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番外編 癒しの湯浴みなんて嫌です!
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◆◆◆◆◆
僕の部屋の隣・・つまり、ハロルド兄上の部屋の隣でもある空室が、湯浴み場所に選ばれた。
「わー、すごい!とても素敵です、ハロルド兄上~。ガラス張りのテラスから差し込む日差しが、キラキラしてます。それに、猫足の大きなバスタブがとても可愛いです!この大きさなら、二人で入っても大丈夫ですね!」
嫌すぎるーー!
この空室は、いつ湯浴み専用部屋に改装されたんだ?防水処理や空調設備の完成度がめちゃ高い!もしや、ハロルド兄上は僕が異端審問で父上の無罪を訴えている頃から、癒しの湯浴み計画を進めていたのか?
「薔薇の花が湯船にいっぱいだ!」
「白とピンクの薔薇を選んでみた」
「か、可愛いです」
可愛いとか必要としてないから!
男女の湯浴みなら、白とピンクの薔薇は二人の愛を高め合うだろう。だが、兄弟で湯浴みするのに薔薇は必要か?必要ないだろ?絶対必要ない!
「薔薇は好きかい、ラルフ?」
「とても大好きです、兄上!」
僕は力の限りを尽くして、笑顔を作り兄上を見た。ハロルド兄上は嬉しそうに微笑み返す。
「ラルフが気に入ってくれてよかった。庭園に咲く薔薇から、特別に香り高いものを選ばせた。きっと、心癒される湯浴みタイムになるはずだ」
いや、全然癒されないから!闇のハロルド兄上を知った今、共にいて癒されるなら僕の精神がやばい領域にいるって事ですから。怖くて心がガクブルしてます、ハロルド兄上!
「とっても癒されそうです~」
「そうだ、ラルフ。俺の従者のダグラスを紹介しよう。ラルフは使用人を使いたがらないが、流石に湯浴みとなると人手が必要だからね。二人きりで湯浴みはできないが、許してくれるかい、ラルフ?」
ハロルド兄上が、ようやく包帯巻き巻きのダグラスの存在に触れた!部屋には、僕と兄上と彼しかいない。気になってはいたけど、突っ込めずに黙っていた。
「勿論です、兄上。ですが、ダグラスさんは・・沢山怪我をされているご様子ですが?他の使用人の方と交代なさって、休まれた方がよいような?」
地獄耳を発揮して、ハロルド兄上がダグラスに暴力を振る舞っていたのは把握していたけど・・予想以上の暴力だった。
「ダグラスは注意散漫な人物でね。階段から落ちてこの姿だ。ところで、ラルフ。ダグラスや使用人に敬称をつける必要はない。ラルフは侯爵家の人間であり、俺の大切な弟なのだからね」
「はい、兄上」
「それから、使用人から何か嫌がらせを受けた時は、俺に報告しなさい。すぐに配置替えをするからね」
死の世界に配置替えですか、兄上?
「では、湯浴みを始めるか。ダグラス、私たちは今から臼衣に着替える。その間は、決して視線をむけるな」
「承知しました、ハロルド様」
そうなのだ。まだ、僕たちは臼衣に着替えていない。なので、心に少しは余裕があった。
「じゃあ、着替えようか?」
「はい、ハロルド兄上!」
これからは、ハロルド兄上に追い詰められる一方に違いない。くそがぁ、湯浴みなんかしたくねえーー!
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僕の部屋の隣・・つまり、ハロルド兄上の部屋の隣でもある空室が、湯浴み場所に選ばれた。
「わー、すごい!とても素敵です、ハロルド兄上~。ガラス張りのテラスから差し込む日差しが、キラキラしてます。それに、猫足の大きなバスタブがとても可愛いです!この大きさなら、二人で入っても大丈夫ですね!」
嫌すぎるーー!
この空室は、いつ湯浴み専用部屋に改装されたんだ?防水処理や空調設備の完成度がめちゃ高い!もしや、ハロルド兄上は僕が異端審問で父上の無罪を訴えている頃から、癒しの湯浴み計画を進めていたのか?
「薔薇の花が湯船にいっぱいだ!」
「白とピンクの薔薇を選んでみた」
「か、可愛いです」
可愛いとか必要としてないから!
男女の湯浴みなら、白とピンクの薔薇は二人の愛を高め合うだろう。だが、兄弟で湯浴みするのに薔薇は必要か?必要ないだろ?絶対必要ない!
「薔薇は好きかい、ラルフ?」
「とても大好きです、兄上!」
僕は力の限りを尽くして、笑顔を作り兄上を見た。ハロルド兄上は嬉しそうに微笑み返す。
「ラルフが気に入ってくれてよかった。庭園に咲く薔薇から、特別に香り高いものを選ばせた。きっと、心癒される湯浴みタイムになるはずだ」
いや、全然癒されないから!闇のハロルド兄上を知った今、共にいて癒されるなら僕の精神がやばい領域にいるって事ですから。怖くて心がガクブルしてます、ハロルド兄上!
「とっても癒されそうです~」
「そうだ、ラルフ。俺の従者のダグラスを紹介しよう。ラルフは使用人を使いたがらないが、流石に湯浴みとなると人手が必要だからね。二人きりで湯浴みはできないが、許してくれるかい、ラルフ?」
ハロルド兄上が、ようやく包帯巻き巻きのダグラスの存在に触れた!部屋には、僕と兄上と彼しかいない。気になってはいたけど、突っ込めずに黙っていた。
「勿論です、兄上。ですが、ダグラスさんは・・沢山怪我をされているご様子ですが?他の使用人の方と交代なさって、休まれた方がよいような?」
地獄耳を発揮して、ハロルド兄上がダグラスに暴力を振る舞っていたのは把握していたけど・・予想以上の暴力だった。
「ダグラスは注意散漫な人物でね。階段から落ちてこの姿だ。ところで、ラルフ。ダグラスや使用人に敬称をつける必要はない。ラルフは侯爵家の人間であり、俺の大切な弟なのだからね」
「はい、兄上」
「それから、使用人から何か嫌がらせを受けた時は、俺に報告しなさい。すぐに配置替えをするからね」
死の世界に配置替えですか、兄上?
「では、湯浴みを始めるか。ダグラス、私たちは今から臼衣に着替える。その間は、決して視線をむけるな」
「承知しました、ハロルド様」
そうなのだ。まだ、僕たちは臼衣に着替えていない。なので、心に少しは余裕があった。
「じゃあ、着替えようか?」
「はい、ハロルド兄上!」
これからは、ハロルド兄上に追い詰められる一方に違いない。くそがぁ、湯浴みなんかしたくねえーー!
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