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13 睡蓮
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◆◆◆◆◆
睡蓮の花言葉は、「信仰」「清純な心」「信頼」「甘美」「優しさ」
◇◇◇◇
審問の場は、静まり返っていた。
睡蓮の花言葉のように、誰の目から見てもパオラ・ロマナは純真そのものだった。涙ながらに無実を訴えるパオラに、誰もが同情した。
獄中のパオラと婚約したアデルバートも、パオラの無実を強く訴えた。彼は元婚約者のカルロッタが、如何に嫉妬深く邪悪な人物であるかを饒舌に語った。
審問の場には、カルロッタ・ガーネットの姿もあった。カルロッタはクロードと共に、審問の行方を静かに見守っていた。
パオラ・ロマナは無罪となる。性悪なカルロッタから、我が身を守ったパオラに罪があるはずがない。
誰もがそう思った。だが、皆の予想はパオラ自身により外れた。
パオラが突然罪を認めたのだ。
パオラは審問を見守る人々を相手に、カルロッタを底無し沼に落とした手法を自慢げに語った。更には、簡単に罠にはまったカルロッタに罪があると、パオラは言ってのけた。
パオラの姿は自ら底無し沼に足を踏み入れる愚か者に見えた。
審問の場は、パオラの変わり様に呆れ返りざわついた。そして、獄中のパオラと婚約したアデルバートに、冷たい視線を向けた。アデルバートは、青ざめてうつむきうなだれた。
不意に、カルロッタ・ガーネットが立ち上がった。カルロッタがパオラに罵声を浴びせる事を、人々は期待し注目した。
だが、カルロッタは美しく一礼した後、義兄のクロードにエスコートされて審問の場を去っていった。カルロッタの鮮やかな立ち振舞いは、睡蓮の様な気品あるものだった。
◇◇◇◇
「ふ、ふふふ~」
「まだ笑うな、カルロッタ」
「だ、だって。ざまぁ、ですから」
『やあ、ご機嫌だね!』
「ヘルベルト兄さま!」
「えっ!ヘルベルトがいるのか、カルロッタ?あいつは、消えたんじゃないのかよ?俺にカルロッタを託すとかなんとか言ってたのに!」
「ふふ、今はクロードの隣を歩いているよ。審問の場でヘルベルト兄上の姿を目にした時には、泣きそうになりました。消えずにいてくださって・・嬉しいです」
『いつまで傍にいられるかは分からないけれど、百年はこの世に留まりたいと決意を新たにしたところだ。カルロッタの笑顔を見てね』
「おーい、俺を無視するな~」
「クロード、安心して!兄さまは、百年は私を見守ってくれるって!」
「嘘だろ!カルロッタの着替えとか、湯浴みとかを百年も見放題になるのか!なんて、羨まし・・破廉恥なんだ!ヘルベルトには、早々に天国か地獄に行って貰おう」
『パオラに本心を語らせるのに、すっかり力を使い果たした。カルロッタ、悪いけど、キスさせてくれないか』
「勿論です、ヘルベルト兄さま」
『では、額にキスを』
「うぎゃーーー!なにしてる!見えてるから!見えてる!離れろ、ヘルベルト!」
「ふふふ」
『クロードが早く告白してくれたなら、俺も安心してどこかにいくんだがね。まだまだ、先かな?』
「どこにもいかないで、兄さま」
「どっかいけ、ヘルベルト!」
『しばらくは、二人の傍で恋の行方をみまもることにするよ!』
END
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睡蓮の花言葉は、「信仰」「清純な心」「信頼」「甘美」「優しさ」
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審問の場は、静まり返っていた。
睡蓮の花言葉のように、誰の目から見てもパオラ・ロマナは純真そのものだった。涙ながらに無実を訴えるパオラに、誰もが同情した。
獄中のパオラと婚約したアデルバートも、パオラの無実を強く訴えた。彼は元婚約者のカルロッタが、如何に嫉妬深く邪悪な人物であるかを饒舌に語った。
審問の場には、カルロッタ・ガーネットの姿もあった。カルロッタはクロードと共に、審問の行方を静かに見守っていた。
パオラ・ロマナは無罪となる。性悪なカルロッタから、我が身を守ったパオラに罪があるはずがない。
誰もがそう思った。だが、皆の予想はパオラ自身により外れた。
パオラが突然罪を認めたのだ。
パオラは審問を見守る人々を相手に、カルロッタを底無し沼に落とした手法を自慢げに語った。更には、簡単に罠にはまったカルロッタに罪があると、パオラは言ってのけた。
パオラの姿は自ら底無し沼に足を踏み入れる愚か者に見えた。
審問の場は、パオラの変わり様に呆れ返りざわついた。そして、獄中のパオラと婚約したアデルバートに、冷たい視線を向けた。アデルバートは、青ざめてうつむきうなだれた。
不意に、カルロッタ・ガーネットが立ち上がった。カルロッタがパオラに罵声を浴びせる事を、人々は期待し注目した。
だが、カルロッタは美しく一礼した後、義兄のクロードにエスコートされて審問の場を去っていった。カルロッタの鮮やかな立ち振舞いは、睡蓮の様な気品あるものだった。
◇◇◇◇
「ふ、ふふふ~」
「まだ笑うな、カルロッタ」
「だ、だって。ざまぁ、ですから」
『やあ、ご機嫌だね!』
「ヘルベルト兄さま!」
「えっ!ヘルベルトがいるのか、カルロッタ?あいつは、消えたんじゃないのかよ?俺にカルロッタを託すとかなんとか言ってたのに!」
「ふふ、今はクロードの隣を歩いているよ。審問の場でヘルベルト兄上の姿を目にした時には、泣きそうになりました。消えずにいてくださって・・嬉しいです」
『いつまで傍にいられるかは分からないけれど、百年はこの世に留まりたいと決意を新たにしたところだ。カルロッタの笑顔を見てね』
「おーい、俺を無視するな~」
「クロード、安心して!兄さまは、百年は私を見守ってくれるって!」
「嘘だろ!カルロッタの着替えとか、湯浴みとかを百年も見放題になるのか!なんて、羨まし・・破廉恥なんだ!ヘルベルトには、早々に天国か地獄に行って貰おう」
『パオラに本心を語らせるのに、すっかり力を使い果たした。カルロッタ、悪いけど、キスさせてくれないか』
「勿論です、ヘルベルト兄さま」
『では、額にキスを』
「うぎゃーーー!なにしてる!見えてるから!見えてる!離れろ、ヘルベルト!」
「ふふふ」
『クロードが早く告白してくれたなら、俺も安心してどこかにいくんだがね。まだまだ、先かな?』
「どこにもいかないで、兄さま」
「どっかいけ、ヘルベルト!」
『しばらくは、二人の傍で恋の行方をみまもることにするよ!』
END
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みんなの感想(2件)
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面白かったです👑✨
孕み子設定✨兄さま呼び✨萌えますね💕すっごく好きです✨
これで完結なのですか?続き熱望です💖
ステキな作品✨ありがとうございます😭✨
感想コメントありがとうございます。
兄さま呼び・・もえますよねぇ~(*´∀`)♪
この作品は完結です。でも、三人の掛け合いが楽しいので、アイデアが思い付いたら続編を書くかもです。ラストまで読んでいただきありがとうございました。
(* ̄∇ ̄*)
退会済ユーザのコメントです
感想コメントありがとうございます。
まさか本を出版できるとはおもってもいなくて、浮かれて宣伝しちゃってます。
(*´∀`)♪
新作も楽しんで読んでいただけると嬉しいです(* ̄∇ ̄*)