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7.オリーブさん……?
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ガラガラッ
ふぅ、気持ちよかったー。これは異世界の中でトップクラスの娯楽に分類されるだろうな。
毎日銭湯に来られるくらいの稼ぎは欲しいところだ。
さて、俺の着替えは洗えてるかな?
「イヒトさん」
!!
びっくりした。まさか女性に話しかけられるとは!
ここは男湯だから完全に油断していた。
一応タオルを腰に巻いて、大事なところを隠せていたのはナイスだ俺。
「お着替えお持ちしました」
振り返るとオリーブさんがいた。
ちょうど洗濯が終わって着替えを持ってきてくれたのか。タイミングが悪かったなぁ。
「あの……」
「? ……あぁ、"小さい"頃から男性の裸を見て育っていて、慣れているので気にされなくて大丈夫ですよ」
!! びっくりした。"小さい"って言葉に反応してしまった。
それにしても、なにやらオリーブさんの視線がおかしいような……?
「洗濯ありがとうございました。お風呂も気持ち良かったです」
俺は着替えを受け取り、なるべく体を隠すようにそれを持つ。
「"気持ち良かった"ですか。それはごちそうさ……ありがとうございます」
え? ごちそうさまって言おうとした?
何が? 何がごちそうさまなの?!
「あ、あの……もう着替えるので……」
「気になさらなくてよろしいのに……そうですね、それでは受付でお待ちしております」
異性の裸に興味があるお年頃なんだろうか。
まぁオリーブさんが気にしてないなら、こっちもそんなに気にするようなことではないが。
俺は素早く服を着た。
―◇◇◇―
「お風呂ありがとうございました。洗濯までしてもらっちゃって。本当にタダでよかったんですか?」
まぁ今更ダメと言われても5円しか持ってないけど。
「私が助けていただいたお礼なんですから、気にしないでください。また来てくださいね。その時はきちんとお代をいただきますから」
「ありがとうございます。とてもいい湯加減だったので、また来ます」
「またのお越しをお待ちしておりますね」
体も心も温かく、俺は宿屋へと戻る。
懐も暖かくならないかなぁ……
「……なにアホ面してんのよ。まさかオリーブさんに変なことでもしたんじゃないでしょうね」
宿屋の子、仮称ツン子に睨まれる。
いや俺変なことしてないよな?
ちょっと裸は見られたけど、俺から見せた訳じゃないし。
「すぐ否定しないってことは本当にしたんだ。汚らわしい。夕飯食べたらさっさと私の目の前から消えてよね」
そう言って今日もテキパキと夕飯を用意してくれる。
憎まれ口は叩くけど、なんだかんだちゃんと宿屋の仕事はしてくれるんだよな。
それがわかって最初の頃よりはツン子のことが苦手ではなくなった。
「それじゃあ、ごゆっくり」
「ありがとう」
「ふんっ」
さて、今日の夕飯は何かなー?
白米、スープ、ポテトサラダにメインディッシュは煮込みハンバーグか!
昨日の唐揚げに続いてこんなん誰でも好きでしょメニューだ。
異世界あなどれない。
それでは、
「いただきます」
まずはスープで口を湿らせる。
これはコンソメかな?
野菜から出たうま味をしっかりと味わえる。
本当かどうか知らないが前の世界では、野菜をくたくたにこれでもかと煮込んで、うま味をスープに溶け出させた上で、そのうま味たっぷりのスープを全て捨て去り、うま味の抜けた野菜の方を食べるところがあったらしい。
その点、ここの飯はうまい。手放しで称賛できる。
続いてポテトサラダを一口。
!! マヨネーズもあるのか!
マヨネーズのまったりした味わいと少しの酸味にブラックペッパーがピリリと利いて味を引き締めている。
ブラックペッパーなんかの香辛料も一般的に普及しているのはうれしい。
食感もジャガイモのホクホク感にキュウリのパリパリ感がアクセントとなって飽きがこない。
満を持してメインディッシュの煮込みハンバーグをいただきましょう。
おぉ! 箸で触れただけで溢れ出す肉汁。
デミグラスソースの池にキラキラ光る肉汁の川が流れ込む。
それらを絡めてひと口頬張れば、濃厚なデミグラスソースが舌を刺激する。
ひと噛みすれば肉汁とデミグラスソースが絡み合い、さらに1段階深みが増す。
うまさの暴力に忘れそうになったが、慌てて白米をかき込む。
至福。至高。僥倖。
はっ!
気付いたときには器が全て空になっていた。
恐るべし、サトナカ亭。
うまさに記憶が飛んだ。
最初のひと口しか記憶に残ってない。
今度食べる時はもっと気を引き締めて食べないといけないな。
「ごちそうさまでした」
さて、ツン子に何か言われる前にさっさと部屋に行くとしますか。
俺は部屋に戻り、特にやることもないから寝た。
おやすみ……
―◇◇◇―
ふぅ、気持ちよかったー。これは異世界の中でトップクラスの娯楽に分類されるだろうな。
毎日銭湯に来られるくらいの稼ぎは欲しいところだ。
さて、俺の着替えは洗えてるかな?
「イヒトさん」
!!
びっくりした。まさか女性に話しかけられるとは!
ここは男湯だから完全に油断していた。
一応タオルを腰に巻いて、大事なところを隠せていたのはナイスだ俺。
「お着替えお持ちしました」
振り返るとオリーブさんがいた。
ちょうど洗濯が終わって着替えを持ってきてくれたのか。タイミングが悪かったなぁ。
「あの……」
「? ……あぁ、"小さい"頃から男性の裸を見て育っていて、慣れているので気にされなくて大丈夫ですよ」
!! びっくりした。"小さい"って言葉に反応してしまった。
それにしても、なにやらオリーブさんの視線がおかしいような……?
「洗濯ありがとうございました。お風呂も気持ち良かったです」
俺は着替えを受け取り、なるべく体を隠すようにそれを持つ。
「"気持ち良かった"ですか。それはごちそうさ……ありがとうございます」
え? ごちそうさまって言おうとした?
何が? 何がごちそうさまなの?!
「あ、あの……もう着替えるので……」
「気になさらなくてよろしいのに……そうですね、それでは受付でお待ちしております」
異性の裸に興味があるお年頃なんだろうか。
まぁオリーブさんが気にしてないなら、こっちもそんなに気にするようなことではないが。
俺は素早く服を着た。
―◇◇◇―
「お風呂ありがとうございました。洗濯までしてもらっちゃって。本当にタダでよかったんですか?」
まぁ今更ダメと言われても5円しか持ってないけど。
「私が助けていただいたお礼なんですから、気にしないでください。また来てくださいね。その時はきちんとお代をいただきますから」
「ありがとうございます。とてもいい湯加減だったので、また来ます」
「またのお越しをお待ちしておりますね」
体も心も温かく、俺は宿屋へと戻る。
懐も暖かくならないかなぁ……
「……なにアホ面してんのよ。まさかオリーブさんに変なことでもしたんじゃないでしょうね」
宿屋の子、仮称ツン子に睨まれる。
いや俺変なことしてないよな?
ちょっと裸は見られたけど、俺から見せた訳じゃないし。
「すぐ否定しないってことは本当にしたんだ。汚らわしい。夕飯食べたらさっさと私の目の前から消えてよね」
そう言って今日もテキパキと夕飯を用意してくれる。
憎まれ口は叩くけど、なんだかんだちゃんと宿屋の仕事はしてくれるんだよな。
それがわかって最初の頃よりはツン子のことが苦手ではなくなった。
「それじゃあ、ごゆっくり」
「ありがとう」
「ふんっ」
さて、今日の夕飯は何かなー?
白米、スープ、ポテトサラダにメインディッシュは煮込みハンバーグか!
昨日の唐揚げに続いてこんなん誰でも好きでしょメニューだ。
異世界あなどれない。
それでは、
「いただきます」
まずはスープで口を湿らせる。
これはコンソメかな?
野菜から出たうま味をしっかりと味わえる。
本当かどうか知らないが前の世界では、野菜をくたくたにこれでもかと煮込んで、うま味をスープに溶け出させた上で、そのうま味たっぷりのスープを全て捨て去り、うま味の抜けた野菜の方を食べるところがあったらしい。
その点、ここの飯はうまい。手放しで称賛できる。
続いてポテトサラダを一口。
!! マヨネーズもあるのか!
マヨネーズのまったりした味わいと少しの酸味にブラックペッパーがピリリと利いて味を引き締めている。
ブラックペッパーなんかの香辛料も一般的に普及しているのはうれしい。
食感もジャガイモのホクホク感にキュウリのパリパリ感がアクセントとなって飽きがこない。
満を持してメインディッシュの煮込みハンバーグをいただきましょう。
おぉ! 箸で触れただけで溢れ出す肉汁。
デミグラスソースの池にキラキラ光る肉汁の川が流れ込む。
それらを絡めてひと口頬張れば、濃厚なデミグラスソースが舌を刺激する。
ひと噛みすれば肉汁とデミグラスソースが絡み合い、さらに1段階深みが増す。
うまさの暴力に忘れそうになったが、慌てて白米をかき込む。
至福。至高。僥倖。
はっ!
気付いたときには器が全て空になっていた。
恐るべし、サトナカ亭。
うまさに記憶が飛んだ。
最初のひと口しか記憶に残ってない。
今度食べる時はもっと気を引き締めて食べないといけないな。
「ごちそうさまでした」
さて、ツン子に何か言われる前にさっさと部屋に行くとしますか。
俺は部屋に戻り、特にやることもないから寝た。
おやすみ……
―◇◇◇―
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