12 / 46
sideノア
12.
しおりを挟む
目が覚めると、見知らぬ天井が視界に入ってきた。
「………?」
何処だ、ここ?
身を起こそうとして背中が引き攣るように痛む
「……!?……っつ!」
思わず呻いて、ベッドに倒れ込む。
その痛みで記憶が蘇ってきた。
「魔物に襲われたんだったな」
背中の痛みの原因を思い出す。でもクエストは達成したはず。
それから………。それから――――――………。
考え込んでいると、ガチャリと音がして扉が開いた。
スルリと身を滑り込ませて来た人物を見て、思わず声が出る。
「……ルーカス?」
瞬間、目を見開いて勢いよく振り返る。ドアを閉めるのもそこ其処に、慌ただしく俺に近寄ってきた。
「良かった!目が醒めたんだ!気分はどう?痛みは?」
矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
常にないルーカスの態度に、思わず目を丸くする。
………が、俺がクエストを受けた理由を思い出して、思わず顔を強張らせてしまった。
「ルーカス、お前何でここにいるの?」
「お前が居なくなったから、追いかけて来たんだよ」
「何で?」
「何でって、お前………」
言葉に詰まるルーカス。
いや、ホントに何で追いかけて来るのさ?
期間限定のセフレだろ?意味が分からない。
怪訝な顔をしている俺を、ルーカスは戸惑ったように見つめる。
「お前が………俺の番……だから」
「……は?」
全く意味が分からない。
どうしてそうなるんだ?
ルーカスは項垂れて、俺の視線から顔を隠すように俯いた。
「俺、番って出会ったら直ぐに分かる、運命の半身だと思ってたんだ」
絞り出すように語りだす。
「だけどノアと出会ってさ。俺よく分からなくなって」
いや、俺も分かんないよ?
「ノアと一緒に居れたら嬉しいし、セックスも凄く相性が良いと思う。それだけなら疑問には思わなかったけどさ」
「うん……」
「お前が側から居なくなると、スゴく不安になるんだ。誰かと話してるのを見ると苦しくなるし、相手を殺したくなる」
「…………」
「……俺のモノなのにって」
なんだ、それ。
それってまるで………。
「ホント訳分かんなくなってさ。でも俺がクエスト受けて、あの街を離れてみて気付いた。
ノアが……ノアこそが、俺の番だって」
「……おまえ、それいつ気付いたんだ?」
ルーカスと出会って、もう既に3年は経つぞ……。
「…………。」
「ルーカス?」
強めに名前を呼ぶと、更に深く項垂れてしまった。
首、もげそうだな?大丈夫か。
「………2年半前………」
結構経つな、おい。
無言な俺に、思わずルーカスは顔を上げて言い募ってきた。
「最初にセフレ発言しといて、どのツラ下げて言えるってんだよ……」
「…………」
「…お前が俺の…、番だ、なんてさ……」
あ…、そう………。
「……………」
「……………」
あーもう、どうすりゃ良いんだ。
沈黙がイタイわ。
「………?」
何処だ、ここ?
身を起こそうとして背中が引き攣るように痛む
「……!?……っつ!」
思わず呻いて、ベッドに倒れ込む。
その痛みで記憶が蘇ってきた。
「魔物に襲われたんだったな」
背中の痛みの原因を思い出す。でもクエストは達成したはず。
それから………。それから――――――………。
考え込んでいると、ガチャリと音がして扉が開いた。
スルリと身を滑り込ませて来た人物を見て、思わず声が出る。
「……ルーカス?」
瞬間、目を見開いて勢いよく振り返る。ドアを閉めるのもそこ其処に、慌ただしく俺に近寄ってきた。
「良かった!目が醒めたんだ!気分はどう?痛みは?」
矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
常にないルーカスの態度に、思わず目を丸くする。
………が、俺がクエストを受けた理由を思い出して、思わず顔を強張らせてしまった。
「ルーカス、お前何でここにいるの?」
「お前が居なくなったから、追いかけて来たんだよ」
「何で?」
「何でって、お前………」
言葉に詰まるルーカス。
いや、ホントに何で追いかけて来るのさ?
期間限定のセフレだろ?意味が分からない。
怪訝な顔をしている俺を、ルーカスは戸惑ったように見つめる。
「お前が………俺の番……だから」
「……は?」
全く意味が分からない。
どうしてそうなるんだ?
ルーカスは項垂れて、俺の視線から顔を隠すように俯いた。
「俺、番って出会ったら直ぐに分かる、運命の半身だと思ってたんだ」
絞り出すように語りだす。
「だけどノアと出会ってさ。俺よく分からなくなって」
いや、俺も分かんないよ?
「ノアと一緒に居れたら嬉しいし、セックスも凄く相性が良いと思う。それだけなら疑問には思わなかったけどさ」
「うん……」
「お前が側から居なくなると、スゴく不安になるんだ。誰かと話してるのを見ると苦しくなるし、相手を殺したくなる」
「…………」
「……俺のモノなのにって」
なんだ、それ。
それってまるで………。
「ホント訳分かんなくなってさ。でも俺がクエスト受けて、あの街を離れてみて気付いた。
ノアが……ノアこそが、俺の番だって」
「……おまえ、それいつ気付いたんだ?」
ルーカスと出会って、もう既に3年は経つぞ……。
「…………。」
「ルーカス?」
強めに名前を呼ぶと、更に深く項垂れてしまった。
首、もげそうだな?大丈夫か。
「………2年半前………」
結構経つな、おい。
無言な俺に、思わずルーカスは顔を上げて言い募ってきた。
「最初にセフレ発言しといて、どのツラ下げて言えるってんだよ……」
「…………」
「…お前が俺の…、番だ、なんてさ……」
あ…、そう………。
「……………」
「……………」
あーもう、どうすりゃ良いんだ。
沈黙がイタイわ。
134
お気に入りに追加
1,625
あなたにおすすめの小説
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
【短編】睨んでいませんし何も企んでいません。顔が怖いのは生まれつきです。
cyan
BL
男爵家の次男として産まれたテオドールの悩みは、父親譲りの強面の顔。
睨んでいないのに睨んでいると言われ、何もしていないのに怯えられる日々。
男で孕み腹のテオドールにお見合いの話はたくさん来るが、いつも相手に逃げられてしまう。
ある日、父がベルガー辺境伯との婚姻の話を持ってきた。見合いをすっ飛ばして会ったこともない人との結婚に不安を抱きながら、テオドールは辺境へと向かった。
そこでは、いきなり騎士に囲まれ、夫のフィリップ様を殺そうと企んでいると疑われて監視される日々が待っていた。
睨んでないのに、嫁いだだけで何も企んでいないのに……
いつその誤解は解けるのか。
3万字ほどの作品です。サクサクあげていきます。
※男性妊娠の表現が出てくるので苦手な方はご注意ください
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
螺旋の中の欠片
琴葉
BL
※オメガバース設定注意!男性妊娠出産等出て来ます※親の借金から人買いに売られてしまったオメガの澪。売られた先は大きな屋敷で、しかも年下の子供アルファ。澪は彼の愛人か愛玩具になるために売られて来たのだが…。同じ時間を共有するにつれ、澪にはある感情が芽生えていく。★6月より毎週金曜更新予定(予定外更新有り)★
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
薬屋の受難【完】
おはぎ
BL
薬屋を営むノルン。いつもいつも、責めるように言い募ってくる魔術師団長のルーベルトに泣かされてばかり。そんな中、騎士団長のグランに身体を受け止められたところを見られて…。
魔術師団長ルーベルト×薬屋ノルン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる