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湯浴みでほっこりの前に2
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◆◆◆◆
ダグラスは更に火に油を注ぐ発言をする。俺はぎしりと歯を噛みしめた。
「ハロルド様が、弟であるラルフ様を大切に思う気持ちは分かります。ラルフ様を取り戻すために、いかなる困難も乗り越えてこられました」
「ああ、その通りだ。ラルフは俺の大切な庇護すべき弟だ!」
「しかし、異端審問でのラルフ様の様子を、ハロルド様もご覧になられたでしょ?罵声を浴びせられようとも、ラルフ様は平然として、伯爵を父と呼び庇い続けた姿を!」
「まだ言うか、ダグラス!」
「ラルフ様は、既に異端に染まっておいでなのです。あの方は、ブラグデン家に災いをもたらす種にしかなりません。災いの種は早々に排除すべきです、ハロルド様」
俺はダグラスを殴り飛ばしていた。バランスを崩したダグラスが、床に崩れ落ちた。
「黙れと言ったはずだ!」
俺はダグラスの様子を伺いつつ、壁に飾られた剣をとり鞘を抜いた。抜いた鞘でダグラスの顔を殴った後、壁に向かって鞘を投げ捨てる。
そして、床に片膝をつくダグラスの喉元に、剣の切っ先を宛がった。俺は僅かに力を込めて、ダグラスの首を刺す。
「ぐっ・・」
「黙る気になったか、ダグラス?」
「くっ、ハロ・・ルド様」
「湯浴みの件を切り出したのは俺の方だ。ラルフは戸惑っていたが、兄弟の絆の大切さに目覚め、共に入ることを承知してくれた。ラルフは穢れなき存在だ!俺の大切な宝だ!貴様の意見など俺は必要とはしていない、ダグラス。お前は俺の命令に従え。俺の両親を崖から転落させたように・・命令に従う人形のままでいろ、ダグラス!」
ダグラスの首から血がだらだらと流れ出す。さすがに死なれてはまずい。従者としても暗殺者としても優秀だからな。
だが、ダグラスは俺に対して友のように振る舞う時があり鼻につく。俺は舌打ちをしたのちに、ダグラスの喉元から切っ先を外してやった。そして、剣を床に転がす。
「ダグラス、命令だ。ラルフについて良からぬ噂を立てる者は、この領地には不要だ。消し去れ・・あくまでも事故として処理していけよ。人殺しは得意だろ、ダグラス?」
「・・っ!」
「あとは・・薔薇だ!危なかった!大切な事を忘れるところだった。刺のない薔薇を湯船に浮かべるように、使用人に命じろ。よい香りのする薔薇を厳選して持ってこさせろ。わかったか、ダグラス?」
「・・承知しました、ハロルド様」
ダグラスは首から血をだらだらと流しながら、俺に向かい頭を垂れた。まあ、この程度の流血ならば死にはしないだろう。
しかし、ラルフに対して悪意を持った人間がいると思うと怒りが収まらない。あれほどに繊細で純粋なラルフを傷つける者は、俺が決して許さない。
俺が弟を守る!
◆◆◆◆
ダグラスは更に火に油を注ぐ発言をする。俺はぎしりと歯を噛みしめた。
「ハロルド様が、弟であるラルフ様を大切に思う気持ちは分かります。ラルフ様を取り戻すために、いかなる困難も乗り越えてこられました」
「ああ、その通りだ。ラルフは俺の大切な庇護すべき弟だ!」
「しかし、異端審問でのラルフ様の様子を、ハロルド様もご覧になられたでしょ?罵声を浴びせられようとも、ラルフ様は平然として、伯爵を父と呼び庇い続けた姿を!」
「まだ言うか、ダグラス!」
「ラルフ様は、既に異端に染まっておいでなのです。あの方は、ブラグデン家に災いをもたらす種にしかなりません。災いの種は早々に排除すべきです、ハロルド様」
俺はダグラスを殴り飛ばしていた。バランスを崩したダグラスが、床に崩れ落ちた。
「黙れと言ったはずだ!」
俺はダグラスの様子を伺いつつ、壁に飾られた剣をとり鞘を抜いた。抜いた鞘でダグラスの顔を殴った後、壁に向かって鞘を投げ捨てる。
そして、床に片膝をつくダグラスの喉元に、剣の切っ先を宛がった。俺は僅かに力を込めて、ダグラスの首を刺す。
「ぐっ・・」
「黙る気になったか、ダグラス?」
「くっ、ハロ・・ルド様」
「湯浴みの件を切り出したのは俺の方だ。ラルフは戸惑っていたが、兄弟の絆の大切さに目覚め、共に入ることを承知してくれた。ラルフは穢れなき存在だ!俺の大切な宝だ!貴様の意見など俺は必要とはしていない、ダグラス。お前は俺の命令に従え。俺の両親を崖から転落させたように・・命令に従う人形のままでいろ、ダグラス!」
ダグラスの首から血がだらだらと流れ出す。さすがに死なれてはまずい。従者としても暗殺者としても優秀だからな。
だが、ダグラスは俺に対して友のように振る舞う時があり鼻につく。俺は舌打ちをしたのちに、ダグラスの喉元から切っ先を外してやった。そして、剣を床に転がす。
「ダグラス、命令だ。ラルフについて良からぬ噂を立てる者は、この領地には不要だ。消し去れ・・あくまでも事故として処理していけよ。人殺しは得意だろ、ダグラス?」
「・・っ!」
「あとは・・薔薇だ!危なかった!大切な事を忘れるところだった。刺のない薔薇を湯船に浮かべるように、使用人に命じろ。よい香りのする薔薇を厳選して持ってこさせろ。わかったか、ダグラス?」
「・・承知しました、ハロルド様」
ダグラスは首から血をだらだらと流しながら、俺に向かい頭を垂れた。まあ、この程度の流血ならば死にはしないだろう。
しかし、ラルフに対して悪意を持った人間がいると思うと怒りが収まらない。あれほどに繊細で純粋なラルフを傷つける者は、俺が決して許さない。
俺が弟を守る!
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