き出そうとしているとか。
そこまでの知能があるとは思えないが、しばらく様子を見てみよう。
……
…………
………………
ゴブリン見ててもつまんないな。
犬とか猫とかだったらずっと見てても飽きないのになんでだろうな。
やっぱりかわいさか? かわいさなのか?
ゴブリンに猫耳付けたらかわいいだろうか?
……いや気持ち悪いわ!
おっさんが遊園地行ってキャラクターの耳付けてはしゃいでるよりも気持ち悪いわ!
……いや、おっさんに謝れ! 俺だって必死に生きてるんだよ!
はぁ、はぁ……
ゴブリンを観察しすぎて頭がおかしくなってしまった。
まさかこれがゴブリンの作戦なのか……?
恐るべしゴブリン……
※そのような事実はありません。
それにしても、このゴブリンはいったい何がしたいのだろうか?
ただ徘徊しているだけで何かをしようとする気配がない。
まぁ、他の動物のこともそんなに知っているわけではないが、普通は餌を探したりマーキングをしたりするものではないだろうか?
しかし、目の前のゴブリンはそのような素振りは見せず、ただただ歩き回っている。
確か魔物の入門書に生物かどうかもわかっていないって書いてあったな。
食事を必要としない体なのだろうか?
そう考えると面白いかもしれない。
魔物学者を目指してもいいかもな……!
そんな馬鹿な考えはとりあえず置いといて、そろそろ戦ってみるか。
他に仲間もいなさそうだし、ボケッとしてて弱そうだし。
よし、いくぞ!
……いくぞ!
…………いくぞ!
………………やっぱりいけない。
そりゃそうだよ。
だってヘタしたら死ぬかも知れないんだぞ!
動物だって殺したことないのに、いきなり生死を賭けた戦いなんて出来るはずがない。
俺のショボい運命に、こんなヤバいページは存在しない。
……そうだ、俺の人生はショボいんだ。
異世界転移しても、ずっと薬草採取して終わっていくような人生なんだ。
それでいいじゃないか。薬草採取や簡単な依頼で元手を稼いで、商売かなにかを始めて、安全に生きていく。
うん、そうしよう。
異世界転移してチートスキルもらって冒険者になって魔物を倒す。
憧れていた人生だったが、憧れは憧れ。誰もがそんな人生を歩めるわけじゃない。
さぁ、帰ろう。
俺はゴブリンに背を向けそっとその場を離れる。
……はずだった。
ガツッ
ヤバい! 木の根に躓いた! 倒れる……!
まさかこんな木の枝を踏んで居場所がバレるようなテンプレ展開の状況に陥るとは……!
いや、まだいける! まだ倒れてない!
右足が躓いたなら左足を出せばいいじゃない。人間だもの。
意外と倒れるまでの時間って長いんだなぁ……
ズザーッ
見事に倒れました! てへっ!
てへっ! じゃねーよ! バカ!
俺は急いで後ろを振り返る。
頼む! 気付かないでくれ……!
「グギャッ!」
ガサガサ!
ですよねー。
こんだけ派手にコケたら気付かない方がおかしいよね。
走れ、俺!
俺とゴブリンの間は目測で20m。
ゴブリンの身体能力は低いって話だし、これなら逃げ切れるはず……だったよね!?
めっちゃ速いじゃん!
誰だよ、ゴブリンの身体能力低いって言ったやつ!
我ら四天王の中で奴は最弱! みたいなノリですか!?
魔物にしては身体能力低いよね? ってことか!?
それともこの世界の人間はみんな身体能力が地球の3倍! とかそんな感じですか!?
そういやこの世界の人間はスキルとか持ってるって話だもんな。
俺みたいな地球人の中でも弱い方の人間がゴブリン様に敵うはずないですよね……!?
もっと早くに気付くべきだった……
って、今更そんなこと考えてもしょうがない。
今、生き残れる方法を考えろ!
状況を整理しよう。
俺が持っているのはナイフ、革の胸当て、木の篭手、麻袋。
走って逃げているが徐々に追いつかれている。
……詰んでね?
相手が諦めてくれるのを祈るか、戦うかの2択しかない。
……でも、どうせ選ぶなら相手任せじゃなく、自分の力で立ち向かいたい。
俺が選ぶのは……戦う、だ!
どうすれば勝てる……?
……いや、わかっている。
こういう時にいつも救ってくれたのは、女神様からもらったチートスキルだ。
元から俺にはこれしか頼れるものはない。
あとはどう使えば勝てるか……だ。
10円玉召喚スキルでゴブリンを倒す……
10円玉でゴブリンを……
―◇◇◇―
やっぱりさ、装備を揃えて魔物の知識を得たからには見てみたいよね。本物のゴブリン。
それが危険だっていうのはわかっている。わかってはいるが、本物を見てみたいという欲求を抑えられない。
だってゴブリンだよ!? ザ・異世界だよ!!
これを見ずに異世界転移したとは言えないぞ。
ゴブリンの討伐ランクも最低クラスだって書いてあったし、身体能力も低いみたいだからいざとなれば走って逃げれば大丈夫だろう。
普段、薬草採取は麓で行うからだろうか、麓よりも薬草が生えているような気がする。
よくわからない植物も生えている。
毒とかあったら怖いから触らないが……
植物図鑑とかも欲しいところだな。
本屋とか図書館とかあるのだろうか?
オーソイ町ならありそうだったよなぁ。
オーソイ町に行ったときに聞けてればなぁ。
ガサッ
!!
少し遠くで葉が擦れる音が聞こえた。
先に見つけることが出来ればかなりのアドバンテージだ。
俺は静かに音がした方へと歩を進める。
抜き足、差し足、忍び足。
枝を踏んで気付かれるようなヘマはしないよう注意して近付く。
木の陰からそーっと覗いて確認する。
いた!
しかも、はぐれゴブリンだ!
もちろんはぐれゴブリンと言っても銀色で素早いゴブリンということではなく、群れから離れて1体で行動しているゴブリンのことである。
普通、ゴブリンは複数体で行動しているみたいだから、この発見はラッキーだ。
だが、あまりにもラッキー過ぎるという考え方もできる。
運が良すぎる時こそ危ないのだ。
例えば、ゴブリンの方があえて1体で行動することで、俺を誘き出そうとしているとか。
そこまでの知能があるとは思えないが、しばらく様子を見てみよう。
……
…………
………………
ゴブリン見ててもつまんないな。
犬とか猫とかだったらずっと見てても飽きないのになんでだろうな。
やっぱりかわいさか? かわいさなのか?
ゴブリンに猫耳付けたらかわいいだろうか?
……いや気持ち悪いわ!
おっさんが遊園地行ってキャラクターの耳付けてはしゃいでるよりも気持ち悪いわ!
……いや、おっさんに謝れ! 俺だって必死に生きてるんだよ!
はぁ、はぁ……
ゴブリンを観察しすぎて頭がおかしくなってしまった。
まさかこれがゴブリンの作戦なのか……?
恐るべしゴブリン……
※そのような事実はありません。
それにしても、このゴブリンはいったい何がしたいのだろうか?
ただ徘徊しているだけで何かをしようとする気配がない。
まぁ、他の動物のこともそんなに知っているわけではないが、普通は餌を探したりマーキングをしたりするものではないだろうか?
しかし、目の前のゴブリンはそのような素振りは見せず、ただただ歩き回っている。
確か魔物の入門書に生物かどうかもわかっていないって書いてあったな。
食事を必要としない体なのだろうか?
そう考えると面白いかもしれない。
魔物学者を目指してもいいかもな……!
そんな馬鹿な考えはとりあえず置いといて、そろそろ戦ってみるか。
他に仲間もいなさそうだし、ボケッとしてて弱そうだし。
よし、いくぞ!
……いくぞ!
…………いくぞ!
………………やっぱりいけない。
そりゃそうだよ。
だってヘタしたら死ぬかも知れないんだぞ!
動物だって殺したことないのに、いきなり生死を賭けた戦いなんて出来るはずがない。
俺のショボい運命に、こんなヤバいページは存在しない。
……そうだ、俺の人生はショボいんだ。
異世界転移しても、ずっと薬草採取して終わっていくような人生なんだ。
それでいいじゃないか。薬草採取や簡単な依頼で元手を稼いで、商売かなにかを始めて、安全に生きていく。
うん、そうしよう。
異世界転移してチートスキルもらって冒険者になって魔物を倒す。
憧れていた人生だったが、憧れは憧れ。誰もがそんな人生を歩めるわけじゃない。
さぁ、帰ろう。
俺はゴブリンに背を向けそっとその場を離れる。
……はずだった。
ガツッ
ヤバい! 木の根に躓いた! 倒れる……!
まさかこんな木の枝を踏んで居場所がバレるようなテンプレ展開の状況に陥るとは……!
いや、まだいける! まだ倒れてない!
右足が躓いたなら左足を出せばいいじゃない。人間だもの。
意外と倒れるまでの時間って長いんだなぁ……
ズザーッ
見事に倒れました! てへっ!
てへっ! じゃねーよ! バカ!
俺は急いで後ろを振り返る。
頼む! 気付かないでくれ……!
「グギャッ!」
ガサガサ!
ですよねー。
こんだけ派手にコケたら気付かない方がおかしいよね。
走れ、俺!
俺とゴブリンの間は目測で20m。
ゴブリンの身体能力は低いって話だし、これなら逃げ切れるはず……だったよね!?
めっちゃ速いじゃん!
誰だよ、ゴブリンの身体能力低いって言ったやつ!
我ら四天王の中で奴は最弱! みたいなノリですか!?
魔物にしては身体能力低いよね? ってことか!?
それともこの世界の人間はみんな身体能力が地球の3倍! とかそんな感じですか!?
そういやこの世界の人間はスキルとか持ってるって話だもんな。
俺みたいな地球人の中でも弱い方の人間がゴブリン様に敵うはずないですよね……!?
もっと早くに気付くべきだった……
って、今更そんなこと考えてもしょうがない。
今、生き残れる方法を考えろ!
状況を整理しよう。
俺が持っているのはナイフ、革の胸当て、木の篭手、麻袋。
走って逃げているが徐々に追いつかれている。
……詰んでね?
相手が諦めてくれるのを祈るか、戦うかの2択しかない。
……でも、どうせ選ぶなら相手任せじゃなく、自分の力で立ち向かいたい。
俺が選ぶのは……戦う、だ!
どうすれば勝てる……?
……いや、わかっている。
こういう時にいつも救ってくれたのは、女神様からもらったチートスキルだ。
元から俺にはこれしか頼れるものはない。
あとはどう使えば勝てるか……だ。
10円玉召喚スキルでゴブリンを倒す……
10円玉でゴブリンを……
―◇◇◇―
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