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19.新装備と魔物基礎
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おはよう。
いやー、懐が暖かい朝は気持ちがいいなぁ。
こんな日はドラマの主人公にでもなったような気分だ。
俺は窓を開け、朝の日差しを浴びながら深呼吸をする。
朝の少し冷たい空気が心地よい。
懐の暖かさと朝の冷たい空気が、まるで冬にコタツで食べるアイスクリームのようなコラボレーションをしている。
小鳥が窓の桟にとまる。
君も一緒に深呼吸するかい?
「おはよう、小鳥さん」
小鳥はビックリして飛び立つ。
……さて、朝食食べに行こう。
「おはようございます。朝食をお願いします」
「……あんたニヤニヤしてて、今日はいつも以上に気持ち悪いわね」
「気になります? 実は割のいい依頼を達成して、欲しい装備が買えるくらいお金が貯まっ……」
「……」
セイラさんは興味なさそうに去っていった……
悲しい……
―◇◇◇―
「こんにちはー、トトシさんいますかー?」
俺は早く装備が欲しい気持ちを抑えられず、朝一でトトシさんの店にやってきた。
「お、おぉ、お前さんか。昨日、何か忘れ物でもしたのかの?」
「ふっふっふ、稼いできましたよトトシさん。装備をください!」
「な、なにー!? 昨日の今日で早すぎじゃろ。ヤバい仕事でもしたんじゃなかろうな……?」
ふっふっふ、トトシさんいいリアクションするじゃないか。
こういう反応を待っていたんだよ。
まぁ、ある意味ヤバい依頼ばっかりだったけどな……
「は、はは、そんなわけないじゃないですか……ちょっと、恐い人(ギルマス)から中身を見てはいけない物を運んでくれと言われたりしただけで……」
「……わ、わしは聞かなかったことにするわい」
確かにこう言うとかなり怪しい仕事をしているな……
だが正規の依頼だ。俺は悪くない。
「それで2500円くらいで装備を買えたらと思って来たのですが。俺は革の胸当てなんかがいいと思うのですが」
「そうじゃのう。ランクの低い魔物を相手に、ナイフでヒットアンドアウェイを狙うなら軽い装備の方がいいじゃろうな。その予算なら、革の胸当てと木の篭手がおすすめじゃの」
篭手か。篭手ってなんかかっこいいよな。
最悪、盾みたいにガードも出来るしな。かなり痛そうだけど……
「いいですね。おいくらですか?」
「革の胸当て2000円に、木の篭手が両腕で400円、合わせて2400円じゃの」
うん、予算内だ。革と木でちょっとちぐはぐだが、色合いも似てるし悪くないな。
「それではそれでお願いします」
「まいどあり。装備を整えたからって、調子に乗って危険な真似はせぬようにな」
そうだな。装備を新調した時が1番気が緩んで危険なんだ。
強くなった気がして気が大きくなったり、性能を試してみたくて危険なところに突っ込んでしまったり。
まずは魔物について情報収集するところから始めよう。
未だにスライムしか知らないからね……
そうと決まったら冒険者ギルドに行ってみよう!
―◇◇◇―
カラーン
俺は冒険者ギルドに入り、一直線に受付のライチさんの元に向かう。
「ライチさん、魔物について教えて下さい!」
「……」
ライチさん、すごい面倒くさそうな顔をしている……
微塵も隠す気がないところが、逆に好感が持てる。
「……あそこの本を読んでくれにゃ~」
俺は指された方を向く。
そこには本棚があり、図鑑や地図のようなものが並んでいる。
「あそこの本は冒険者なら無料で読み放題にゃ~。ただし持ち出しは厳禁にゃ~」
「ありがとうございます」
あんな隅の方に本棚があったのか。
早く教えて欲しかったよ……
俺は魔物についての入門書を手に取る。
なになに……この世には"動物"、"魔獣"、"魔物"が存在する。
"動物"はヒトを含む、魔素に侵されていない生物。
"魔獣"は動物が魔素に侵され変異した生物。
また、植物や菌類など動物以外も魔素によって変異することがある。
"魔物"は魔石を核として、魔素によって形作られているもの。まだ、研究が進んでおらず生物かどうかも定かではない。
魔物は討伐されると、魔石を残して肉体は霧散してしまう。アイテムや素材をドロップすることもある……か。
そうか。体は残らないから、魔物肉なんかは売ってなかったんだな。
魔石は燃料や触媒などに使われるから、買い取りもしてもらえる、と。
ふむふむ。初心者におすすめの魔物はゴブリンね。オーソドックスだ。
ゴブリンは人型で急所がヒトに似ているようだ。身体能力や知能も低く、1対1での討伐ランクは最低クラス。
ただし、複数体のグループで行動することが多いので、囲まれないように注意。
アイテムや素材のドロップは無く、魔石も小さく質が低いため稼ぎは少ない。
うーん。稼ぎが少ないならあんまり討伐する旨みがないな。
この世界はレベルとかあるのだろうか?
レベルアップできるなら討伐する意味も出てくるが……
スキルがあるくらいだから、何かしらの成長システムはあるよな。
ちなみにスライムはどんな感じかな?
スライムは半透明のゼリー状物質で魔石が覆われている魔物。
危険度は低く、長剣や槍などで真ん中の魔石を破壊すれば討伐も容易。
ただし、魔石を破壊してしまうと収穫が何もなくなってしまうので倒す価値はない。
魔石を回収したいなら、魔法で討伐すること。
魔法! 後天的に魔法って使えるようになるのだろうか?
でも、この村で魔法使ってる人を見たことないから、かなり貴重なんだろうな。
まぁこの村が田舎過ぎるだけかもしれないが……
うーん、俺のナイフだと魔石まで届かないから、スライムの討伐は無理そうだな。
倒せたら成長システムがわかるかも、とか思ったが。
異世界モノだとテイムとかできたりするんだけどなぁ。
テイムもスキルであるのだろうか?
魔物のテイムとか憧れちゃうよね。
狼系の魔物の背中に乗って疾走したり、鳥系の魔物に乗って空を飛んだり。
そのうち肉でも買って試してみよう。
魔物とふれあえるほど、俺が強くなれるかは疑問だが……
さて、魔物の基本も知れたし、今日も薬草採取に勤しみますか!
―◇◇◇―
いやー、懐が暖かい朝は気持ちがいいなぁ。
こんな日はドラマの主人公にでもなったような気分だ。
俺は窓を開け、朝の日差しを浴びながら深呼吸をする。
朝の少し冷たい空気が心地よい。
懐の暖かさと朝の冷たい空気が、まるで冬にコタツで食べるアイスクリームのようなコラボレーションをしている。
小鳥が窓の桟にとまる。
君も一緒に深呼吸するかい?
「おはよう、小鳥さん」
小鳥はビックリして飛び立つ。
……さて、朝食食べに行こう。
「おはようございます。朝食をお願いします」
「……あんたニヤニヤしてて、今日はいつも以上に気持ち悪いわね」
「気になります? 実は割のいい依頼を達成して、欲しい装備が買えるくらいお金が貯まっ……」
「……」
セイラさんは興味なさそうに去っていった……
悲しい……
―◇◇◇―
「こんにちはー、トトシさんいますかー?」
俺は早く装備が欲しい気持ちを抑えられず、朝一でトトシさんの店にやってきた。
「お、おぉ、お前さんか。昨日、何か忘れ物でもしたのかの?」
「ふっふっふ、稼いできましたよトトシさん。装備をください!」
「な、なにー!? 昨日の今日で早すぎじゃろ。ヤバい仕事でもしたんじゃなかろうな……?」
ふっふっふ、トトシさんいいリアクションするじゃないか。
こういう反応を待っていたんだよ。
まぁ、ある意味ヤバい依頼ばっかりだったけどな……
「は、はは、そんなわけないじゃないですか……ちょっと、恐い人(ギルマス)から中身を見てはいけない物を運んでくれと言われたりしただけで……」
「……わ、わしは聞かなかったことにするわい」
確かにこう言うとかなり怪しい仕事をしているな……
だが正規の依頼だ。俺は悪くない。
「それで2500円くらいで装備を買えたらと思って来たのですが。俺は革の胸当てなんかがいいと思うのですが」
「そうじゃのう。ランクの低い魔物を相手に、ナイフでヒットアンドアウェイを狙うなら軽い装備の方がいいじゃろうな。その予算なら、革の胸当てと木の篭手がおすすめじゃの」
篭手か。篭手ってなんかかっこいいよな。
最悪、盾みたいにガードも出来るしな。かなり痛そうだけど……
「いいですね。おいくらですか?」
「革の胸当て2000円に、木の篭手が両腕で400円、合わせて2400円じゃの」
うん、予算内だ。革と木でちょっとちぐはぐだが、色合いも似てるし悪くないな。
「それではそれでお願いします」
「まいどあり。装備を整えたからって、調子に乗って危険な真似はせぬようにな」
そうだな。装備を新調した時が1番気が緩んで危険なんだ。
強くなった気がして気が大きくなったり、性能を試してみたくて危険なところに突っ込んでしまったり。
まずは魔物について情報収集するところから始めよう。
未だにスライムしか知らないからね……
そうと決まったら冒険者ギルドに行ってみよう!
―◇◇◇―
カラーン
俺は冒険者ギルドに入り、一直線に受付のライチさんの元に向かう。
「ライチさん、魔物について教えて下さい!」
「……」
ライチさん、すごい面倒くさそうな顔をしている……
微塵も隠す気がないところが、逆に好感が持てる。
「……あそこの本を読んでくれにゃ~」
俺は指された方を向く。
そこには本棚があり、図鑑や地図のようなものが並んでいる。
「あそこの本は冒険者なら無料で読み放題にゃ~。ただし持ち出しは厳禁にゃ~」
「ありがとうございます」
あんな隅の方に本棚があったのか。
早く教えて欲しかったよ……
俺は魔物についての入門書を手に取る。
なになに……この世には"動物"、"魔獣"、"魔物"が存在する。
"動物"はヒトを含む、魔素に侵されていない生物。
"魔獣"は動物が魔素に侵され変異した生物。
また、植物や菌類など動物以外も魔素によって変異することがある。
"魔物"は魔石を核として、魔素によって形作られているもの。まだ、研究が進んでおらず生物かどうかも定かではない。
魔物は討伐されると、魔石を残して肉体は霧散してしまう。アイテムや素材をドロップすることもある……か。
そうか。体は残らないから、魔物肉なんかは売ってなかったんだな。
魔石は燃料や触媒などに使われるから、買い取りもしてもらえる、と。
ふむふむ。初心者におすすめの魔物はゴブリンね。オーソドックスだ。
ゴブリンは人型で急所がヒトに似ているようだ。身体能力や知能も低く、1対1での討伐ランクは最低クラス。
ただし、複数体のグループで行動することが多いので、囲まれないように注意。
アイテムや素材のドロップは無く、魔石も小さく質が低いため稼ぎは少ない。
うーん。稼ぎが少ないならあんまり討伐する旨みがないな。
この世界はレベルとかあるのだろうか?
レベルアップできるなら討伐する意味も出てくるが……
スキルがあるくらいだから、何かしらの成長システムはあるよな。
ちなみにスライムはどんな感じかな?
スライムは半透明のゼリー状物質で魔石が覆われている魔物。
危険度は低く、長剣や槍などで真ん中の魔石を破壊すれば討伐も容易。
ただし、魔石を破壊してしまうと収穫が何もなくなってしまうので倒す価値はない。
魔石を回収したいなら、魔法で討伐すること。
魔法! 後天的に魔法って使えるようになるのだろうか?
でも、この村で魔法使ってる人を見たことないから、かなり貴重なんだろうな。
まぁこの村が田舎過ぎるだけかもしれないが……
うーん、俺のナイフだと魔石まで届かないから、スライムの討伐は無理そうだな。
倒せたら成長システムがわかるかも、とか思ったが。
異世界モノだとテイムとかできたりするんだけどなぁ。
テイムもスキルであるのだろうか?
魔物のテイムとか憧れちゃうよね。
狼系の魔物の背中に乗って疾走したり、鳥系の魔物に乗って空を飛んだり。
そのうち肉でも買って試してみよう。
魔物とふれあえるほど、俺が強くなれるかは疑問だが……
さて、魔物の基本も知れたし、今日も薬草採取に勤しみますか!
―◇◇◇―
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