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受け視点
10.
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「で?誰と結婚するって?」
目が醒めると既に日は高く昇っていて、最早朝とは言えない時間になっていた。
いつの間にか身を清められベッドに運ばれていた俺は、カーディアスの腕に捕らわれて、甘い詰問を受けていた。
「いや、その前に、何でお前ここに……」
「質問してるの僕だよ?ねぇ、誰と結婚するつもり?」
しつこく問うてくる。俺は諦めて、不貞腐れたように告げた。
「誰とも結婚なんてしない。父王にもそう伝えている」
「…………じゃ、僕とも結婚しないつもり?」
コテンと首を傾げるカーディアスに、俺は怪訝な顔になってしまった。
「は?」
「は?じゃなくて。僕とも結婚しないの?」
待て、何故そうなる………。
ズキズキと痛み始めたこめかみを指で押さえていると、カーディアスはにこっと笑った。
「父が亡くなる前にね、凄く可愛いディアンダーの王子が居るんだって教えてくれたんだ。僕の話をたくさんしたら、最後には僕に会いたいって可愛く駄々をこねて、最高に愛らしかったって」
俺はビクっと肩を揺らした。
俺の事、知っていたのか…………?
「僕はずっとその子に会いたかった。父がちゃんと貴方を守れなくてごめんなさいって、今度は僕が貴方を守るからって伝えたかった」
サラリと髪を掻き上げて、額にキスを落とす。
「実際に会ってみたら、最高に僕好みの可愛い人で、ずっと心臓がバクバクしてたんだよ」
「…………俺を恨んでないのか?」
「?恨むって何故?」
「俺のせいでお前の父親は亡くなったんだ。俺は恨まれていると……」
言葉を紡ぐ俺の唇を、カーディアスは人差し指を当てて柔く塞いだ。
「君が言ったんだよ。騎士に身分は関係ないって。王族を守るために存在して、王族を守るために命を落とんだって。父はそうやって役割を全うしたんだ。何を恨む必要が?」
「……………」
「もし僕がパスティを恨む事があるとしたら、ただ一つ。黙って結婚しようとした事だね」
微笑んでいるけど、マリンブルーの瞳は笑っていない。
怖い………。
「ね、パスティ、君、誰と結婚するつもり?」
是が非でも言わせようとする姿に、俺はとうとう降参してしまった。
「カーディアス・バンテル、お前とだよ」
「ふふ……最高だね。パスティ、幸せにするね」
落ちてくる唇を、甘く受け止める。
こんなつもりでこの国を訪れたわじゃなかったのに。
いつの間にか、俺はこの頭も顔もずば抜けて良すぎる男に、ガッチリと手綱を取られてしまったらしい。
幸せそうに微笑むカーディアスに、まぁ、これはこれで有りか……と苦く笑うのだった。
目が醒めると既に日は高く昇っていて、最早朝とは言えない時間になっていた。
いつの間にか身を清められベッドに運ばれていた俺は、カーディアスの腕に捕らわれて、甘い詰問を受けていた。
「いや、その前に、何でお前ここに……」
「質問してるの僕だよ?ねぇ、誰と結婚するつもり?」
しつこく問うてくる。俺は諦めて、不貞腐れたように告げた。
「誰とも結婚なんてしない。父王にもそう伝えている」
「…………じゃ、僕とも結婚しないつもり?」
コテンと首を傾げるカーディアスに、俺は怪訝な顔になってしまった。
「は?」
「は?じゃなくて。僕とも結婚しないの?」
待て、何故そうなる………。
ズキズキと痛み始めたこめかみを指で押さえていると、カーディアスはにこっと笑った。
「父が亡くなる前にね、凄く可愛いディアンダーの王子が居るんだって教えてくれたんだ。僕の話をたくさんしたら、最後には僕に会いたいって可愛く駄々をこねて、最高に愛らしかったって」
俺はビクっと肩を揺らした。
俺の事、知っていたのか…………?
「僕はずっとその子に会いたかった。父がちゃんと貴方を守れなくてごめんなさいって、今度は僕が貴方を守るからって伝えたかった」
サラリと髪を掻き上げて、額にキスを落とす。
「実際に会ってみたら、最高に僕好みの可愛い人で、ずっと心臓がバクバクしてたんだよ」
「…………俺を恨んでないのか?」
「?恨むって何故?」
「俺のせいでお前の父親は亡くなったんだ。俺は恨まれていると……」
言葉を紡ぐ俺の唇を、カーディアスは人差し指を当てて柔く塞いだ。
「君が言ったんだよ。騎士に身分は関係ないって。王族を守るために存在して、王族を守るために命を落とんだって。父はそうやって役割を全うしたんだ。何を恨む必要が?」
「……………」
「もし僕がパスティを恨む事があるとしたら、ただ一つ。黙って結婚しようとした事だね」
微笑んでいるけど、マリンブルーの瞳は笑っていない。
怖い………。
「ね、パスティ、君、誰と結婚するつもり?」
是が非でも言わせようとする姿に、俺はとうとう降参してしまった。
「カーディアス・バンテル、お前とだよ」
「ふふ……最高だね。パスティ、幸せにするね」
落ちてくる唇を、甘く受け止める。
こんなつもりでこの国を訪れたわじゃなかったのに。
いつの間にか、俺はこの頭も顔もずば抜けて良すぎる男に、ガッチリと手綱を取られてしまったらしい。
幸せそうに微笑むカーディアスに、まぁ、これはこれで有りか……と苦く笑うのだった。
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