上 下
15 / 34

誰が洗濯物を畳んでるの?

しおりを挟む
◆◆◆◆◆

疲れた主婦の為に洗濯物を畳んでくれる人がいる。乾燥機から取り出して、畳まずにリビングに置きっぱなしの洗濯物。

本来ならすぐに畳んで片付けるべきだけど、人間にはダルい時がある。特に更年期になってから疲れがなかなか取れない。

怠惰ではあるけど、わざと怠惰であるわけではない。

それでも畳まずにリビングの端に積まれていく洗濯物の存在は頭から離れない。

「洗濯物を畳まないと‥‥」

そう思いつつそのまま寝床についた次の朝、何故か洗濯物が綺麗に畳まれていた。

最初は夫が家事を手伝ってくれているのだと思った。子がないまま更年期を迎えた私たちだが、夫とはそれなりにスキンシップを取っている。

でも、洗濯物を畳んだのは夫ではなかった。本人に確認したけど、きっぱりと否定された。

『もしかして、その質問ってもっと家事を手伝えって意味か?それだったら回りくどい聞き方するなよ。うざい』

夫に何度も聞いたために『うざい』の言葉を貰ってしまった。夫の夕飯はしばらく魚料理に決定。コレステロール高いので、これは優しい配慮である。

とにかく、誰が洗濯物を畳んでいるのかを突き止めないといけない。もしかしたら、泥棒がお金を奪ったついでに洗濯物を畳んでいる可能性もある。無理があるとは自分でも思うが、可能性は0ではないはずだ。

なので、隠しカメラを仕掛けてみた。その結果、すぐに犯人は判明した。

犯人は私だった。

寝床に入ったはずの私がフラフラとリビングに現れると、九九を数えながら洗濯物を畳んでいた。

洗濯物を深夜に畳んだ記憶は全く無い。それからもしばらく隠しカメラを設置してチェックしたが、私しか映っていなかった。

洗濯物がない時は九九を唱えながらそのまま寝床に戻り、洗濯物がある時は九九を唱えながら畳む。それの繰り返し。

私は見てはならないものを見た気がして動画を消去した。そして、隠しカメラを撤去する。

「‥‥‥まあ、私が畳んでるなら‥‥問題ないよね?問題ないわ。うん、私は大丈夫よ‥‥‥大丈夫よね?え、これって病院に行く必要ある?いや、ないよね。大体なんて説明するのよ。そうよ、せっかく私が洗濯物を畳んでくれているんだから、私は私に感謝したらいいのよ!」

私は自分の胸に手を充てがい『ありがとう』と呟いた。



◆◆◆◆◆



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

痴漢列車に挑む痴漢Gメン女子高生レイコ

ムーワ
大衆娯楽
朝の通勤電車はラッシュ時はギュウギュウ詰めの混雑状態! その混雑を利用して女子高生を中心に若い女の子をターゲットに頻繁に痴漢を繰り返す謎の男。 実際に痴漢にあっても怖くて何もいえず、泣きながら鉄道警察隊に相談する女子高生もいて、何度か男性の鉄道警察隊員が変装をして捕まえようとするが捕まえることができず、痴漢被害は増加する一方。 そこで鉄道警察隊はエリート大卒新人のレイコ氏に相談すると、レイコはとんでもない秘策を思いついた。

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

深き森のグレーテル

週刊 なかのや
ホラー
新米刑事の朝羽 花菜は、殺人鬼の岬 浩二を追っていた。 現場周辺が包囲されている中、追われた殺人鬼は濃霧に包まれた樹海に入り朝羽達も追った。 視界が晴れない状況で先輩刑事と共に捜索していると、一瞬の隙を突かれ朝羽は岬に人質として捕まったが……

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

処理中です...