おっさん家政夫は自警団独身寮で溺愛される

月歌(ツキウタ)

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穴イキ少年製造所の疑いあり

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◆◆◆◆◆

マルコは俺達を部屋に案内すると、一度退出した。だが、すぐに資料を持って戻ってきた。右手に資料を持ち、左手にお茶の入ったトレーを持ったマルコが扉から現れた時はビビった。

「マルコ、どうやって扉を開いたの?」

「それよりも、ギルドの人手が不足していることを気にして欲しいな。給料が安い割りに仕事がキツイから、若い子はすぐに辞めるんだよね。ぜひ、殿下にはこの現状を知って頂きたいですね」

お、マルコも言うね~。騙され殿下の目が泳いでいるよ。そこに、ライオネルが追い討ちを掛ける。

「それならば、自警団にも援助をお願いしたい。ギルドも自警団も、王都の治安維持には欠かせぬものだ。それにも関わらず、王国からの援助があまりに少ない。そう思いませんか、第二王子のウィリアムズ殿下」

「嫌味を口にするな、ライオネル。まあ、今回の件が解決したなら、少しは考えよう」

「まだ事件かどうかもわかりません。ですが、殿下もこう仰っていますので、マルコさん協力をお願いします」

俺はマルコに頭を下げた。すると、マルコはテーブルにお茶のトレーと資料を置くと、俺の髪をくしゃりと撫でてくれた。

ああ、マルコの優しさが身に染みる。おっさん同士って、自然と心が通じ合うんだよな。自警団は若い奴が多いから、未だに馴染めない。おっさんパラダイスな職場に、転職したい。

「マルコ、仕事の話を事務的に始めよう」

「ライオネルに同意だ。ケイの頭から手を退けろ、おっさ・・マルコ氏」

「おっと、怖い助手と権力が俺をめちゃくちゃ睨んでるな。ケイとのイチャイチャは、ここまでにするか」

マルコがあっさりと俺の頭から手を離す。ああ、同志おっさんの手が離れていく。寂しいよ、マルコ~。

「では、本題にはいりましょう。風俗店「★勃起させなくっちゃ!★」について、何か被害届は出ていますか?」

「それなんだが、美人局の被害届は出ていない。だが、別件で被害届が幾つかでている。全て十代の若い客からだ」

「ああ、あの風俗店は料金設定が安いから、十代の若い子の利用者が多いのか。利用者の中では、殿下は高齢に当たりそうですね?」

「高齢とは失礼だな!だが、確かに若い利用客が多くて不思議に思っていた。料金が安いことはあるが、あの年齢で「★勃起させなくっちゃ!★」を利用する意味があるのか?若い男ならエロ本を見れば、一発勃起するだろ」

殿下が疑問を口にする。それに対して、マルコが応じた。

「被害届を出した少年の場合ですが、初めて彼氏に挿入しようとして、失敗して童貞を卒業できなかったそうです。それが心の痛手となり、勃起不全に陥り、「★勃起させなくっちゃ!★」に通ったそうです」

「挿入に失敗した事がトラウマに・・」
「なるほど、悲惨だな」
「若くして勃起不全とは気の毒に」

俺たちの各々感想を聞いた後で、さらにマルコは話を続けた。

「「★勃起させなくっちゃ!★」には、焦りを募らせた勃起不全の少年が、たくさん通っています。料金が安いこともあり利用しやすい。だがそこに罠があるのです。あの風俗店は、少年たちに勃起不全の治療として『穴イキ』を施しています。被害届を出した少年たちは、あの店で『穴イキ』処理をされて、穴イキでしか勃起しない体にされてしまったと訴えています。そして、料金の支払いに滞った少年は『穴イキ少年』として、別の店でウリをさせられているようです」

「つまり、風俗店「★勃起させなくっちゃ!★」は、『穴イキ少年製造所』の疑いありと言うことですね、マルコ!」

「ああ、そういうことだな」

俺はニヤリと笑っていた。

「これは、僕のギルド風俗課専門捜査官の初仕事になりそうだね。ライオネルに、協力要請」

「ケイ、無茶をしないと約束してくれ」
「ライオネル、返事だけして」
「わかった。ケイに協力する」

俺は親しみを込めて、ライオネルの肩を拳で叩いていた。


◆◆◆◆◆
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