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不味いホットドッグを売る男
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◆◆◆◆◆
不味いホットドッグを売る男がいる。最初は本当に不味くて、男の眼の前でゴミ箱にホットドッグを捨てた。
キッチンカーの中の男が悔しそうに唇を噛む姿を見て、何とも小気味よい気持ちになった。
お店はすぐに潰れると思ってた。脱サラしてキッチンカー買って、なんの苦労もなく成功したら腹が立つから‥潰れろって思った。
なのに‥‥。
「美味しかった。ごちそうさま!」
「いつもありがとうございます」
常連客になってしまった。ランチタイムには客が並ぶようになった。臭みがあったソーセージが野趣あふれる旨味に変ったのはいつからだろう。食感もいい。
柔らかいだけでなく、コリコリとした歯ごたえがある。店主に『美味しさの秘訣は?』と問うものもいる。答えは何時も同じ。
『食材に愛情を注ぎ余すことなく使う事です』って。
そう伝える時の店主の男の目は生き生きとしている。好きな事をして儲ける。それってすごく難しいと思う。会社勤めの私には羨ましくて、ちょっと憎らしい。
でも、男に微笑まれると嬉しい。
まあ、ハンサムだから仕方ないか。
今日のホットドッグは特に美味しかった。脂の旨味が口内に広がりもう虜。思わず唇を舌で舐めると、店主と目があってしまった。
男が少し眩しそうに目を細めた。
もしかしたら、私が‥‥欲しいのかな?
なんて‥‥ね。
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不味いホットドッグを売る男がいる。最初は本当に不味くて、男の眼の前でゴミ箱にホットドッグを捨てた。
キッチンカーの中の男が悔しそうに唇を噛む姿を見て、何とも小気味よい気持ちになった。
お店はすぐに潰れると思ってた。脱サラしてキッチンカー買って、なんの苦労もなく成功したら腹が立つから‥潰れろって思った。
なのに‥‥。
「美味しかった。ごちそうさま!」
「いつもありがとうございます」
常連客になってしまった。ランチタイムには客が並ぶようになった。臭みがあったソーセージが野趣あふれる旨味に変ったのはいつからだろう。食感もいい。
柔らかいだけでなく、コリコリとした歯ごたえがある。店主に『美味しさの秘訣は?』と問うものもいる。答えは何時も同じ。
『食材に愛情を注ぎ余すことなく使う事です』って。
そう伝える時の店主の男の目は生き生きとしている。好きな事をして儲ける。それってすごく難しいと思う。会社勤めの私には羨ましくて、ちょっと憎らしい。
でも、男に微笑まれると嬉しい。
まあ、ハンサムだから仕方ないか。
今日のホットドッグは特に美味しかった。脂の旨味が口内に広がりもう虜。思わず唇を舌で舐めると、店主と目があってしまった。
男が少し眩しそうに目を細めた。
もしかしたら、私が‥‥欲しいのかな?
なんて‥‥ね。
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