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アキラくんサイド
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◆◆◆◆◆
用紙を剥がしといて良かった!
隆史があんな下劣な内容の張り紙を見る必要はない。隆史は騙されやすいからな。部屋を出るためにアレをしたとして、扉が開く保証はない。
きっと犯人は変態だ。アレする様子を眺めて自慰するタイプだろう。動画撮影している可能性もある。いや、生配信の危険性もあるのに、アレができるかよ。デジタルタトゥーなんて最悪だからな。
「なあ、アキラ?」
「なんだ?」
「なんか、扉にセロテープついてる」
「っ!」
「‥‥アキラ?」
セロテープってごく僅かだろ。何故気がついた。しかし、ここは冷静に。
「確かにセロテープがついてるな。」
「‥‥ねえ、何か隠してない?」
「何を?」
「ここに‥‥紙が貼ってたでしょ?」
「何故知っている?」
「あ、引っかかった!」
「いや、待て!」
俺は馬鹿なのか。隆史の可愛い追求に思わず白状してしまった。しかし、どうする?このまま誤魔化せるか?
「ねえ、アキラ。秘密はやめてよ。俺達親友だろ?幼馴染みでもあるし‥‥隠されると辛いよ」
‥‥‥‥抱きしめたい。抱きしめたい。
「悪かった。確かに紙は貼ってあった。でも、ひどい内容だから‥‥お前は見ないほうがいいと思う」
「ひどい内容って?」
「それは言えない」
「‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥。」
「アキラのこと嫌いかも」
「えっ?」
「こんな窮地に情報を独り占めするなんてひどいよ!わかった!俺が眠った瞬間を狙って自分だけこの部屋を逃げ出すつもりだろ!」
「何でそうなるんだよ!」
「隠す理由なんてそれしかないだろ。紙には脱出方法が書かれていたんだろ?ただし、一人しか出られないって条件付で。もういいよ。俺はベッドで寝るから、その間に紙の指示に従って勝手に出ていけよ!」
隆史がベッドに向かおうとする。俺は慌てて隆史の腕を掴んで引き寄せた。その瞳に涙はなかったが怯えた表情を浮かべている。俺は思わず隆史を抱き寄せていた。
「ごめん、隆史」
「何に対する『ごめん』なの?」
「色々と」
「そう‥‥‥」
隆史が黙り込み俯く。表情が見えず不安になる。
「紙を見せて欲しい」
「隆史」
「悩みを一人で抱え込まないで欲しい。俺を親友だと思っているなら」
「‥‥‥‥‥。」
「アキラ」
「分かったよ、隆史」
俺はジャケットの隠しから用紙を取り出す。そして、そっと隆史に渡した。
「え、なにこれ?」
隆史が震えだす。無理もない。俺も見た時は怒りで震えを覚えた。
「ディープキスしたら扉が開く!?」
隆史が震えながら紙を破り捨てた。
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用紙を剥がしといて良かった!
隆史があんな下劣な内容の張り紙を見る必要はない。隆史は騙されやすいからな。部屋を出るためにアレをしたとして、扉が開く保証はない。
きっと犯人は変態だ。アレする様子を眺めて自慰するタイプだろう。動画撮影している可能性もある。いや、生配信の危険性もあるのに、アレができるかよ。デジタルタトゥーなんて最悪だからな。
「なあ、アキラ?」
「なんだ?」
「なんか、扉にセロテープついてる」
「っ!」
「‥‥アキラ?」
セロテープってごく僅かだろ。何故気がついた。しかし、ここは冷静に。
「確かにセロテープがついてるな。」
「‥‥ねえ、何か隠してない?」
「何を?」
「ここに‥‥紙が貼ってたでしょ?」
「何故知っている?」
「あ、引っかかった!」
「いや、待て!」
俺は馬鹿なのか。隆史の可愛い追求に思わず白状してしまった。しかし、どうする?このまま誤魔化せるか?
「ねえ、アキラ。秘密はやめてよ。俺達親友だろ?幼馴染みでもあるし‥‥隠されると辛いよ」
‥‥‥‥抱きしめたい。抱きしめたい。
「悪かった。確かに紙は貼ってあった。でも、ひどい内容だから‥‥お前は見ないほうがいいと思う」
「ひどい内容って?」
「それは言えない」
「‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥。」
「アキラのこと嫌いかも」
「えっ?」
「こんな窮地に情報を独り占めするなんてひどいよ!わかった!俺が眠った瞬間を狙って自分だけこの部屋を逃げ出すつもりだろ!」
「何でそうなるんだよ!」
「隠す理由なんてそれしかないだろ。紙には脱出方法が書かれていたんだろ?ただし、一人しか出られないって条件付で。もういいよ。俺はベッドで寝るから、その間に紙の指示に従って勝手に出ていけよ!」
隆史がベッドに向かおうとする。俺は慌てて隆史の腕を掴んで引き寄せた。その瞳に涙はなかったが怯えた表情を浮かべている。俺は思わず隆史を抱き寄せていた。
「ごめん、隆史」
「何に対する『ごめん』なの?」
「色々と」
「そう‥‥‥」
隆史が黙り込み俯く。表情が見えず不安になる。
「紙を見せて欲しい」
「隆史」
「悩みを一人で抱え込まないで欲しい。俺を親友だと思っているなら」
「‥‥‥‥‥。」
「アキラ」
「分かったよ、隆史」
俺はジャケットの隠しから用紙を取り出す。そして、そっと隆史に渡した。
「え、なにこれ?」
隆史が震えだす。無理もない。俺も見た時は怒りで震えを覚えた。
「ディープキスしたら扉が開く!?」
隆史が震えながら紙を破り捨てた。
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