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湯浴みしながら思うこと

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アランと共に自室に入ると、俺は衣服を脱ぎ捨てた。そして、裸になり浴室に向かった。

「ソフィア!」
「小言は後で聞きます、アラン兄さん」

「脱衣場を作ったのに、全く意味がないじゃないか。衣服は脱ぎっぱなし。はぁー」

育ての親のアランは過保護でちょっと口うるさい。でも、時々素敵なハプニングをくれる。浴室の湯船にはたっぷりのお湯。そのお湯にはキンモクセイの花が、浮かべられていた。

「うわぁ!キンモクセイのいい薫り~!」
「気に入ったか、ソフィア?」
「最高だよ、アラン兄さん!」

浴室を覗いたアランが声をかけたので、俺はお礼を言いながら湯船に入ろうとした。だが、浴室に突入してきたアランに抱きしめられた。

「何してるの?」

「それはこっちの台詞。何時も言ってるだろ?体をしっかり洗ってから湯船に入る事。ほら、座りなさい」

「えー」

「体を洗うから、アランは大人しくしていなさい。さ、イスに座って」

「俺はこのイスに抵抗を感じる。ソープランドで似たような形状のイスを見た気がする~」

「ソープランドとは、楽しそうな響きだな。で、ソープランドとは何だい?」

アランはおれをイスに座らせると、タオルを湯に付けて石鹸を泡立てた。ブクブク泡を作り出すと、いきなり股間を洗われた。

「ふにゃ!アラン兄さん、いきなりすぎ」

「白の魔王に性病を移されたら大変だから、清潔にしないと駄目だ。ほら、タオルを渡すからしっかり洗いなさい。じゃあ、俺は料理を作ってくる」

タオルを渡されて、アランが浴室を出ようとする。その姿を見て、ちょっと悪戯心が沸いた。

「兄さん、たまには一緒に湯浴みしよ~」
「えっ!?」
「なに、その反応。嫌なの?」

「嫌ではないが・・ソフィアはもう子供ではないから、一人で入るべきだと思うよ」

「体をしっかり洗えとか、子供扱いしている癖に。それに、大きくなっても・・たまにはアランと一緒に入りたい。以前住んでいた森の家の庭にキンモクセイの樹があったよね。そして、森の家の近くには、聖女と魔人のお墓がある。お墓参りに行ってきたの、アラン?」

「ソフィアと一緒に森の家に行きたかった。ソフィアと共に、君の父親と母親のお墓に花を添えたかった」

俺は体を洗いながら呟いていた。

「魔王城から出ることは、魔王から禁じられているから無理だよ」

「ソフィア」

「それに、聖女と魔人の墓に花を添えたいとは思わない。魔人は身勝手な理由で聖女を孕ませた。そんな魔人の子を、聖女は産む必要はなかった。聖女の光で孕んだ子を殺せたはずなのに、どうしてそうしなかったのかな・・」

「ソフィア、なんて事を言うんだ!」

俺はアランを見つめて、ちょっと愚痴を口にした。

「寝室で・・黒の魔王の妃が頸をはねられた。他の妃も子供も処刑されるらしい。白の魔王は俺を可愛がってくれる。だけど、それは俺の中に・・聖女の血脈が半分流れているから。もしも、本物の聖女が現れたら俺は確実に捨てられるよ。殺されるかもしれない」

「ソフィアは側室の座を与えられている。簡単に殺されたりはしないさ」

「でも、怖いよ」
「ソフィア」

「ねえ、たまには一緒に湯浴みしよ。アラン兄さんは、育ての親として俺の相談に乗るべきだと思う」

「確かにそうだな。育ての親は料理をするだけが役目ではない。共に湯浴みをしながら、悩みを聞こう」

アランは衣服を脱ぎだし裸になった。逞しいアランの体つきに、少し目眩を覚えた。


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