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1-10 セックス

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◆◆◆◆◆

(現在:正美)


和樹が組んだあぐらの上で、僕は足を開き卑猥な声を上げていた。

「あぁっ‥‥ん、和樹ぃ‥‥‥ひゃ、ん」

蕾に沈む和樹の指は、潤滑液を零しながら異物感と快感を与える。

「痛くないか?正美、指増やすで?」
「ん‥‥‥っああ‥‥中にっ‥‥」

増やされた指の圧迫感に思わず和樹に抱きついた。震える肩を和樹が優しく抱きしめる。

くちゅりと卑猥な音を立てて、指が体内を押し広げる。解される腸壁から全身に快感が走った。

「やぁ‥‥‥っんぁ!」

「ここ、感じるんやろ?お前、先走りしてるで」

和樹が意地悪な笑顔を浮かべる。僕は自身の牡を見て赤面した。とろとろと牡から零れる精液が、ねっとりと下肢を潤す。

「そんなこと、言うな恥ずかしぃ」

ぐちゅぐちゅとさらに奥に進む指が、受け入れる空間を作り出す。快感と羞恥心に涙が滲んだ。和樹が零れた涙を舌で舐めると、そのまま首筋を責める。

「はうっ‥‥っんん」

尻を揉み込まれ双丘を押し広げられて、僕は真っ赤になった。

「正美、この体位でいってみるか?」

「無理だよっ。女じゃないんだよ、僕は?んぁ、はぁ‥‥‥‥っやっ!」

和樹が笑う。

「反応がすっかり女やで?いけるやろ。俺は正美の顔見て挿入したい」

「和樹っ」

僕は真っ赤になりながら、体内で蠢く指を全身で感じていた。うつ伏せでの挿入が一番体に負担がない。でも、和樹なら‥‥。

「いいよ」

和樹の頬が満足そうに弛む。指が引き抜かれると、ぽたぽたと潤滑液が流れ落ちた。

「やっ‥」

潤った蕾に指とは比較にならない大きなモノが宛がわれる。僕は衝撃を恐れて、自然と腰を引いていた。

怖い。

「正美‥‥‥ゆっくり入れるから」

僕はゆっくりと頷いていた。

「ひぃ‥‥‥っや!!」

鋭い痛みが下肢から伝わる。震える僕の肩を和樹が抱き寄せ押さえる。

「んん、いたっ‥‥‥‥っ和樹ぃ」
「くっ、力を抜け‥‥‥正美」

緊張で体がかたくなる。少しでも和樹を楽にしたいのに、体内が侵入する牡をしめ上げ押し出そうとする。

「はぁ‥‥‥んん、」

強引に入り込む牡が僕の理性を吹き飛ばし必死に名を呼んでいた。


◇◇◇◇◇


(現在:和樹)


痛いと泣く正美の口からは、俺ではない人間の名前が迸る。

『兄さん』と。

切なくて、腹立たしくて、愛おしくて、最奥に強引に牡を突き込む。

「ひぃ‥‥っいやだ!」
「正美、正美‥‥‥大丈夫だから」

最奥でぶつかり根元まで埋まった牡が、腸壁の収縮に嵌まり込み動かせない。俺は何度も正美の頬を撫でて髪を梳く。

「大丈夫やから、力抜いて。正美、動けんから‥‥。」

「う、ふぅ‥‥」

徐々に直腸が異物を受け入れていく。正美の肩の震えが止まり、甘いため息が漏れる。

「かずきぃ‥‥」

俺の名を呼んだ正美の唇を強引に奪っていた。体はぎしぎしと軋み、無理な体位に正美は泣きそうになる。それでも俺は深く舌を絡める事をやめなかった。

「はぁ‥‥‥んっ」

唇を離すと吐息が漏れた。俺はゆっくりと正美の身を少し自由にする。動き出した腰はもう止まらない。正美の奥深くを貫き、浅く引いては抽挿を繰り返す。

快感が正美を飲み込んでゆく。
いや、飲み込まれてるのは俺か?

「んあぁ、はぁ、はぁ、でちゃう、ああぁ‥‥‥っ、」

情欲に飲まれた正美の声が、俺を絶頂に追い込む。思うままに正美を犯す牡は、腸壁を擦りあげそして弾けた。

熱い飛沫が正美の体内を穢す。びくりと震えて正美も欲望を吐き出した。涙目の正美がぼんやりと俺を見つめ口を開く。

「離さないで。僕を一人にしないで‥‥‥」

正美‥‥‥それは、誰に宛てた言葉や?俺か?それとも、お前の兄貴か?

潤んだ瞳から涙が綺麗に落ちていく。綺麗すぎて‥‥穢したいと思った。体内に押し込んだ牡が再び力を取り戻す。蕾から体液を零しながら、徐々に牡が正美の体内を圧迫した。

「あっ、や。くぅ‥‥っ」

僅かに歪められた眉が、苦痛を示すものか快楽を示すものか俺には分からない。

「もう一回、ええか?」

俺の言葉に拒絶の言葉は返ってこない。ただぼんやりとした眼差しで正美は俺を見つめていた。

もう少しだけでいい。
正美と繋がっていたい。

そう思えることが奇跡のように思えて、俺は再び腰を動かしだしていた。



◇◇◇◇◇


(現在:正美)

セックスを終えた体は酷く疲れていた。隣では和樹が眠っている。ベッドに横たわりながら、僕は天井を見つめていた。和樹は優しい‥‥兄さんのように僕を何時も大切に扱ってくれる。

だから、僕とのセックスで和樹が快感を得てくれるなら嬉しい。多少の無理も気にならなかった。

僕はそっと目を閉じた。

それにしても、読みきりとはいえデビューが決まるとは‥‥。和樹が尽力してくれたのは間違いないし、いくらお礼を言っても足りないよ。

でも、体で恩を返していると和樹には思われたくない。

僕は兄の代わりに抱いてもらっていて、和樹は僕を変り種として抱いて欲を満たす‥‥そんな関係に愛があるとは言えないけど。

でも、打算だけで抱き合っている訳じゃない。僕は目を開けると、横で眠る和樹の顔を覗き込んだ。

「ありがとう、和樹。僕はがんばるから。お前って本当に最高の友達だよ」

そう呟くと、眠っているはずの和樹が言葉を発する。

「お前は最高の友達と寝るわけか?なら、俺以外に最高の友達は作らん方がいいで?身がもたんからな」

「起きていたの?」

和樹がゆっくりと目を開き笑う。

「視線が熱すぎや。がんばれよ、正美。俺ができることは、お前を推薦することぐらいやから。後はお前の実力にかかってるからな。」

「うん、和樹」
「よし。それで、BL漫画は描けそうか?」

「うっ‥‥」

僕は返事に困り黙り込む。

「まあ、少年誌やしソフトBLって感じやろか?主人公は中高生ってところかな?」

中高生の男子か‥‥。

不意に中学生の要くんを思い浮かべてしまう。しかも、兄さんと抱き合うシーンを!うわ!今の空想はナシで!!

「正美~、今誰の顔を思い浮かべたか当てたろか?」

「うるさいよ、和樹」

和樹が笑って僕を抱き寄せる。

「どうせ、お前の兄貴と中学生がセックスばこばこしてるとこを想像したんやろ?やらし~」

僕は和樹の頭を拳で叩いていた。

「いてっ」

ぽか

「痛い。こら。正美、やめろって」

ぽか
ぽかっ

僕は和樹の頭を叩きながら、ほんの少し不安に駆られる。普段の兄さんなら、中学生の男の子と寝るなんてありえない。だけど、彼の境遇に酷く同情して動揺すらしていた。

妻のはるかさんを悲しませるようなことにはならないとは思うけど‥‥。




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