番が欲しいアイツと、実らない恋をした俺の話。

飛鷹

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sideノア

8.

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次の朝。少しダルさを感じるけど、まぁ大丈夫だろうと判断し予定通り出立する事にした。

勿論、診療所には立ち寄った。
そんなに必要か?ってくらいの薬を押し付けられ、苦笑いがこぼれる。

それも俺の体調を心配しての事と思って、有り難く受け取った。

隣国へは、国境を越える必要があるから街道に沿って進むしかない。
面白みはない旅だけど、そこそこ道は整っているし、魔物避けが等間隔に設置してあるから襲われる心配もない。

怪我をしている今の俺には丁度いい。

前へ前へと足を進めていたが、昼を少し過ぎた当たりからキツくて堪らなくなってきた。

街医者が言っていた発熱だろうか?

予定ではこの先にある小さな集落に泊まる予定だったが、これ以上進むのは難しいようだ。
俺は溜め息をついて、今日はこの辺で天幕を張ることにした。

少し動くと息が上がるし、背中もジクジク痛む。
そんな身体を宥めつつ、野営の準備をして。そして力尽きて、這うように天幕に潜り込んだ。

何も食べる気はせず、街医者から貰った熱冷ましの薬を何とか水で流し込むと、気を失うように眠りに落ちた


夢、だろうか?
身体を弄る指の感触がする。

アイツが忘れられず、アイツが恋しくて……そんな恋情が見せる……夢?

「………ぁぁぁ……」

どくり、と俺の中心部が脈打ち熱を持つ。
流石に違和感を感じて重い瞼を持ち上げる。

背中の傷が痛くてうつ伏せて寝ていたから、視界が狭く現状がよく分からない。

「ああ、起きたんだ?」

冷ややかな声が聞こえる。
首を動かして見上げると、そこにはルーカスが、いた。

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