番が欲しいアイツと、実らない恋をした俺の話。

飛鷹

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sideノア

12.

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目が覚めると、見知らぬ天井が視界に入ってきた。

「………?」

何処だ、ここ?
身を起こそうとして背中が引き攣るように痛む

「……!?……っつ!」

思わず呻いて、ベッドに倒れ込む。
その痛みで記憶が蘇ってきた。

「魔物に襲われたんだったな」

背中の痛みの原因を思い出す。でもクエストは達成したはず。

それから………。それから――――――………。
考え込んでいると、ガチャリと音がして扉が開いた。
スルリと身を滑り込ませて来た人物を見て、思わず声が出る。

「……ルーカス?」

瞬間、目を見開いて勢いよく振り返る。ドアを閉めるのもそこ其処に、慌ただしく俺に近寄ってきた。

「良かった!目が醒めたんだ!気分はどう?痛みは?」

矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
常にないルーカスの態度に、思わず目を丸くする。

………が、俺がクエストを受けた理由を思い出して、思わず顔を強張らせてしまった。

「ルーカス、お前何でここにいるの?」

「お前が居なくなったから、追いかけて来たんだよ」

「何で?」

「何でって、お前………」

言葉に詰まるルーカス。

いや、ホントに何で追いかけて来るのさ?
期間限定のセフレだろ?意味が分からない。

怪訝な顔をしている俺を、ルーカスは戸惑ったように見つめる。

「お前が………俺の番……だから」

「……は?」

全く意味が分からない。
どうしてそうなるんだ?

ルーカスは項垂れて、俺の視線から顔を隠すように俯いた。

「俺、番って出会ったら直ぐに分かる、運命の半身だと思ってたんだ」

絞り出すように語りだす。

「だけどノアと出会ってさ。俺よく分からなくなって」

いや、俺も分かんないよ?

「ノアと一緒に居れたら嬉しいし、セックスも凄く相性が良いと思う。それだけなら疑問には思わなかったけどさ」

「うん……」

「お前が側から居なくなると、スゴく不安になるんだ。誰かと話してるのを見ると苦しくなるし、相手を殺したくなる」

「…………」

「……俺のモノなのにって」

なんだ、それ。
それってまるで………。

「ホント訳分かんなくなってさ。でも俺がクエスト受けて、あの街を離れてみて気付いた。
ノアが……ノアこそが、俺の番だって」

「……おまえ、それいつ気付いたんだ?」

ルーカスと出会って、もう既に3年は経つぞ……。

「…………。」

「ルーカス?」

強めに名前を呼ぶと、更に深く項垂れてしまった。
首、もげそうだな?大丈夫か。

「………2年半前………」

結構経つな、おい。

無言な俺に、思わずルーカスは顔を上げて言い募ってきた。

「最初にセフレ発言しといて、どのツラ下げて言えるってんだよ……」

「…………」

「…お前が俺の…、番だ、なんてさ……」

あ…、そう………。

「……………」

「……………」

あーもう、どうすりゃ良いんだ。
沈黙がイタイわ。

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